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プロローグ
彼女は、いつも俺のことを引っ張ってくれる存在だった。傍から見れば俺が彼女のワガママに振り回されているように見えたかもしれない。実際、大変な思いだって何回もした。けれど、俺は彼女に振り回される生活が嫌いじゃなかった。なぜなら俺は彼女のことが好きだったから。
けれど彼女といっしょに過ごす日々は長くは続かず、別れが唐突にやってきた。俺はいつまでも彼女と一緒に居たかった。けれど俺たちはまだ高校生で、まだまだ子どもで、自分たちの力だけではどうしようもないことはたくさんあって、いつまでも一緒にいるなんてことは到底無理だった。
もう別れてしまった彼女のことは早く忘れてしまう方が楽なんだろう。しかし俺は彼女のことを忘れたくなかった。彼女と過ごす時間はかけがえのないもので、そのどれもが大切な思い出だったから。