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玲音side
「..あ...鈴...待っ」
鈴の教室に向かおうとしてた俺等の前から
鈴が、否、鈴と春樹が知らない男を掴んで
走り去った。
「...あいつ、誰だ?」
「玲音知らないの?」
全く心当たりは無い。
「知音...知ってるか?」
「や、俺も知らない...」
俺が知らないんだから、
知音も知ってるわけない。
「...転校生だよ、あいつ」
情報担当である那岐が興味無さげに言った。
「でも...初対面って感じじゃなかったよね」
俺等の周りで、転校生と鈴の関係を
知ってるとしたらやっぱり春樹しかいない。
でも転校生と春樹も知り合いっぽい。
それに聞いたところで春樹は絶対に
答えないと思う。
「那岐、春樹を調べ「無理」...あ?」
「昨日調べたけど俺等の知ってる情報以外
全部ロック掛かってる」
春樹自身がやったのか、鈴がやったのか...
もしくはあの転校生。
「転校生に関しては名前と年齢のみ。
女は玲音達の持ってる情報のみ。
それと....玲音、知音。
お前等は藤宮じゃないだろ」
「「!!」」
いつかは言わないといけないけど、
わかってるけど...
「.....どういう事だ」
「...確かに俺等は藤宮じゃない」
もう、隠すのも限界だ。
組の方じゃなく、財閥の方をいえばいい。
「俺は峯崎知音」
「俺は峯崎玲音」
気付かれたら言えばいい。
「待ってよ...じゃぁさ、鈴も峯崎鈴..?」
「まぁ...そうなるな」
困惑した表情の呉羽。
「鈴は...俺等と血は繋がってないけど」
悲しそうに、目を伏せながら知音が話す。
初めて鈴と会った時はちょっとビビった。
中1には見えないほど無表情で、
儚いほど綺麗だったーー....
ーーーーーーーー......
4年前のある日
「この人がこれからパパになるのよ。
ほら、鈴。挨拶しなさい」
「....藤宮、鈴」
あの日は父さんが異様に緊張してた。
俺等も再婚相手が来る事は知っていたし、
今の母さんを受け入れてた。
でも今日は娘も来ると聞いて俺もちょっと
緊張してた。
ミルクティー色の髪は少し癖があって、
透き通った緑の目は光が当たると
色が変わって綺麗だった。
「ごめんなさいね、この子人見知りで...」
ぽつ、と静かに名前だけ言った鈴は
ボーッと俺等を見た。
「俺は玲音。よろしく、鈴!!」
「知音だよ。よろしくね」
俺等が鈴を撫でると少し笑った気がした。
「鈴と遊んでくれる?」
「「うん!!」」
俺等は鈴を連れて庭にでた。
「鈴、ちょっと待ってて」
俺等お気に入りの木陰にあるベンチに
鈴を座らせて俺等はそこを離れた。
「知音、何持ってく?」
「えー...とりあえずお菓子?」
クッキーやらチョコやらを箱に入れて
そこに戻った。
「「っ...」」
そのベンチで空を見ながら涙を流す
鈴を見て、固まった。
「鈴.....?」
呼びかけるとこっちを向いた。
もうひとつのベンチに箱を置いて、
鈴に近付いた。
「大丈夫、俺等がいる」
「鈴は一人じゃない」
両側から鈴の頬にキスした。
今思えば鈴はあの頃から鈍感だった。
「...玲音と知音はいなくならない...?」
「「ずっといる」」
そう言った俺等に鈴は笑ってくれた。
今度はちゃんと。
この後からキスは挨拶だって言って
鈴とキスするようになった。
PS.この事を父さんに話したら、
実の兄妹でなければ近親相姦にはならない
から全く問題無い!!って言われた。