表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/31

第23話 噂




 紬と美術館に行ってから数日後のことだ。


「おいお前噂になってるぞ」


 昼休み、惣太の前には久志は深刻な顔をしていた。


「何の噂」

「お前を巡って、由紀ちゃんと紬ちゃんと鞠華ちゃんが戦ってるって噂」

「マジかよ」


 惣太が思っていたのとはまるで違う噂の伝播に体の奥から力が抜けて行くような気がした。


「まさかそんな噂が……」


 いつだって惣太は注目を集めないように注意していた。だというのにそのような噂が流れる事実に、やるせなさや、悲しさが込み上げてくる。


「鞠華にしてもバドのパートナーなだけだし、紬もESS部の同期で、由紀はもうご存じの通り家族なんだけどな……」


 だというのに、そのような噂が流れてしまう。


 ということはもう、今までの努力は雨ごいの祈祷のように神の領分に対する無意味な抵抗でしかないのではないだろうか。


「まぁお前がそう言い切るなら良いが……」


 がっくりと落ち込む惣太にやれやれと久志は頭を掻いた。


「周りがどう感じるかは周り次第だ。惣太、夜道には気を付けろよ……」

「お、おう……」


 事実よりも心証の方がずっとが大事。


 それは嫌でも認めざるを得ない人間の真実で、惣太は頷くしかなかった。


 全く、厄介なことになったものである。


 由紀の男問題や、由紀繋がりのバッシングに、根も葉もない、悪意ある切り取りで作られた噂で良いように言われてしまうとは。


 もう由紀が転入してからこっち、心労でどうにかなってしまいそうだ。


 どうしようもない実情に、惣太はふぅ〜〜〜〜〜っと大きく息をつくのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ