第8話:中級ダンジョンでの初失敗
王都ギルドで新たな依頼を受けたカインは、仲間たちと共に中級ダンジョン「氷結の洞窟」へ向かっていた。低ランクダンジョンとは違い、洞窟内は寒気が漂い、床には氷の結晶が張り付いている。Aランク冒険者のアランとランドも慎重な表情だ。
「ここは滑りやすいし、罠もある。油断は禁物だぞ」
アランが声を低くして仲間に言う。
「たぶん大丈夫……です!」
カインはいつものように笑顔で手を振る。無自覚に最強な少年だが、今回は少し不安が残る環境だ。
洞窟に入るやいなや、氷の床で小型モンスターが待ち伏せしていた。カインは手を振るだけで敵を吹き飛ばすが、滑った拍子に床に倒れ込み、仲間たちの前で派手に転ぶ。
「おい、カイン! 本当に大丈夫か!?」
ランドが慌てて駆け寄る。マークも笑いながらも手を差し伸べる。
「……たぶん大丈夫です!」
少年は照れくさそうに頭をかき、無邪気な笑顔を浮かべた。
しかし、洞窟の奥には氷の巨人「フロストガーディアン」が潜んでいた。巨大な氷の拳を振りかざし、洞窟を揺らす威圧感に、仲間たちは緊張する。
「よし、皆で連携だ!」
アランとランドが前衛、マークが後方支援。カインはいつものようにどじりながら、敵に向かって手を振るだけ。だが、氷の巨人の攻撃範囲が広く、カインは思わず攻撃を避けきれず転倒し、仲間たちも巻き込まれそうになる。
「うわっ、こらカイン!」
ランドが必死に支え、アランが氷の拳をかわすように指示を出す。マークも援護魔法でカバーする。カインは慌てつつも、倒れた巨人の周囲で偶然の連鎖を生み出す。氷の破片が巨人に直撃し、動きを封じることに成功する。
「……た、助かったけど、どうやって?」
アランが首をかしげる。ランドも目を見開き、マークは頭を抱えた。
「たぶん……運です!」
カインは恥ずかしそうに笑いながら答える。
戦いが終わると、洞窟内は静まり返る。仲間たちは互いに顔を見合わせ、少し苦笑いする。カインは無邪気に手を振り、照れた様子で言った。
「皆さん、たぶん、大丈夫です!」
帰路、氷結の洞窟での出来事を振り返るアランとランド。
「……Fランクだって油断してたけど、やっぱり侮れないな」
「どじっ子だけど、最強って……意味がわからん」
マークも笑顔で頷きながら付け加える。
「でも、今回のことで絆が深まった気がするな」
ギルドに戻ると、ギレンはまたも眉をひそめる。
「……お前、本当に0表示で済ませるつもりか?」
カインは肩をすくめ、笑顔で答えた。
「まあ、そうですよね。たぶん!」
マリンは微笑み、カインの頭を軽く撫でる。
「でも、確実に成長していますね」
カインは元気よく手を振る。
「ありがとうございます! たぶん!」
Fランク表示の少年は、初めての中級ダンジョンで少し危険を経験し、仲間たちとの信頼と絆をさらに強めた。どじっ子最強少年は、今日も無自覚に、そして確実に冒険者として成長を続けるのだった。
「さて……次は最上級ダンジョンかな。たぶん大丈夫!」
少年の声がギルドに響き、仲間たちの笑い声とともに、伝説は静かに次の幕を開けた。




