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友達作り~九上院恋歌の場合~5

 飯も食べ終わり、昼休みも残るとこわずかになると俺は尿意を催した。今まで九上院としか話していないため、忘れてるかもしれないがここは女子高だ。トイレに行くには条件があった。


 留学初日に、この学校の教諭にトイレはどうすればいいのか尋ねたことがある。するとか返ってきた返事は「男用のトイレは無い。女子のトイレを使え」だそうだ。まぁそんなことはもちろん無理なわけで、もしトイレで誰かと出くわせば俺は間違いなく変態扱い。きっと俺はこのクラスだけじゃなくこの学校全体から隔絶されてしまうかもしれない。それにもし万が一縦端の耳に入ったらと考えると俺はもう・・・・・・


 で、結局どうなったかといえば、授業が始まってから最初の五分間が俺のトイレタイムとなった。つまり俺だけは授業を五分遅れて入っても怒られないわけだ。


 ただそうすると俺がどこに行っていたのかモロばれだし、もし五分以上遅れていたのなら完全に大を疑われる。正直恥ずかしいし不便だ。もし腹が急に痛くなったらどうする? 行きたいときに行けないトイレなんてトイレの価値を減らしているとしか思えない。でもまぁここは女子高なんです。男は俺一人だけ。よって個人のために設備を増やすわけにもいかず、俺は肩身の狭い思いをしていた。


 チャイムがなった。昼休み終了のお知らせだ。俺はやっとトイレに行けると立ち上がると、クラスのみんなが席に着く中、俺は教室をあとにした。


 楯の宮女子のトイレは少し特殊だった。普通学校のトイレといえば使われていない場合開いているものだが、ここは違う。すべての個室が閉じていた。

 理由は、どこに入っているかわからないようにするためらしい。淑女においてトイレを気にされることはとても恥ずかしいそうだ。


 人間がトイレに入ることなんて当たり前すぎて気にする必要はないと思うのだが、これが一般庶民との考え方の違いか?

 因みにドアが閉まっていても音でばれるんじゃ? と思ったのだが、そうでもないらしい。便器のすぐ近くにあるスイッチを押せばすべての個室から水の流れる音がするそうだ。かなり大きな音となるため、してる音は一切聞こえない。


 だがこれだけじゃまだどこでしてるかわかってしまう。何故ならトイレには鍵というものがある。閉めればマークは青から赤に変わるなど色がつく。だがそれを防ぐためにこの学校のトイレは鍵を閉めても色がつかないような設備になっている。尚且つ! トイレに入った生徒が間違って鍵のかかっているトイレの扉を開こうとしないようトイレ入り口にあるモニターによってどの扉を開くか指定されるらしい。また出てゆくときに誰かと出くわさないように出口までついてる始末。


 正直トイレにどれだけ金をかけるんだと思ったが、金は腐るほどあるようで、今もいろいろな設備を増やしている最中なのだそうだ。腐るほどあるのなら男用トイレ作れよって話なのだが、やはりそれはできないらしい。


 俺は、トイレ入り口に立った。モニターは付いていない。授業中などは節約のために電気を消すそうだ。微妙なところで金をケチるんだなこの学園は・・・・・・


 中に入れば相変わらず綺麗だった。庶民のトイレと違い便所特有の臭いはしない。トイレの癖にフローラルな香りを楽しませるとは生意気な。


「くぅやっとできるぜ」

 

 俺はやっと尿意から解放される喜びを思わず口にだし、そしてトイレのドアを開く。


「っな!」

「っく!」


 どっちが「な」でどっちが「く」なんてどうでもいい。どっちでもいいのだそんなこと!

 俺が扉を開くとそこに西城がパンツを下ろした状態で便器に座っているじゃないか。運のいいことに真っ最中ではない。また大事なところはしっかりとスカートで隠れている。

 ふぅ危なかった。変態扱いされてしまうところだった。


「お、お前・・・見たか」


 西城は震える声で尋ねてきた。


「大丈夫だ、問題ない」


 俺はどうやら動揺していたらしい。


「問題ありまくりだろうが!」


 西城の怒鳴り声を聞き俺はやっと我に帰りトイレの扉を閉めた。

 若干西城の顔に恐怖の表情が張り付いている。


「おっ、お前、なんで入ってくるんだ!」

「大丈夫だ、問題ない」

「問題ある!」


 俺はどうやら動揺している。すぐに自分のミスに気づき西城の入っているトイレから出て行った。

 俺が出て行くと西城十秒と経たないうちに扉を開く。顔を真っ赤にしている西城。普段はぶっきらぼうな顔している分新鮮に見えた。


「お前、いつか殺す」

「っ」


 俺は西城の鬼の形相にすくみ声を出すことも、もちろんあやまることすらできず、西城はトイレから姿を消した。


「はぁ~やべぇ。俺ガチで嫌われたか」


 と、暗いため息をついた俺だが、少し理不尽に思うところもあった。なぜなら、西城は鍵をかけておらず、また俺が授業開始の五分間トイレを使えるようになることをこの学校の生徒は全員知っているはず。正直俺にあまり非はないように思えるが・・・・・・まぁきっと俺が悪いのだろう。


 それに西城と初めて交わした会話がさっきの内容だと思うといろいろ絶望的な気がした。

 このあとの授業はときどき西城の殺気を感じ、思うよう集中できなかったのは言うまでもないだろう。


まことに勝手ながらタイトルを変更させていただきました。

物語を書くうえで「俺と女学園」と限定するには少しかってが悪かったので、「俺とドリルとヤンキーと」にさせていただきました。

どうぞこれからもよろしくお願いします。

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