表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/27

ホワイトデー小ネタ2 (蓮&マーノン)




「ずいぶん可愛い格好してるね」

 裾の長い純白のドレスを引きずりながら歩いている蓮を待ち伏せていたマーノンは、蓮のドレス姿にやっぱり白が似合うなと内心とても満足していた。

 ドレスを着ているために機嫌が急降下して、眉間にしわを寄せている蓮も可愛いといつものように抱きしめる。

「うっさい」

 うざったいと言わんばかりに押し退けられても、マーノンは気にした様子もなく懐から箱を取り出す。

「うん。これもあげる」

「…何」

 頭に何かしらの感触を覚えたのだろう。

 怪訝そうに頭にやろうとしていた手を握り、出来栄えを見やって可愛さ倍増だとうっとりと蓮を見る。

「ティアラ。うん、可愛い可愛い。花嫁さんの出来上がりだね」

 何言ってんだこいつといった感情がありありと見て取れる表情も、今は可愛い要素になるのだからマーノンの思考回路が如何に残念かが窺える。

「皇帝に見せるのもったいないから、これからデートしようか?」

 言って俗に言うお姫様だっこで抱き上げらたが、だらしない顔でへらへらとしているマーノンに逆らう気にもなれず、蓮はされるがままになりながら問い掛ける。

「マーノンと?」

「うん」

 さぁ行こうといいそうなマーノンとは反対に、冷淡とも言える無表情で蓮は抑揚もなく言った。

「やだ」

「なんでさ」

「空中散歩とか言い出すにきまってる」

 なんでわかっちゃうかなぁと残念そうに肩を落とすマーノンに、蓮は自らの勘が外れていなかったことを知った。

「図星かよ!」

「その格好で涙目上目遣いだと迫力が増すかなぁって」

「何の迫力!?」

「あ、破壊力のがいい?」

 色気とかかもし出したら無敵だよねと訳のわからないことも付け加えられ、蓮はコイツは馬鹿だと本気で思った。

「意味わかんねぇ!」

「そうだ。お化粧もしようか?」

「しない!」

 いいこと思いついたとでも言いたげな提案も蓮は即座に一蹴した。

 これ以上付き合ってられるかと暴れ出した蓮を抑えつけるように抱きしめながら、マーノンが笑う。

「なんで。もっと可愛くなろうよ」

「ならなくていい!」

「そんなんじゃ皇帝に愛想尽かされちゃうよ?」

「だから?」

 そもそもあのヴォルドに尽かせるような愛想があるのか。

 真剣にそう返されて鼻白んだマーノンは、ならばと対象を変えた。

「…神子に愛想尽かされちゃうよ?」

「……兄さん起きてくれないかな。女装で起きるんなら、いくらでもするのに」

 私がお嫁に行ったら泣いて起きてくれるかな!?なんて言い出す始末に、何故だろう、もの凄くいらっとしたマーノンは、今までの高揚とした気分が嘘のように機嫌が悪くなった。

 胸糞悪さに吐き気まで覚え始める。

「ん?どうかした?怖い顔して」

「…なんでもない。とりあえず化粧しようねー」

 こうなったら今以上にとびっきり可愛いレーンに仕立てあげて、皇帝のところに送り込もう。

 そう決心して、マーノンは蓮を抱き上げたまま蓮の部屋へと飛んだ。

「テメェ!離せ馬鹿ーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 いつもの如く、蓮の叫びは聞こえないものとして虚しく響くだけだった。

兄主義の蓮にマーノン不貞腐れ。

マーノンからのお返しは、ティアラと化粧。

でもどっちかっていうとこれ、蓮にっていうより皇帝にだよなぁ…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ