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はる魚介類好きだしシーフードグラタン
にしよう!!って事でエビの殻むき中。
「〜♪」
料理は楽しいから好き。
それにみんな美味しいって言ってくれるし。
「終わったぁ!!」
生クリームやら牛乳やらを混ぜたものを
グラタン皿に入れて魚介類を乗せてく。
上にチーズをかけて、後は焼くだけ!!
「あ、電話してないや」
帰ったら電話してって言われてたのに...!!
「やば、」
あんま遅いと心配かけちゃうし。
《プルルル....ー..》
「あれー?でないなぁ...」
《.....》
「もしもし、はる?ちゃんと帰ったよ」
ん?返事、無い....どうしたのかな?
「はるー?どうしたの?」
《....鈴》
「...ッ!!玲音...?」
なんで?はるの携帯だよね?
「はるの携帯になんで玲音が出るの?」
《鈴、どこにいる》
「ねぇ!!はるどこ!?」
《俺の質問に答えろよ》
まさか....いや、それはないよね...
《鈴?ごめんね、玲音苛立ってて...》
「知音っ...はるは!?なんで玲音が...っ」
もしかしたら、はるが殴られたかもしれない。
自分から携帯を差し出すとは思えない。
《玲音が一発やっちゃったけど.....
止めたからちょっと痣になっただけだよ》
......ありえない、なんでそんな...
「.........」
《鈴?》
電話を切って家を出た。
もちろん、火焔の倉庫に行くために。
「ふざけないでよっ...」
いくら家族とはいえはるを傷付けた
落とし前は付けてもらうよ。
私のバイクを走らせて倉庫へ向かった。
ーーーーーーーーーーー.....
スタスタスタ....
倉庫は静かで物音が一つない。
「っ....」
倉庫の中では一部に円形が出来てて
その真ん中に杏達、はる、はるを支えてる
葵と秋夜がいた。
「鈴...ちゃ、ん?」
周りにいる他の下っ端さん達は、
私に気付くと目を見開きながら道を開けてく。
「はる.....」
はるの右頬が青く腫れていて痛々しい。
「すー、来ちゃ...駄目でしょ...?」
玲音もヤクザの息子。
いくら殺し屋でも直撃はかなり痛いはず。
「葵、秋夜ありがとう」
私が現れた事に驚いているのか、
頷くだけの二人。
「....さて、玲音。何やってくれてんの?」
後ろを向いて睨むと顔を歪ませた。
「っ...鈴が出てくから...「だから、何?」
杏、呉羽、那岐が驚いた顔をしてる。
冷たい声、冷めた瞳こいつらの見た事無い私。
まぁこっちが本物の鈴だけど。
「スパイかもしれない奴なんて
一緒にいない方が好都合でしょ?」
「関係ねぇよ!!」
最初に疑ったのは自分達でしょ?
「あのさぁ私がどう思われようが
どうでもいいんだけど、
はる傷つけるのは許せないんだよね」
唯一、私の秘密を知ってる人。
全て知ってても同じ様にしてくれる。
「......玲音、言いたい事わかるよね」
「...殴らせろってか?」
よくわかってるねぇ。
「うん。そういう事」
玲音達も普通にしてくれると思う。
でも、それでも勇気がないんだ。
だから私には、はるだけなの。
「駄目だよ、すー」
「っなんで!!私の所為で殴られたのに!!」
やっぱり誰にも話さず出て行けばよかった。
そうすればはるが巻き込まれなかった....
「わかってるはずでしょ」
あやす様な声と手を握る温かい感覚に
何も言えなくなった。
「.....嫌い」
玲音だけじゃなくて目の前にいる5人に
向けた言葉。
私が殴ったら、避けれたのに態々正面から
殴られたはるの意味が無くなる。
「...はる、立てる?」
「大丈夫だよ」
大丈夫なわけないでしょ。
真っ青で腫れ上がってるよ?
「ちょ、おい...鈴...」
葵と秋夜が慌ててるけどスルーして
はるを手伝う。
「そんな顔しないの。大丈夫だって」
よっぽど泣きそうな顔をしてたのか、
いつもみたいに撫でられてまた手伝う。
「ねぇ....今度こんな事あったら....
覚悟しておいてね」
チラッと横目で玲音達を見て言った。