第六章 聖剣の正体③
そして、オレは柄の外された茎を掴み、その刃渡り2尺3寸の刀身を台座から引き抜いていく。
それに伴い、どういう仕組みの術式だったのかは解らないが、村正が主と認めなければ抜けなかった要因であろう、台座にこもった霊気が溢れ出してきた。
そして、刀身を完全に引き抜き、その切っ先が姿を現した瞬間、一気に溢れ出した霊気が突風に変わり石造りの室内へ吹き荒れていく。
「キャッ!?」
「ひ、姫様っ!!」
「お掴まり下さいっ!!」
ソフィアの短い悲鳴と慌てた様子のメイド姉妹の声に、オレは急ぎ振りかえ――黒っ! 水色ッ! 紫っ!
じゃなくてっ!!
突風の吹き荒れる中、舞い上がるドレスの裾を気に掛ける事も出来ず、メイド姉にしがみつくソフィア。そして、捲れ上がるエプロンドレスのロングスカートに配慮する余裕もなく、ご主人様を支えようとするメイド姉妹達……
『ほほお~。コレはまた、絶景じゃのう』
『その意見には同意するが――どうするんだ、コレ?』
『台座に溜まっておった霊気が抜け切れば、自然と治まるじゃろ――しかし、あの行き遅れ姉妹。男もおらんくせしおって、無駄に妖艶な下穿きじゃな』
無駄とは思わんが、確かに妖艶とは思う。ついでに言うと、ソフィアの水色は清楚系で好感が持てる。
『てゆうか、なぜ、あの二人に男がいないって事を知っている?』
『ほっほっほっ。この横穴で話た事は、地中に巣食う亡者共を通してワシの耳にも聞こえておるのじゃ』
『亡者ねぇ……やはり、外の亡者はお前の仕業なのか?』
『まあ、のっ。昔は盗賊共があまりにも頻繁に来るものじゃから、門番変わりに喚んでおった者共じゃ』
真顔でそんな事を話しつつ、三人の下着をガン見しながら風が治まるのを待つオレ達。
やがて、溢れる霊気が治まると共に風が止み、捲れ上がったスカートの裾が重力に引かれ舞い戻って行く。
少々名残惜しいけど、仕方ない。花の時間は短いから、尊くて美しいのだ。
と、オレがすっかり隠れてしまった花園から視線を上げると、コチラへと顔を向ける三人と目が合った。
「あっ……」
真っ赤になった頬を膨らませ、端に涙を溜めた瞳を向けるソフィア。そして、無表情でジト目を向けて来るメイド姉妹から、ソっと視線を逸らすオレ。
ま、まあ、最後で少々気不味い雰囲気になってしまったけど、とりあえずミッションコンプリートだ。




