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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

待ち人来ず

作者: 隠実

初めまして。隠実です

初投稿です

よろしくお願いします


「よっしゃぁ!!大吉ぃ!!お前は??」


年明け早々私は、幼なじみの拓哉(たくや)と初詣に来ておみくじを引いていた


「私?……はい」


私は渋々拓哉の前に差し出した

なぜなら……


「うわっ!凶じゃん!やっべぇ!!」


こういうことだ


「やめてよ。ちょっと凹んでるんだから……」


ほんっとデリカシーない


「なになに?待ち人来ずだってよ、残念だったな笑」


うっざ


「うっざ」

「ごめんて、そんな気にしてるんならもっかい引いてきたら?」

「引かないよ、そんな罰当たりなことしちゃだめでしょ」

「1回くらいなら神様許してくれるって」

「いいってば」

「……そうか」


嘘。ほんとは引き直したい


「結びに行こうぜ」

「うん」


私と拓哉で並んでおみくじかけに結んだ


「トイレ行ってくるからちょっと待っててくれ」

「うん」


……今なら

あんなこと言った手前、拓哉の前では引けない

でも、拓哉がいない今がチャンスだ


思い立ってすぐ私はおみくじを引き直した

結果は……


「中吉……まあ、さっきよりはいっか」


私は特に内容を見る気も無かったし、拓哉がこっちに近づいてるのが見えたから、結ぶ時間もないなとポケットにしまった


「めっちゃ出た」

「きも」

「帰るか」

「うん」


二人で帰路(きろ)に着いた

拓哉は終始なにか喋っていたけど内容はどうでもいいし、聞いてなかった


「じゃあ、またな……」

「あ、そうだ。明後日さちょっと買い物付き合ってくれない?」

「おう、別にいいぜ」

「じゃあ十一時いつもの駅前に集合ね」

「おっけー、じゃあまた明後日な」

「うん」


「疲れたー……」


帰って早々私はベッドにダイブした

めちゃくちゃ気持ちいい

スマホをポケットから取り出そうとした時


クシャ……


「なに?ああ、おみくじか。中吉とか一番しょうもないやつじゃん」


運勢(うんせい)はっと、

日々の積み上げが重要、努力すれば明るい未来が見えてくる

高望(たかのぞ)みは禁物


「ふ〜ん、ありきたりじゃん。おもしろくな〜い」


そして私は堕落の海へとダイブした


二日後

十一時から十分くらい過ぎた駅前


「拓哉遅い〜」


拓哉の遅刻は珍しい

あいつはすごくアホだけど、時間を守ったりそういう所はしっかりしてる良い奴だ


「なにかあったのかな」


気になった私は、拓哉がいつも来る道を辿った

拓哉の家から駅までは五分くらいかかるけど、拓哉ならそこも加味(かみ)して行動するはずだ

寝坊でもしたのかな

もしや忘れてたり……

その時はぶん殴ってやる


道の少し先に人だかりができているのが見えた


有名人でもいるのかな?


この人だかりのせいで拓哉は遅れてるのかも

人だかりに近づいた時、燦々(さんさん)と光る赤い光が見えた

赤色灯(せきしょくとう)だ、

私の心臓が少し跳ねる

まさかね……


さっきより少し早い足取りで人だかりに近づく

人の声が大きくなる

そして、何も聞こえなくなった


「嘘……」


戸惑いの声、

ガソリンの匂い、

光に照らされ輝くガラス片、

鮮やかな赤。


「嘘、嘘嘘嘘嘘……拓哉っ!!!」


考える前に体が動いた

目の前に倒れている拓哉に、大切な人に、縋りつこうと走り出した


「ちょっ、君!!」


そんな私はそばに居た警察に止められた

担架で運ばれていく拓哉が見える


「待って!待って!!拓哉ぁ!!待ってぇ!!!!


…………待って、、」


読んでくださりありがとうございました

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― 新着の感想 ―
隠実さん、この度はXでフォローいただきまして、ありがとうございます。 まさか……。と、思って読み進めさせていただきましたが、驚くべき結末に鳥肌が立ちました。 僭越ながら、隠実さんの感性と作風に良い意…
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