コント「占い師」
男:通行人の男性、ツッコミ
占い師:往来で占いをする女性、ボケ
男が道を歩いている。
占い師「もしもし。そこのお兄さん」
男「なんだ? 占い師? もしかして俺に不吉な運勢が」
占い師「ズボンのチャック開いてますよ」
男「うわ気づかなかったごめんなさい!」
占い師「お気になさらず。これもなにかの縁ですし、占っていきませんか?」
男「それは嬉しいけどさ。俺急いでるんだよ」
占い師「あ! 待って! 待ってください! お金は別に取りませんから!」
男「いや。タダは逆に怪しいからな」
占い師「違うんです! 占いで、ズボンのチャック開いてる人を占えばウラナイックパワーが上がると出たので!」
男「ウラナイックパワー!?」
占い師「占い師のレベルみたいなものだと思って貰えれば!」
男「よく知らないが、占い用語なのか? 自分で占って、その結果が出たのか?」
占い師「いえ。雑誌の占いコーナーで」
男「お前占い師だろ自分で占えよ! てか、チャック開いてる人とか書いてる雑誌ってなんだよ!?」
占い師「お願いします! ウラナイックパワーを上げて占い師として有名にならなきゃいけないんです!」
男「なんでそんな必死なんだよ」
占い師「実はわたしには、生き別れになった母がいまして」
男「ああ。占いの力で見つけようと」
占い師「いえ。占い師として有名になって芸能界デビューしたら、どこかでお母さんが見てて連絡してくれるかなって」
男「そこは占えよ!」
占い師「あとは、やっぱ芸能人としていい暮らししたいなーって」
男「そっちだな! そっちが目的だな!」
占い師「ということで、ご協力お願いします! あ、申し遅れました。わたし、美少女占い師のビーフステーキ神埼と申します」
男「ビーフステーキ!?」
占い師「あ、もちろん芸名ですよ。本名は別にありますから」
男「当たり前だろ。そんな名前の奴いてたまるか」
占い師「本名は田中と言いまして」
男「そっち!? 神埼どっから来たんだよ!?」
占い師「だって! 占い師ってかっこいい名前がないといけないんですよ!? 田中とか、どう頑張ってもかっこよくならないじゃないですか!」
男「なるわ! 全国の田中さんに謝れ!」
占い師「かっこいいカタカナ言葉にかっこいい苗字! これがかっこいい芸名の定番です!」
男「いやビーフステーキ!」
占い師「ビーフステーキの何が悪いんですか!? かっこ悪いですか!?」
男「かっこよくはない! てか、なんでそれなんだよ。好きなのか?」
占い師「いえ。わたし貧乏なので、なかなか手が出なくて。だから芸能人デビューしたらお腹いっぱい食べてやる! って思って」
男「発想が最悪だな! てか、芸能界入りたい気持ちが隠せてない!」
占い師「わたしの目標は芸能人になることで、占いは手段にすぎません!」
男「もう占いやめちまえ! さっきから滅茶苦茶なことばっかり言ってるな。俺もう帰るぞ」
占い師「待って! 待ってください! お願い待って! チャック開いてるお兄さん待って!」
男「もう開いてねえわ! チャック開いてるとか大声で言うな!」
占い師「ちゃんと占ってあげますから! あ、そうだ! 恋愛運とかどうでしょう! お兄さんどうせモテなさそうですし、彼女とかいないでしょ?」
男「余計なお世話だ! ……いないけど」
占い師「よかった! 今、これで占ってあげますねー」
男「ああ。テレビでたまに見る、棒をジャラジャラやる占いか」
占い師「はい。わたしの割り箸占いはよく当たるんです」
男「それ割り箸だったの!?」
占い師「他の占い師は違うんですけど、そこをあえて割り箸を使うのがビフテキスタイルです!」
男「あえてってなんだよ! てか芸名略すな! 自分でも面倒って思ってるだろそれ!」
占い師「むむむ。これはいけません。お兄さん、女運は最悪らしいですね」
男「最悪? どういうことだよ」
占い師「女性関係でトラブルに遭うと出ました」
男「トラブル?」
占い師「道を歩いていたら変な女に絡まれて、なかなか解放されないと。なにか心当たりはありますか?」
男「お前のことだよ!」