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バレンタイン小ネタ (蓮&マーノン)

時系列無視ってる挙句に軽く本編に出てないネタばれ有り

(2/14現在、本編は7月の終わりか8月初頭)




 先日ふと、今日が何の日かを思い出し、いそいそと用意した品をマーノンの前に引っ張りだした。

 包装も何もなく、むき出しの本とも言えない本を押し付ける。

「なんで私が?とも思うんだけど、いつもお世話になってるからこれあげる」

 バレンタインのプレゼントだ。

 チョコレートという選択肢も考えたが、マーノンに食べ物という発想自体が私の中になかったので自然と却下された。

「唐突だね。…スプラッタ写真集?」

 仏頂面の私に嬉しそうに本を受け取り、中を見てマーノンの瞳に獰猛な色が灯る。

「正しくは画集。結構リアルでしょ?」

 宮廷画家の人に頼んで描いてもらったのだ。

 完成品を取りに行った時、酷く顔色が悪かったが、あの人大丈夫だったろうか。

 そんなことを思い出していると、マーノンがページをめくりながら嫌な発言をした。

「うん。なんだか誰か殺したくてうずうずしてくるね」

「…おおぅ。プレゼントの選択間違えた!?」

 マーノンといえばこれかハグしか思い出さなかったからこれにしたけど…。

 そうか、よくよく考えなくてもこれはヤバイ方向に刺激しちゃったか。

 なんてことしてんだ、私!

「レーン、この間見つけたケータイとやらで写真集つくろうよ」

「嫌だ」

 何を言い出すんだと即答すれば、拗ねることもなくいつもの笑みに戻る。

「ケチだねぇ」

「ケチで結構。誰が無差別殺人の片棒なんぞ担ぐか」

 あと二つ用意したプレゼントを抱えながら吐き捨てれば、画を見ながら今度はこんなことを言い出した。

「んー。じゃぁ戦争がある地域でも行く?それならいいでしょ?」

「考えたな…。でも却下」

「なんで?」

「そもそも、ケータイで写真撮った後に何で印刷するんだ」

 それ以前に、行きたくないというのが私の本音だけれども。

 本音を知っていてか、人の悪そうな笑みをマーノンが浮かべる。

「リィに頼めば作ってくれそうだけど」

 うん。

 否定できないのがとても悲しい。

「……嫌だ。行きたくないーーー!!!!」

「結局行きたくないだけなんだね」

 逃げようとする私を抱きかかえ、マーノンはそれ以上暴れさせないようにと抱きしめた。

 往生際の悪い私はそれでも尚暴れ続けておりますが。

「悪いか!?」

「強制連行してあげようか?」

 顔だけ振り向いて叫べば、全くもって笑っていない瞳とかち合った。

 ヒィッと悲鳴をあげそうになったが、なんとか咽喉の奥に押し込む。

「断固お断りさせていただきます!」

「なんでー?」

「私は血腥いのは好きじゃないのー!!」

 必要な殺人なら推奨するが、だからと言って血を見るのは好きなわけじゃない。

 むしろ嫌いだ。

 大っ嫌いだ。

 そう泣き叫べば、マーノンは呆れたように腕を離した。

「最初っからそう言えばいいのに」

「うっさい」

 少し乱れた服装を整えながら、さり気に涙目になっていたので涙を拭う。

 もうこんな奴放っておいて、あと二つのプレゼントを届けようと背を向けたら、何やら不穏な言葉を落とされた。

「しょうがない、レーンがそこまで拒否するなら、ちょっとあそこらへんの動物でも狩ってこようっと」

「……っちょ、待て!その動物の中に人間入れんな阿呆!」

 窓の外、庭を整備している男を見ながらにんまりと笑うマーノンの、あまりに獰猛で危険な肉食獣の表情に、マーノンが私の許可なしに人傷つけられないとか、そんなことはすっぽりと抜け落ちてしまって、怒涛の勢いでマーノンに抱きついた。

「大丈夫!ちょーと弄るだけだから」

 ニマニマと楽しげに笑って私の頭を撫でながら、マーノンが言う。

 その時にはいつものマーノンに戻っていたけれど、そんなことも気付かずに、私は泣き叫んだ。

「弄るって何だ!てか全然大丈夫じゃねぇよ、この馬鹿!」

 誰でもいいからこいつを止めて!と、マーノンが冗談だと言うまで私は切に願った。


どうしてプレゼントくれるの?とかはマーノン気にしない。


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