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【完結】アーデルハイドは知らない─黒髪黒眼なのに期待はずれと追放された魔族は、痛みを以て魔界をぶっ潰します─  作者: 米奏よぞら
第一章(九歳)

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04.兄弟兼親友だと思ってる

ドアがノックされ、反射的に返事をした。


「アイザックです」


その声に封魔の書を枕元へ置いて、ベッドから飛び降りる。

急いで扉を開けると、そこには覇気がないアイザックがいた。


「どうしたの、まだ調子が悪い?」


様子を伺うように見上げると、突然アイザックが頭を下げた。


「この度はルカ様をお守りできず、誠に申し訳ありませんでした」


その時になってようやくアイザックが涙声なことに気がついた。

とりあえず近くを通った使用人に温かいミルクを二つ頼み、アイザックを部屋の中に招き入れる。

普段はうるさいほど喋るのに、今は口を固く閉じていた。

急かすのはよくないだろうと思い、ミルクをちびちび飲んでいると、


「俺はルカ様をお守りするために、フェリクス様に破格の待遇で雇われました。それなのに、今回のような失態をおかしてしまい、どのように責任をとればいいか」


「ごめん、ちょっと待って」


ミルクを全て飲み干し、アイザックの青い瞳を真っ直ぐに見つめた。


「まず、僕はアイクを只の護衛として見てないよ」


「……それは、どういう意味ですか?」


「兄弟兼親友だと思ってる」


ぽかんとしたアイザックを見て、ルーカスは小さく笑った。


「だから、アイクは僕の傍にいてくれるだけで十分なんだ」


「……『お前なんかクビだ!』が口癖なのに?」


「それはアイクの趣味が僕をからかうことなのと、お前の顔が無駄にかっこいいのが悪い」


「そこはいい加減慣れましょうよ」


アイザックがへらっと笑ったのを見て、こっそり胸を撫で下ろした。

彼にしおらしくされるとこちらの調子が狂ってしまいそうだ。


「それにしても、いつの間にか俺はルカ様の兄になっていたんですね」


上機嫌に言うアイザックに思わず苦笑を漏らす。


「そのせいで魔族に決闘を申し込まれたらごめんね。先に謝っておくよ」


「どういうことですか?」


怪訝な顔をするアイザックは敢えて無視して、ルーカスは身を乗り出した。


「フェリクスから封魔の力について聞いた?」


「はい、とても信じがたいお話で……。ルカ様にとっては喜ばしいことかもしれませんが、正直俺は心配しています」


珍しく真面目な表情のアイザックに、首を傾げる。


「心配?」


「大きな力にはそれ相応の代償がつきものですから」


その言葉に、はっとさせられた。

確かに魔法を無効化するなんて力をノーリスクで扱えるわけがない。

そう思い至ったところで、封魔の書が目に入った。


「あれに何か書いてあるかも」


ベッドに駆けより、少し緊張しながら本を開く。

そこには走り書きがされていた。


[黒の瞳をもつ者のみ、主たる資格を得られたり]


「主たる資格……?」


疑問に思いながらページをめくると、その次は白紙だった。

しかし次の瞬間ぽわっと黒い文字が浮かび上がり、現れた文章に思わず全身が震えた。


[第二十四代魔王ギルバートが七男アーデルハイドを本書の主と認める]



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