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エピローグ
彼はいつも私の後ろをついてくる存在だった。傍から見ればガキ大将と取り巻きに見えたかもしれない。実際、小さい頃は私もそう思っていた。けれど気が付くと彼の身長は私の身長を越し、私がいくら拒絶しても構い続けてきた。けれど彼にしつこく構われる生活が私は嫌いじゃなかった。なぜなら私には彼しか頼れる人がいなかったから。
けれど彼といっしょに過ごす日々は長くは続かなかった。別れが唐突にやってきたから。私はこれからの日々を夢見ていた。けれど私達はまだ高校生で、あの家から逃げ出すことは出来なくって、どうしようもないことはたくさんあって、私には未来なんてものはなかった。
いつまでも私のことを忘れないで欲しかった。けれどいつまでも私のことを引きずってほしくもなかった。彼にはまだまだこれからの人生があって、きっと大切な人がこれからも現れるから。
だから、どうか私のことなんて忘れて幸せになってほしい。