第5章 「復讐の鎮魂歌」
第5章 「復讐の鎮魂歌」
「霞君は・・・まだ、復讐するの?」
片桐との間に、妙に距離を感じた。静かな時間が流れる。
「あぁ・・・・まだ、やり残した事があるんや。」
やり残した事。俺の計画の最終段階は、そこにある。
片桐も俺も、それ以上口を開かなかった。
雨が降ってきた。部屋中に雨が、地面にぶつかる音が響いている。
シトシトなのか、パラパラなのか、分からなくなってきた。
辺りが、闇に包まれた。部屋が真っ暗だ。
俺は立ち上がり、電気を付けた。
「私・・・この家にいてもいい?」
「好きなだけ、おったらええ。」
下心はないが、自分にそっくりな奴を、家に帰りたくない片桐を、追い出せなかった。
いつの間にか、雨はやんでいた。
雲の合間から、光の帯が差し込む。
俺はやっと
「友達」を見つける事が出来た。
それでも、忘れない。
クロ・・・。お前を殺した奴は、俺が殺してやる。
俺は、復讐者だ。
「霞君、私の事ミナって、呼んで。」
「・・・わかった。じゃあミナ、俺は涼太でええよ。」
静かに笑う。
8時、俺が作った晩飯を、テレビを見ながら食べた。
「料理上手いね。」
「暇な時、作ってるからな。」
料理も、俺の趣味の一つだ。
和洋折衷、一通り作れる。あの日までは、料理人になる事が夢だった。
それを志し、様々な勉強をした。
いままでは、そんな事に熱中していた。
その後、ミナとの楽しい会話をした。そう友達同士の会話を。
テレビから、バラエティー丸出しの効果音が、聞こえてくる。
なんだか、心が休まる気がした。