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同じ道を通るけど着く場所は天と地ほどの差がある



あーぁ、




ーーーーーー



 星が降るだなんて口が裂けても言えないような、なんでもない日の曇った夜空の下を歩く一つの影。足元も見えない田舎の住宅街。家々の隙間から辛うじて見える距離にある国道を通る車のヘッドライト。

 感動するほどでもない夜空でもきっとこの地元を離れたら懐かしくなるはずだと言っていた人のことを思い出した。どうしようもなく馬鹿な人だった。

 豚汁に入った大きめの野菜が苦手な人だった。自分で切ったくせになんで食べられないの。おかしな人だね。

 寝る間を惜しんで記念日のプレゼントにしたこともない刺繍を入れたハンカチを贈られた。引っ掛けてほつれさしたらどうするんだ。もったいなくて使えないじゃないか。

 ルクセンブルクに行きたいね、って何。誤魔化し方下手すぎて怒りもすっ飛ばして呆れるしかなかったんだけど。……でもちょっと行ってみたかった。

 ついでにベルギーも寄っていこう。美味しいチョコが食べたいね。贈り損びれたホワイトデーのお詫びにしてあげる。

 てっちり鍋の方がいいの?なんでさ。国内だよ。いいの?色気もあったもんじゃないね。じゃあ本州の端っこまでドライブしよう。長い距離を2人っきり。寝てていいよ。君がいるだけでわくわくするから。

 歩くの速いよ。まだ新幹線は発車しないみたいだから焦らずいこうよ。危ないよ。

 飼い犬の散歩だと思って大切に扱ってよ。駅に犬なんて連れてきちゃだめだし飼ったこともないけどさ。そういえば君はどちらかと言うと爬虫類とか飼いたがったよね。リクガメ買いたいって言った時はびっくりした。キャベツを食べる動画見てすぐに陥落しちゃったけど。

 蛾が寄ってきそうなのが嫌だったでしょ。長いことつけてなきゃいけないランプが誘蛾灯みたいで嫌だって顔してた。…ただ眩しいのが嫌なだけだったの?なんだ、そっか。

 亀は諦めたって言ってたじゃん。自分用のおつまみとられたくないんだ、って。キャベツあげたかったのに。えー、これから飼うの。絶対動画撮っておいてよ。

 冷蔵庫の野菜室がキャベツに占拠されるね。亀と仲良く分けて食べるんだよ。いつかみたいに冷蔵庫の中が酎ハイしかないような状況にはしないでね。ちゃんとご飯も食べてよ。

 煮物とかいいんじゃないかな。たまに作ってくれた里芋の煮っ転がし、日本酒に合っててすごく好きだった。呑兵衛な君、自慢の逸品なだけあるね。

 三月の終わりにはもう引っ越しだね。準備は終わった?どうせ家電買い替えなきゃいけないんだから服も減らしていけばいいのに。もっと身軽にしよう。未練なんて置いてっちゃえばいいのに。

 絵は持っていって欲しいな。君が描いた絵、好きだから。あまり捨ててほしくない。なんて、矛盾してるね。やっぱり君の好きにしなよ。

 流れるように運ぶ君の筆遣いが目に焼きついたまま離れなかったんだ。1番好きなのは夜の街並みの絵。君は絵の具が足りなかったのだと言い訳し続けていたけど、黒色しか使ってないのに明るい街が完成した時は本当に心が揺さぶられたんだ。

 床に並んで座って君の絵が完成するのを待つ時間はとても心地よかった。君は次に何を描くんだろう。

 露の付いた植物はどうだろうか。朝をテーマにするんだ。ちゃんと起きなきゃだめだよ。規則正しい生活は大切なんだから。

 堕落した生活はそろそろやめなよね。

 遠出じゃなくていいからさ、コンビニ行くとかご飯買いに行くとかそれくらいから始めようよ。

 もう怖いものなんてないよ。こんなところまで来れたんだからさ。

 着いたらきっと今度こそ雲もない瞬く星の夜空が広がってるよ。

 手はつなげないけどさ、そばにいるから上を向いて歩いてね。

 たくさんの思い出をありがとう。それじゃあバイバイ。

あーぁ、

せいかんとんねるってほしがきれいにみえるところだとおもってた


ーーーーーーーーー


国語の時間、集中力が持たずに段落の数とか数えてた

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