episode5
蓮葵が深海魚が水族館の水槽に泳いでいた理由を話し出した。
「たまたま網に引っかかってそのまま水族館に入れられたんだってさ。にしてもたったの30分で死んじゃうなんて…かわいそうなことを…」
「違う…死んだんじゃなくて、殺されたんだ……」
紅葉や涼一と離れ、数分後リュウグウノツカイは人が眠るように、息を引き取った。雅と蓮葵はガラス越しに見える魚の居なくなった水中を眺めながら言った。
「……どうして、そう思うの?」
蓮葵が問う。雅は水槽を眺めたまま答えた。
「僕は知らなかったけど、皆は深海魚が浅瀬とかじゃ生きれないって知ってたんだろ?だったら何で水族館に入れたんだ。死んじゃうって分かってるとこに何で入れたりすんだよ!!」
泣いていた。雅は気付くと蓮葵につかみかかって泣いていた。誰かを思って--例えその誰かが人間で無くとも--悲しみを理解し泣いたことなど今まで無かった。
蓮葵はそんな雅を見て優しく微笑むと、自分より少々低い位置にある頭に手を置いた。
それはまるで子供を宥めるような仕草で、雅にとっては少し癪だったが今は少し甘えていたい気分だった。
人が傍にいる温もりを感じたのは久し振りだった。
その日の夜の事だった。
「なぁ…蓮葵さん、死ぬって……どういうことなんだ?」
それは雅が発した、重く、そして彼にとって最も大事な疑問だった。
蓮葵はそんな彼の言葉を今までで一番満足げの笑みで受け止めたのだった。
お読み頂きありがとうございました(((o(*゜▽゜*)o)))
短いですが今回はこれで終わりです(^^;;
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