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戦乱の異世界で、◯◯◯は今日も△気に□□□中!!  作者: 宇都宮かずし
『戦乱の異世界で、シスコン陰陽師は今日も健気に妹溺愛中!!』編第一部 元暗殺者のシスコン陰陽師。勇者になって世界を救う!?
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第二十八章 助かる命③

「アキラ様、アキナ様……本当にありがとうございました」


 潤んだ瞳でオレ達の目を見つめ、お礼の言葉を口にするソフィア。


「礼なんていらないよ。それに、あの子が助かったのは、ソフィアの頑張りのおかげだ」

「そうそう。それに、まだチコちゃんママの治療も終わってないしね」


 チコちゃんママ?

 ああ、そう言えば……あの女の子の名前、チコとか言っていたな。


 確かに、明那の言う通り。

 子供だけ助けても、母親を助けられなければ片手落ちだ。

 それこそ女の子(チコちゃん)に、『ボーッと生きてんじゃねぇーよっ!!』とか言われ怒られても文句は言えない。


 メイド姉妹からの治癒を受ける女性へと目を向けるオレ。


 手首を切り、大量の出血があった豊満な女性。

 しかし、メイド姉妹達による対応の早さのおかげか? 母親の方はまだ、なんとか自発呼吸があるようだ。


 女の子の方にかなり霊力を消耗してしまったが、そこはマナの豊富なこの世界。

 すでに、消費された霊力も殆ど回復している。これなら、すぐにでも母親の治療を行えるだろう。


 そう思い、母親の所へと向かおうとした時だった――


「アキラさまぁぁぁぁーーっ!!」


 遠くからオレの名を呼ぶ呼び声。そして、複数の馬が駆ける音と人間の走る足音が聴こえてくる。


 三人揃って、声の方へと目を向けるオレ達。


 そこにあったのは、土煙を上げながら現れた騎馬集団。そして先頭を走るのは、その大きく立派な胸を揺らして馬を()るサンディせんぱ、って、痛い痛い……


「もげればいいのに、もげればいいのに、もげればいいのに……」

「胸なんて飾りです。エロ人にはそれが分からんのです……」


 突然、両足の甲に激痛が走り、両サイドから漏れ聴こえてくる呪詛の声……


 キミ達? 分かっていると思うけど、オレの足を踏んだところであの立派な胸は無くならないし、キミ達の胸も成長しないよ。


 戦闘はないと伝えたからだろう。速度重視の軽装――制服姿の騎馬集団。そして、そのすぐ後ろには、エウル達の集団も見える。


 程なくして、騎馬集団は野戦病院と化した広場の手前で停止をし、全員が馬から降り立った。


 二番手に着けていた眼鏡っ娘――確か、学生会の役員だったと思うが、その眼鏡っ娘に指揮を任せてオレ達の方へと駆け寄って来るサンディ先輩。


 ちなみに、そのすぐ後に到着したエウル達は、そのまま瓦礫の撤去と被災者の捜索に入っていた。


 まあ、あの面子(メンツ)の中には、怪我人の治療が出来る生徒はいないし、いい判断だろう。


「アキラ様っ! ソフィア王女殿下、そして勇者様と聖女様の招集に応え、ウェーテリード騎士学園の学園生三十二人、馳せ参じました!」


 立場上、現場指揮官となっているオレに敬礼をして報告するサンディ先輩。

 ちなみに、ソフィアと明那の名前が出たのは、手紙に連名で二人の名前も書いておいたからだろう。


「お疲れさまです、サンディ先輩。こんなに早く駆け付けてもらって、ホント助かります」

「いえ、アキラ様からのお呼びであれば、何処へでも参りますわ」


 ニッコリと大人の笑みを浮かべ、ついでに大きな胸を揺らしながら、サンディ先輩は一歩前踏み出した、が……


「あっ……!?」

「おっと……」


 突然、膝が砕けたようにサンディ先輩の身体がよろめいくと、そのままオレの首へ抱き着くように倒れ込んでくる。


 オレの腹部に大きく柔らかな二つの塊を押し付けながら、潤んだ瞳でコチラを見上げるサンディ先輩……


「も、申し訳ありません……ずっと馬を飛ばしていたので、足に力が入らずに……」

「いえ、先輩こそ大丈夫ですか?」


 まあ、大丈夫なのは分かっているが……


 両サイドから聴こえる、ソフィアと明那の、

「「あざとい……」」

 という呟きに内心で同意しつつ、とりあえず心配する素振りを見せるオレ。


 あざといのは分かっている……が、しかしっ!

 この腹部に当たる二つの膨らみに罪はない。そう、おっぱいに罪はないのだっ!


 って、痛い痛い……


 明那とソフィアに両耳を引っ張られ、サンディおっぱい――ではなく、サンディ先輩から引き離されるオレ。


「おっぱいに罪はなくとも、この非常時にその感触を楽しんでいるバカな兄貴は有罪です」

「はい、有罪ですね」


 なぜ、オレの考えている事が分かったっ!?


「お兄ちゃんっ……今夜は家族会議――いや家族法廷だから、覚悟しておいてね」

「では、わたくしも同席させて頂きますわ」

「お、おう……」


 黒い笑みでニッコリと微笑みながら、オレをチコちゃんママの元へズルズルと引きずっていく二人……


 裁判長明那に検事ソフィアの法廷で、オレが勝訴する可能性など皆無ではないか?

 てゆうか、そもそも弁護人すらいないし。


 し、仕方ない……

 ここは無罪などという贅沢は言わず、チコちゃんママをきっちり治癒させつつ、更に仕事を真面目にこなして裁判長と検事の心象を上げ、執行猶予を――


「アキラ様ぁ! 敗訴となった時には、好きなだけ私の胸でお泣き下さぁーいっ!!」


 って、なぜここで火にガソリンを注ぐっ!?


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