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【完結】アーデルハイドは知らない─黒髪黒眼なのに期待はずれと追放された魔族は、痛みを以て魔界をぶっ潰します─  作者: 米奏よぞら
第三章(十五歳・後編)

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30.会いたかった

「またいつでもおいで」


笑顔で手を振る魔王に頭を下げて執務室を出る。

何気なくアイザックの顔を伺うと、見たことがないほどの無表情だった。


「アイク、顔がこわいよ」


「カッコよすぎるの間違いでは?」


「それ自分で言っちゃうの?ナルシストは嫌われるよ」


「事実ですから」


真顔で言うアイザックに耐えきれず、声を上げて笑う。

彼から見ても魔王の言動は不快だったのだろう。


「……これからは一日に四回連続で撃たれようかな」


「絶対に不可能な目標を掲げるのやめてください。無理してもいいことないですよ」


「でも今のままだったら」


向こうから歩いてくる男女の姿を見て、言葉を止めた。

見知らぬ二人であれば、気に止めることはなかったが。


背の高い美青年の言葉に黒髪の美しい少女が楽しそうに笑う。

その笑顔に遠目でも胸の奥がひどく締め付けられた。


「リア…………」


小さな声だったはずなのに、リアがこちらを見て驚いた表情をした。

既に終わったものとして目を背けていた思いが一気に溢れてくる。


ルーカスを好きと言ってくれた女の子。

生まれて初めて一緒にいたいと思った女の子。

何も言わずに、ルーカスの前から姿を消した女の子。


当時は裏切られたような気持ちになって、感情の整理ができなくなった。

あれから、必死に忘れようとした。

もう少しで淡い恋心もなくなりそうだったのに。


「アーデルハイド様、なぜここにいらっしゃるの?」


慌てた様子で駆け寄ってきたリアを目の前に、言葉を発することができない。

自分はまだ彼女のことが好きだと分かってしまったから。


「アーデルハイド様……?」


心配そうに無言のルーカスの顔を覗き込むリア。

綺麗な紫色の瞳に見つめられて、思わず彼女を抱きしめる。


「会いたかった……」


我ながら情けない声だった。


偶然リアに会うことがあっても、気付かないふりをして通り過ぎよう。

そんなことまで考えていたのに何の意味もなかった。


「少し、離れていただける?」


彼女の冷たい言葉に、全ての思考が停止した。

自分が捨てられた側であるという現実が突きつけられる。

名残惜しくも身体を離すと、リアは小さくお礼を言った。


「イヴァン。私、アーデルハイド様にお話があるから、先に帰っていただけるかしら?」


「ああ、わかった。……殿下、失礼致します」


そう言って爽やかな笑顔で立ち去るイヴァン。

高身長で爽やかなイケメン。

いかにもモテそうなタイプの男だ。

…………ルーカスとは違って。


「ごめん。つい、嬉しくて……」


自分勝手な行動を反省しながらも、リアの顔が見られずに下を向いた。

すでに切られた関係なのに、彼女に嫌われたくなかった。


「アーデルハイド様のお部屋にお邪魔してもよろしいかしら?内密にお話したいことがあるの」


耳を済ませばギリギリ聞こえるほどの音量で伝えられた内容に、驚きながらも慌てて頷く。


「それでは、行きましょう」


そう言ってリアがルーカスの手を遠慮がちに掴んだ。

心なしか彼女の顔は赤く色づいて見える。


ぎこちなく歩みながら繋いだ手に少し力を入れると、小さな力で握り返された。





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