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【完結】アーデルハイドは知らない─黒髪黒眼なのに期待はずれと追放された魔族は、痛みを以て魔界をぶっ潰します─  作者: 米奏よぞら
第一章(九歳)

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07.初めての

どこまでも広がる地平線を穏やかな気持ちで眺める。


「世界はこんなにも美しかったんだ……」


静かに感動していると、突然辺りが暗くなった。

上を向くと頭上には黒い雲が広がり、数多の稲光が見える。

本能が逃げろと警鐘を鳴らしていた。


「魔王を倒すため魔王を倒すため魔王を倒すため魔王を倒すため魔王を倒すため魔王を倒すため魔王を倒すため魔王を倒すため魔王を倒すため」


ぴかっと一際明るい光がこちらを目掛けて落ちてきた。


「魔王を倒すため魔王を倒すため魔王をた、っぱり無理!」


間一髪のところで雷から逃れ、詰めていた息を吐き出した。


「危なかった……」


「危なかったじゃありませんよ!なんで避けてるんですか!?」


駆け寄ってきたアイザックが大袈裟に溜め息をついた。


「だって雷こわいし」


「じゃあ火属性の魔法に変えますか?」


「もっと嫌だ。水ならいけると思う」


「残念ながらフェリクス様は水属性の上位魔法は使えないそうです」


完全に詰んでいる状況にルーカスが頭を抱えていると、


「ルーカス」


慣れ親しんだ声に顔を上げると、フェリクスが無表情でこちらを見下ろしていた。

いつもルーカスの前では笑顔が絶えない彼にしては珍しいな。

そんなことをぽやっと考えていると、冷たいアイスブルーの瞳に射抜かれる。


「次避けたら二度と付き合わねーからな」


それだけ言うとフェリクスは背中を向けて戻っていく。

身体が力の抜き方を忘れてしまったように動けなかった。


「アイザック、フェリクスがこわい」


「あはは、普段がルカ様に甘すぎるんですよ。フェリクス様は怒らせると怖いですから、頑張ってください」


何故か楽しそうに笑いながらアイザックはフェリクスの後を追いかけていった。


もうやめよう、魔王討伐なんて無謀な夢を語るのは。

自身の目が虚ろになっていくのを自覚しながら、そんなことを考えた。













その数分後。



「ゔああああああああああああああっ!」



座っていた体勢から後ろ向きに大の字で倒れ込んだ。

身体中がピリピリと痺れていて動かない。

無駄に頑丈なせいで想像を絶するような痛みでも気を失えないのがつらすぎる。

なぜ自分がここまで体を張らなければいけないのか。

身体のあちこちが悲鳴を上げていてもこれだけは心の底から言いたかった。


「っ、魔王の、くそったれーーーー!!」


ルーカスの渾身の叫びに遠くから二人分の拍手が送られる。

ふと痛みがなくなったことに気がつき起き上がると、全身の火傷が殆ど治っていた。


「魔族逞しすぎてこわい」


思わず呟くと、アイザックの元気な声が聞こえた。


「ルカ様、もう回復しましたよねー?フェリクス様が次は三連続でいくそうでーす」


遠目に見える顔は少年のようにキラキラと輝いていた。

なぜあいつはあんなに楽しそうなのだろう。

仕える主が雷に撃たれるのがそんなに嬉しいのか。


「お返事がないなら、五連続にしますよー」


「お前なんかクビにしてやるーー!!」


────こうして、上位魔法に撃たれる日々が始まったのだ。



【耐性レベル到達度】

火:0/100 水:0/100

風:0/100 土:0/100

光:0/100 闇:0/100

無:0/100

氷:0/100 雷:10/100

草:0/100 聖: 0/100

時:0/100 空: 0/100

重:0/100


※最上級魔法……50点、上級魔法……10点、中級魔法……5点



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