第四章 罠にハマったのは? ④
「お、お願い……許して……何でする。いえ、しますから」
「ア、アキラくん……あたし達の事、抱きたかったんでしょ? 好きなだけ抱いていいし、何でもしてあげるから。ねっ、だから許しておくれよ」
顔を恐怖で引きつらせながら、それでも必死に媚びるような笑顔を貼り付け、懇願する二人。
大変に魅力的なオッパイ――じゃなくて、魅力的な話しではある。
まあ、実際に魅力的なオッパイだし、何よりオッパイに罪はない。
しかし――
「オレを殺そうとした女――ましてや、虫唾が走るほど嫌われてる女や、イジメて泣かそうとするような女なんて、悪いけど願い下げだ」
「うっ……それは、あの……」
「こ、言葉のアヤというか……そ、その場のノリというか……」
冷ややかな目で言い切るオレに、口籠り、言葉を詰まらせる二人。
そう、オッパイに罪はないが、惜しむらくは、こんな立派なオッパイが、こんな性悪女達に付いてしまっている事。
そして、オッパイに罪はなくともコイツ等は明らかに有罪だ。
「まあ、オレは願い下げだけど、そんなに抱かれたいならコイツ等に相手してもらえ」
オレは口元に笑みを浮かべ、もう一度右手を肩まで上げた。
「ちょっ……やめ……」
「あ、ああ……あああ……」
怯える二人が向ける視線の先。十体の亡者達がゆらゆらと立ち上がった。
カチカチと歯を鳴らして必死に後ずさろうとするが、片足が地面から離れずに、1メートルたりとも後ろへは下がれずにいる二人。
「犯れ……」
そう短く命じながら上げていた手を振り下ろすと、怯える二人に向かって十体の亡者が襲いかかった。
「やめっ、助け、放してっ!」
「いやぁぁぁぁああぁぁぁぁーーーーッ!!」
二人の悲鳴が辺り一面にこだまする中、服を引き裂かれ、一方的に蹂躙されるリサとサーニャ。
まあ、このまま殺してしまってもいいんだけど……
オレは二人のすぐ近くに立つ枯れ木を見上げ、枝付きを確認すると、中指と人差し指で指刀を作り顔の前にかざしながら、木の根元に目を向けた。
「唵……」
オレが念じるように短く唱えると、木の根元に二つの魔法陣が現れる。
そして、かざしていた指刀を上にあげると、その魔法陣から青白い鎖が勢いよく伸び上がった。
霊力を物質化して作った鎖――
土御門家の人間が使う剣術の流派、神道夢幻流における幾つかの型には、剣技にこの鎖を併用する型があり、これはその応用だ。
その霊力で出来た鎖は、上方の枝を経由して急降下。そのまま影を縫っていた枝を弾き飛ばし、二人の足首、更には手首に絡まり締めあげる。
そして、鎖が完全に二人を拘束したのを確認すると、オレは上げていた指刀を勢いよく振り下ろした。
「えっ? えっ?」
「な、なに……?」
戸惑う二人の身体ごと鎖は勢いよく引き上げられ、手首を後ろ手に縛られた状態で、逆さ吊りに宙吊りとなるリサとサーニャ……
自分の身に何が起こったのか理解出来ずに茫然とする二人の姿は、服があちこち破けていて、そこかしこから白い肌が覗いている。
更にはリサの長いスカートとサーニャのローブの裾は豪快に捲れ上がり――いや、この場合は捲れ下がりか?
いや、そんな細かい事はどうでもいい。とにかく、二人のセクシーな下着が丸見え状態で、中々に素敵な光景になっている。
オレはちょうど目の高さにあるパンツから視線を下へと下げて行き、戸惑う二人の目を見据えるようにゆっくりと口を開いた。
「さて、尋問タイムの始まりだ」