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疑惑 (元・拍手お礼)




「ねぇ」

 なんとなしに、先日のアナクのことが思い浮かんで、目の前で本を読んでいるヴォルドに声をかけた。

「どうかしたか」

「どうかしたっていうかさ」

 言いにくいなと思いながら、それでも意を決して聞いてみた。

「ヴォルド私のこと幾つだと思ってる?」

「15ではないのか?」

 さらりとした返答に、けれど、やはりというか希望的観測が混じっていそうな気がした。

 となるともう少し下かもしれないと考えていると思っても間違いなさそうだ。

「…惜しい。私16だから。うん、でさ。ヴォルドは幾つ?」

「31だ」

 思ったより年いってるなとか、そんなこと今はどうでもいい。

 この童顔めが!と怒鳴ってやりたい気分でもあったが、それもこの際どうでもよかった。

「ロリコン!」

「ろ…?」

「幼女趣味!」

 あれ。たしかこんな意味だったよな。

 勢いで怒鳴っちゃったけど、ロリータコンプレックスの正確な意味って何だっけ。

 わっかんないや。

 などと私が考えていると、ヴォルドからは茫然とした声が漏れた。

「…嫁入りは12からが普通ではないのか?」

「…」

「レーン?」

「随分若いんだね」

 あ、でも昔の日本もそれくらいだっけ。

 いやいやいやいや。そんなこともないか。

 15、6くらい…だったよなぁ。

 どうだったっけ。

「子を成せるのが10歳から35歳の25年間だからな」

「決まってるんだ」

 卵生なのも驚きだが、期間限定かよ…。

「男女関係なく子を成せるのはこの期間だ」

「へぇ」

「そのせいか、王族の男児は通常10歳の頃から女をあてがわれる」

 それはそれは。

 そういえば、ヴォルドはいつから女嫌いになったんだろう。

「…ヴォルドは?」

 興味本位丸出しの疑問に、これでもかといったしかめっ面が返された。

「全て部屋から叩きだしたら、11になった時に諦められたな」

「そう」

 そこまでくるともう「生まれながらだ」と言われても驚かないわ。

「レーンのところでは?」

「期間はないね。90になっても子供作っちゃう人いるし」

「…すごいな」

 口を開けてぽかんとするヴォルドの顔に、思わず笑ってしまいそうになった。

 まぁ驚愕だよね。

 90で子供とか。どうやって育てるんだって感じだ。

 どっちかっていうと、介護が必要なのアンタでしょみたいな。

「節操がないだけでしょ」

 だがこれが常識と思われてはたまらないので、ばっさりと切り捨てた。

「そう、だな」

「うん。…にしてもよかった」

「何がだ?」

「ヴォルドが変態の部類の人間じゃなくて」

 ロリコンだったらどうしようってちょっと…いや大分心配だったんだよね。

 まぁ実際ロリコンだったら、さっさと小さい女の子でも宛がわれてそうだもんな。

「……そんなことを疑われていたのか」

「アナクが私のこと14って言ったけど、なんか希望的観測が混じってそうだったから」

 ヴォルドもだけど。

 そう言うと、合点がいったでもいうように、ヴォルドが言った。

「ああ。神子とは総じて小さいという話だったからな」

「神子基準…。普通の基準なら?」

「普通の基準で見るなら、レーンの外見年齢は10歳ほどだろう」

「…ふぅん」

 10…10か。

 やだな。向こうでは平均的な身長だったのに。

「レーンはそれ以上成長するのか?」

「…知らない」

 出来れば伸びてほしいけど、それこそ希望的観測だ。

「そうか…。出来ればそのままでいてほしいものだが」

「なんで?」

「大きくても愛らしいだろうとは思うが、小さいほうが愛らしく見えるのは世の常だろう?」

「……あっそ」

 本気でヴォルドのロリコンを疑わなければならなくなったなと遠い目をする私に、ヴォルドは私の頭を撫でながら首を傾げた。

どのみちヴォルドは蓮なら何だっていいんだよ。

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