第2話:初めてのパーティ募集
翌日、カインは冒険者ギルドの掲示板の前に立っていた。
「さて……パーティに入れてもらえるかな?」
胸を高鳴らせるカインだったが、掲示板には多数の依頼が並ぶ中、彼のFランク表示が目に留まると、他の冒険者たちはため息をつくばかりだった。
「……Fランクか。誰がこいつを誘うんだ?」
アランがランドに呟く。
「いや、マークくらいしかないんじゃないか?」
Bランク冒険者マーク(15歳)は渋々とした表情で近づいてきた。
「……仕方ない。お前、俺のパーティに入るか?」
カインは即座に笑顔で頷く。
「はい! よろしくお願いします!」
Aランクの二人は鼻で笑った。
「ふん、Fランクなんて連れて行けるわけないだろ」
「どうせ役立たずだ」
しかし、マークは少し気まずそうに肩をすくめ、カインに小声で説明する。
「まあ、俺はBランクだから、ちょっとくらいならいいけど……怪我しても知らないぞ」
カインは元気よく答える。
「大丈夫です! たぶん!」
こうして、パーティはカイン(Fランク)、マーク(Bランク)、アラン(Aランク)、ランド(Aランク)の4人で構成された。
依頼は低ランクダンジョン「森の迷宮」。弱いモンスターと簡単な罠がある初心者向けの場所だ。
森に向かう道中、アランとランドはカインのFランク表示にあきれ顔。
「なあ、なんでこんな奴が……」
「……もう、ほっとこう」
それでもカインは無邪気に笑い、途中で花に顔を近づけたり、道端の小石で転びかけたりする。
「……また転ぶのか、このどじっ子め」
ランドは半分呆れつつ、半分笑いながら突っ込む。
カインは「すみません」と照れ笑いしながらも、無意識に森のモンスターの姿を察知していた。
森に入ると、すぐに小型のスライムが現れる。
「よし、攻撃だ!」
アランが構えるが、カインはただ手を振るだけでスライムは宙を舞い、地面に叩きつけられた。
「えっ……今の何?」
マークが目を丸くし、ランドも口を開けたまま固まる。
「……やっぱり、Fランクじゃないかもしれない」
アランが小声でつぶやく。
カインは無邪気に笑いながら、次々と現れるスライムや小型ゴブリンを倒していく。
「た、頼む……次の敵も、無事に行ってくれ!」
マークはヒヤヒヤしながらも、カインの戦闘力に気づき始める。
しかし、カインのどじっぷりは止まらない。
小さな橋を渡る際、勢いよくジャンプした拍子に足を滑らせ、仲間を巻き込みそうになる。
「うわっ! こら、カイン!」
ランドが必死に支え、マークも手を差し伸べる。
「す、すみません!」
カインは笑いながら謝るが、その無邪気さは逆に仲間の心を和ませた。
森の迷宮を進むうちに、パーティは自然と連携を取るようになった。
アランとランドが前衛で敵を迎え撃ち、マークが後方支援。
そしてカインは、どじりながらも無意識に敵の動きを封じる「最強のサポート役」として機能していた。
ダンジョンの奥で、小型ボスのゴブリンキングが出現。
「よし、全員で攻撃だ!」
アランが前に出るが、カインはまたもや手を振るだけでボスは宙に舞い、衝撃で木々が揺れる。
「……どうなってるんだ、このFランク……」
マークが絶句し、ランドも目を見開いたまま固まる。
ゴブリンキングが倒れると、カインは笑顔で胸を叩く。
「たぶん、これで大丈夫です!」
仲間たちは突っ込みながらも、無意識に最強の力を発揮するカインを認めざるを得なかった。
森の迷宮を出た後、アランが小声でつぶやく。
「……次からは、Fランクってだけで馬鹿にできないな」
ランドも同意し、マークはにっこり笑った。
「いや、正直びっくりしたよ。でも……これからが楽しみだな」
カインは無邪気に笑い、森の出口から差し込む陽光の中で手を振った。
「さ、次の冒険も……たぶん大丈夫です!」
Fランク表示の少年が、最初のパーティ経験で仲間との絆を少しずつ築き始めた瞬間だった。




