第4話:ギルド評価“0”の謎
森の迷宮から帰還したカインと仲間たちは、冒険者ギルドの大広間に戻ってきた。
「ただいま帰りました!」
カインは元気よく声を上げ、パーティメンバーと共にギルド長ギレンの前に進む。しかし、ギルド長の顔は相変わらず険しい。
「……で、Fランクのくせに、どうやって森の迷宮を踏破したんだ?」
ギレンは腕を組み、鋭い目でカインを見つめる。周囲の冒険者たちもざわついた。Aランクのアランとランド、Bランクのマークは、まだ少し興奮冷めやらぬ表情だ。
「えっと……たぶん、運です」
カインはいつものようにどじっ子らしい照れ笑いを浮かべる。ギレンは目を細め、ため息をついた。
「運、か……。ふん、まったく信用できんな」
しかしギルドの端に設置されているステータスパネルを見ると、事態はさらに奇妙だった。カインのステータスは依然として攻撃力:測定不能、表示:0。森の迷宮での活躍がまったく反映されていないのだ。
「……なんでだ?」
マークが首をかしげ、アランもランドも顔を見合わせる。
「俺たち、ボスまで倒したのに……」
ランドが不満そうに言うが、ギレンは腕を組んだまま答えない。
案内嬢マリンがそっと近づき、優しい笑顔でカインに話しかけた。
「カインさん、ステータス表示は不思議ですが……実力は確かです」
カインはうれしそうに頷き、手を振る。
「ありがとうございます! たぶん……ですが!」
その瞬間、アランが口を開いた。
「……このFランク表示、どう考えてもおかしいだろ。まるでギルドが間違ってるみたいだ」
ランドも同意し、マークも困惑した顔で頷く。
「いや、俺も思う。見た目じゃ判断できないな……」
ギレンはため息をつき、奥の書類をめくりながら独り言のように呟いた。
「……お前の実力は測定不能か。いや、まったく頭が痛い」
カインは少し首をかしげたが、すぐに笑顔を見せる。
「まあ、そうですよね。たぶん」
その時、ギルドの掲示板に新しい依頼が貼り出された。中級ダンジョン「廃墟の洞窟」。難易度は少し高く、罠やモンスターも増える場所だ。ギレンはカインを指さして言った。
「お前……これに挑戦してみるか?」
カインは目を輝かせ、元気よく頷く。
「はい! たぶん、大丈夫です!」
その場にいたアランとランド、マークも思わず苦笑する。
「……またFランクが活躍するのかよ」
「まったく、世の中って不公平だな」
それでも、カインのどじっ子らしい無邪気さと、無自覚の最強ぶりに少しずつ信頼を寄せ始めていた。
ギレンは書類を片付け、重い声で言った。
「……まあ、0表示でもお前の力は確かにある。だが、ギルドとしては評価できん」
カインは少し肩をすくめ、笑った。
「まあ、そうですよね。たぶん」
マリンが優しく手をカインの肩に置き、微笑んだ。
「でも、私は信じています。カインさんなら、次のダンジョンも大丈夫ですよ」
カインは元気よく手を振る。
「ありがとうございます! たぶん!」
仲間たちも自然と笑みをこぼす。Fランク表示の少年は、ステータスには表れないが、確実に周囲の信頼と期待を集めつつあった。
そして、ギルドの端で見守る冒険者たちも、少しずつ興味深そうにカインを観察する。
「……次は、どんな冒険になるのかな……たぶん大丈夫!」
Fランクの少年の声が、ギルド内に響く。
どじっ子最強少年の評価“0”の謎――その不可思議さは、これからも冒険者たちを困惑させ続けるのだった。




