勇者の真実
ちょい長めです
口の中でカーバンクルの魔石を転がす。
ウンウン美味美味
ボアを仕留めた俺は、素材を換金した。
カーバンクルの毛皮×21=105G
カーバンクルの魔石×15=450G
ゴブリンの牙&角×4=12G
ボアの肉×1=200G
ボアの牙×2=300G
合計で1000G以上ある。これでしばらくは金に困るまい。
カーバンクルの魔石が毛皮の数と合っていないのは食ったからだ。自分で捕まえたんだぞ!文句あるか!
あと1000Gの内200Gは食事に回した。屋台の串焼きが美味しそうだったのだ。食欲には勝てん。
ちなみに毛皮は冒険者ギルドにて寝袋にしてもらっている。
代金さえ払えば冒険者でなくとも買い取りや解体を行ってくれるみたいだ。
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俺はボアを狩っていた。
武器屋の店長から防具を買い、再挑戦していたのだ。
いや、勝ったんだから再挑戦ってのはおかしいか?
こういうのはなんていうのかな?周回?
何はともあれ、遠くから炎弾を打ちまくってボアを三体ほど狩った。一匹狩る事にギルドと草原を往復していたので、あっという間に時間がなくなってしまった。
お陰でレベルは25まで上がったが。
それと初めて魔法を使った感想だが、何だか物足りない。
いや凄いワクワクしたし、ノリノリで技名叫んでたけどさ。童心も刺激されたけどさ。
当たってもボアが平気で突っ込んでくるから何か冷めたのだ。なんか、しょぼって。
さて、召喚されたのが早朝。初めてボアを狩ったのが昼過ぎ。そして今が夕方ごろだ。街につく頃には夜になっているだろう。
こう考えると一日でだいぶ冒険したな。武器屋の店長情報によると30Lvまではわりとすぐ上がるらしいが、明日はこうもテンポよく進むなんてことはないだろうな。
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俺はギルドから寝袋を受け取り、どこか眠るところを探していた。
街の外で寝るわけにも行かないしな。
と、言うわけで俺は薄暗い市場にいた。
いやまあ夜だから当たり前なんだが。
月は何故か霞んで見え、眼の前には灰色の倉庫がいくつも並んでいる。
稀に人の影が見えるが、体格から見るに全員屈強な体を持っている。なんだか、そう。闇市みたいな。
まあ見つかりにくいなら好都合だが。
ということで寝るとしますか。
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寝袋に入ってから小一時間ほどたった頃だろうか。すすり泣くような声が聞こえて、目が覚める。
え?! 何何々!!??幽霊!?
俺美味しくないよ?!
すると、すすり泣くような声が止む。
そして怒鳴り声が聞こえた。
「おい!手間かけさせんじゃねぇ!こっちは仕事してんだよグズ!!」
…あれっ。ここってわりとやばいところだった?
足音が聞こえて、一人のマッチョな男が倉庫らしきところから出てくる。
...ちょっと行ってみるか...
よし!助けられそうだったら助ける!無理そうだったら逃げる!
これで行こう!
ゴーストバリアを展開して倉庫に近づく。幸いさっきの男の仲間はいない様だ。
そして、倉庫の中には、数十個もの檻があった。
はい持って帰るの無理ですねお疲れ様です。
まるで映画なんかでたまに見るサーカスの裏側みたいな感じだ。
まあ入っているのは人間だが。
気の毒だが、もし俺がこんなところにいるのがバレたら、ここのサーカスに強制参加させられる可能性がある。大変気の毒だが、俺が捕まっては意味がない。
もし機会があったら、助けてあげよう。そう思って立ち去ろうとする。
その時、何かが地面に何か光るものが落ちているのが見えた。
なんだろうと見てみると...
え?
いやいや、まさかね?
落ちていたのは、学ランのボタンだった。
転生前なら何も思わなかっただろうが、ここは異世界だ。
ということは、檻の中って、
檻にかかっている布を取る。
すると中には数人の男女がいた。問題はそこではない。
全員が、制服を着ていた。
どこの学校かは分からないが、間違いなく地球産だ。
「おい。」
話しかける。
すると彼らは驚いたようにこちらを見る。
女が口を開きかけたので、手で静止する。
「聞きたいことはあるだろうが、どうしてこんな状況になっているのかを教えてほしい」
いつあのマッチョが返ってくるかわからんしな。
すると、女が口を開く
「助けてくれるの?」
「できたらな。だが今の俺じゃ出してやれん」
檻を鑑定してみたが、ただの鉄製の檻ではない。
帯電石とやらが使われているらしく、触っただけで電気が流れる。多分俺じゃ檻を壊す前に電気で死ぬ。
そう言うと、女は少し考え込む。
すると隣の男が言う。
「なんでもいいから出してくれよ!!お前もこんなとこ来るなんてどうせロクなやつじゃないんだろ!せめて俺の役に立てよ!!」
うわぁ、帰ろうかな。
俺が嫌な顔をする。
すると、間髪を入れずに隣の女子が言う。
「待って!助けてくれるんでしょ?いいわ。何でも話すから!」
そうして俺は話を聞いた。
「私達は変な集団に異世界から召喚されたんだけど、そいつらに奴隷にされられそうになったの。その時に、私達を探していた騎士団に助けられたの。」
彼女が言うに、そのまま城に招待され、魔王と戦うために訓練を行っていたのだという。だが、ある日からクラスメイトが消えるようになったらしい。
「弱い子から消えてくの。次は自分なんじゃないかとビクビクしてたわ。」
そしてついに自分の番になった。
今まで優しくしてくれていた騎士団たちに捕まり、奴隷として売られたのだ。
「異世界からの召喚は、一週間に一回くらいのペースで行われているらしいわ。毎回弱い人と強い人に分かれるから、強い人は国の戦力にして、弱い人は奴隷にするみたいなの。騎士団長が最後に言っていたわ」
なるほど。
考えてみれば不審な点はいくつもあった。なぜあんなにもタイミングが良かったのか、召喚に使う魔導具とやらがなぜあんな弱い集団に奪われたのか。
彼女が言ったことが本当ならすべて辻褄が合う。
なぜ直接奴隷の首輪をつけずにこんな回りくどいことをしたのかは分からないが。
と、その時
後ろから声がした
「あれ〜何してんのかと思ったらもやしじゃーん」






