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失われたイロ  作者: やまだはいつもはんぐりー
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旅立ち

 アッシュはセレスティアを後にして、灰色の嵐に包まれた心を抱えて旅立ちました。

最初の数日、彼は広がる自然と雄大な景色の中で、失われた感情と色を探しました。

しかし、道中では悲しみが依然として彼の心を覆い続け、周囲の美しい風景も彼には灰色にしか映らないのでした。


 森や川、小道を歩きながらアッシュは自分の中に閉じこもり、失った色を探す旅がいかに難しいものであるかを痛感していました。道中で出会う人々や動物たちがアッシュの心に優しく触れようとしても、新たな感情の光を灯すきっかけにはなりませんでした。


 そんなある日、彼は一人の旅人と出会いました。その人は遠くから訪れてきた冒険者で、アッシュにたくさんの話をしてくれました。彼の話に耳を傾けるうちに、アッシュは新たな友情と冒険の可能性を感じるようになりました。旅人はエンブレイスという街まで一緒に行かないかとアッシュを誘い、アッシュは心に芽生えた希望を胸に、彼と共に旅を続けることを決意しました。


 道中では旅人がより一層、アッシュにいろんなことを教えてくれました。安全な道の選び方や野営の仕方、樹の上での眠り方といったものまで。アッシュはそのすべてに興味を示し、心に色を取り戻すための旅に活かせるよう真剣に旅人の話に聞き入っていました。そして、エンブレイスへの到着を心待ちにしながら、彼は新たな冒険者仲間との出会いを夢見ながら道を進んでいきました。


 アッシュは灰色の嵐に包まれた心を抱えつつも、旅人とともにエンブレイスへの旅を続けてきました。彼がエンブレイスに到着した瞬間、まず最初に目に入ってきたのは多彩な色彩と賑やかな景色でした。しかし、アッシュの目には依然として灰色のフィルターを通して映り、第一印象は複雑でした。


 エンブレイスの美しい建物や色とりどりの花々は、アッシュの目には灰色に染まって見えました。街の中心に広がる噴水広場の水しぶきは、彼の灰色の心に不安定なリズムを奏で、周囲の賑やかさも彼には遠く感じられました。人々の笑顔や楽しそうな交流は、アッシュの心の奥底に沈んだトラウマからくる深い孤独感を引き立てるようでした。


 アッシュは一瞬、エンブレイスが灰色の現実に変わらないかと思いましたが、この街が彼に新しい可能性をもたらしてくれるかもしれないという微かな期待も感じました。灰色の心がまだ彼を包み込んでいる中で、エンブレイスがアッシュにもたらす変化と成長が、この旅の大きな第一歩となるに違いありません。






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