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【完結】アーデルハイドは知らない─黒髪黒眼なのに期待はずれと追放された魔族は、痛みを以て魔界をぶっ潰します─  作者: 米奏よぞら
第三章(十五歳・後編)

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32.あにしゃま

「私は認めないぞ」


聞き覚えのある低い声がして視線を移すと、部屋の窓際にイザヤが腰掛けていた。

しかし恐ろしいほど整った顔は不機嫌そうに歪められている。


「イザヤ兄上!」


「世界一可愛い弟が変態に誘拐されたと聞いたから急いで来てみれば、全くもってけしからんな。お前はまだ十五の子供なのだから、あにしゃまにだけ甘えておけばよいのだ」


彼の咎めるような視線から、リアを隠すように抱きしめる。

その状態で柔らかく微笑めば、イザヤは胸を抑えて小さくうめいた。

これで不快な思いは消滅したはずだ。


「兄上はお一人でいらしたんですか?」


「フリードリヒと一緒だ」


「兄上は今どちらに?」


「シャルルに話をつけにいっている」


「え……?」


そんなことをすれば、フリードリヒは酷い目に遭うのではないか。

シャルルが兄弟で一番強いのに対し、彼はおそらくルーカスの次に弱いはずだ。

二人の考えが見えず、リアを抱きしめる腕に少し力を入れていると、


「交渉成立したから、早くお暇するぞー」


「さすがフリードリヒ様、頼りになりますね」


アイザックとともに入ってきたフリードリヒに目を丸くする。


「本当にシャルルが僕たちを解放するって言ったんですか?」


「そうだ」


「……なにを言ったんですか?」


訝しげに尋ねると、フリードリヒはあからさまに視線を逸らした。

さすがにここまできて嘘を言うことはないと思うが。


「…………ガキは知らなくていいんだよ」


「それって」


「貴様、昔から純粋なアーデルハイドを穢すなと言っているよな」


重ねられたイザヤの言葉に全てを察した。

シャルルにその手のやり方が通じるのは正直知りたくなかったが、今回はありがたく思っておこう。


「なんだよその言い方。僕は元々アーデルハイドの前では気をつけて話してる」


「しかし私の天使は貴様を見て女を覚えてしまったではないか。どう責任を取るつもりだ」


「そもそもリア嬢はアーデルハイドの婚約者だからなんの問題もないだろう」


「まだ十五なのに?」


「僕は十歳で…………………………皆、早く帰ろうか」


わざとらしい笑みを浮かべるフリードリヒの後ろでイザヤが大袈裟な溜息をつく。

拍子抜けしたが、何もせずに魔界を出られるのは嬉しい限りだ。


「…………本当に、ありがとうございます」


静かに頭を下げると、二人の動きが止まった。


「私たちはアーデルハイドのあにしゃまだからな」


弾んだような声に顔を上げると、穏やかな表情をした兄たちの姿があった。


「……いい加減、あにしゃまはやめてください。聞いてるこちらが恥ずかしいので」


少し紅潮した顔でそう言って視線を外すルーカス。

そんな素直になれない弟を見つめる彼らの瞳はどこまでも優しかった。





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