第十一章 苦渋の決断
「ジャジャ~ン♪」
「お、お待たせ致しました……」
オサレな造りの女子寮前で待たされること二十分。
昨日の修道服みたいなエリ女の制服ではなく騎士学園を着て、明那とソフィア王女が玄関から姿を現した。
昭和のスケバンみたいなロングスカートから、令和のJK並みのミニスカへと進化を遂げた二人。
「アキラ様……どうでしょう? おかしくはありませんか……?」
真新しい制服に、膝上15センチのスカートとフリルの付いた白いニーソックスのソフィア。
令和の現役JKだった明那と違い、ソフィアとしてはこの丈のスカートを穿き慣れていないのだろう。
頬を赤らめ、もじもじとしながら上目遣いで問いかけて来る。
「おかしいトコはないし、凄く可愛いよ」
「か、かわっ!? えっ、あ、あっ…………こ、こほん」
オレが微笑みながら率直な感想を述べると、ソフィアの顔が耳まで真っ赤に染まった。
それでも、一つ咳払いをして、すぐに冷静さを取り戻すソフィア。
この辺は、さすが王族と言った所だろう。てゆうか、この程度の褒め言葉、王族なら社交辞令で聞きなれているだろうに……
「お褒めに預かり、光栄ですわ。アキラ様」
ソフィアは気を取り直したように、スカートをちょこんと摘んで流暢に頭を下げた。
が、しかしだ……
オレは、ある一点を凝視しながら、ソフィアへと言葉をかける。
「なあ、ソフィア……そのスカート丈でその挨拶は止めた方がいいぞ。薄いピンク色の下着が、バッチリ見えちゃってるからな」
「えっ? ……きゃっ!?」
慌ててスカートを抑えるソフィア。
そして、真っ赤になった頬を膨らませ、端に涙を溜めた瞳を向けて来る。
ああ……なんか、前にも同じような事があったなぁ。
そんなに事を思いながら、睨むソフィアからそっと視線を逸らして、
『朝から良いモン見せて貰ったわ』
とばかりに笑顔でサムズアップしてる、我が妹へと目を向ける。
そして、日本で一番スカートの丈が短いという、茨城県水◯市のJK並みにスカートを短くしている明那を見て、オレは一つため息をついた。
「なあ、我が妹よ……」
「なんでしょうか? 我が兄上様」
「その、スカートの下から覗いている物はなんだ?」
「スパッツですが、なにか?」
誇らしげに胸を張り、ドヤ顔で答える明那……
そう、明那のスカートの裾からは、ハイソックスと同じ色をした紺色のスパッツが覗いていたのだ。
いや、まあ……校則で禁止されてる訳ではないけどさぁ……
「チミは何故に、そんな無粋な物を穿いておるのかね?」
「何故と問われれば、気兼ねなく蹴り技を使う為としか……」
おおよそ、現役JKだった女の子とは思えない答えが帰って来た。
まあオレとしても、可愛い妹のパンチラキックを一般公開するのを躊躇われるのは確かだ。
ここは仕方ない。
年端も行かない年下の女子。しかも清楚系お姫様に、こんな事を頼むのは心苦しいし、苦渋の決断ではあるが……
オレと明那は同時にソフィアへと振り返り、その小さな肩へポンッと手を置いた。
「大変だと思うが、明那の分まで頑張ってくれ。ソフィア」
「大変だと思うけど、私の分まで頑張ってね。ソフィアちゃん」
「は、はあ……?」
オレ達の言葉の意味が理解出来ず、キョトンと首を傾げるソフィア。
まあ、何を頑張れば良いか。紳士な読者なら、もうお分かりだろう。
そう……パンチラ要員キャラをであるっ!!




