異世界だという事実
説明会というか、物語の繋ぎの回となります
「まず、鑑定からだ」
騎士団長っぽい男、いやもう騎士団長でいいだろう。騎士団長が手を挙げると、女が現れ、俺たちを見つめたあと、黒板のようなものに何かをし始めた。
「こいつは凄腕の鑑定士でな。お前たちのステータスを確認してくれているんだ」
そこで、女が黒い黒板のようなものを配り始めた。
黒板が次々とまわされていく。
全員に配られ終わった時、俺は自分の黒板を見る
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名称:ハヤト·タカハシ
Lv:1
適性:霊、結界
ステータス:
攻撃力:32
防御力:37
魔法力:62
素早さ:41
固有スキル:
【ゴーストバリア】Lv1、【フィジカルバリア】Lv1
通常スキル:
【鑑定】Lv1
称号:
ーーー
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……………………これは、どういうことかな?
ステータスが低いのはまぁどうでもいい。成長の余地があると喜んでおこう。
これ、完全に異世界だよね。
いや待て!騙されるな俺!
こいつらは俺たちをこうして洗脳しようとしているんだ!
「その、異世界?なんて信じられないと言いますか、なにか証明になるものを用意していただけませんと、ッ」
由紀が話しかける。ナイスだ由紀!
騎士団長が顎に手を当てながら考える。
「そうだな...なにか効果的な方法は...」
団長は顔を上げると
「よし。そこのお前。確か聖弾が使えるようだな。やってみせよ。」
クラスメイトの一人を指さした。
「え…僕ですか?」
選ばれた学生は、優一と並ぶクラスのカースト最上位、渡辺大輝だ。 一見正義感が強く、いい奴に思えるが、性格が悪く、目の前でイジメが行われていてもなんとも思わないような性格の持ち主である。まぁこのクラスのイジメを引き起こした張本人でもあるのだが。
「やってみせよ、と言われましても…」
「案ずるでない。聖弾と念じれば良いのだ」
大輝はあれこれ言っていたが、途中で諦めたようで、素直にやり始めた。
「【聖弾!!!】」
大輝が叫ぶと、直径30センチほどの白い光の塊が現れ、まっすぐ飛んでいった。
「さて、これで信じてもらえたかな?」
大輝を含んだ全員が唖然とする中、俺は固有スキルの発動に成功していた。
【ゴーストバリア】
周囲の生物から認識されにくくなる。死霊には効果がない。
どうやらこれで俺は影が薄くなったらしい。
ありがとう騎士団長。これでバレにくくなった。
この格好(制服)のまま出ていっても目立つだろうから、落ちていたローブを羽織り、俺は外に出ていこうとした。
と、そこで足を止める。
いじめられっ子こと中津安志が気がかりだったのだ。
転生したからといって、イジメがなくなるわけではない。このまま放置しても、イジメが再開するのは目に見えている。
生前、というか転生前は何もしてあげられなかったが、今から俺は旅に出るのだ。連れていってあげることもできる。
後から声をかけようとすると、何やらブツブツ言っているのが聞こえる。
「ああ……………とうとう僕の………………きっと今までの…………」
何を言っているのかはわからず、一瞬話しかけるのを戸惑うと、安志のステータスが見えた。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名称:ヤスシ·ナカツ
Lv:1
適性:暴、闇
ステータス:
攻撃力:110
防御力:70
魔法力:78
素早さ:51
固有スキル:
【暴竜の風】Lv1、【血氣咆哮】Lv1
通常スキル:
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称号:
ーーー
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……………………イジメの心配はなさそうだな。
むしろ返り討ちに合わないか優一たちが心配だ。
俺はクラスメイトを鑑定しまくっていたが、ステータスは平均が40から50くらいだった。
いやおかしいな。それに何だよその固有スキル。ばっち厨二病じゃん。
まぁこれで心置きなく出発できるというものだ。
そうして俺は建物から出た。
主人公の名前なんですが、考えるつもりはなかったんですよね。名前は設定上あるってだけで基本的に「俺」として扱って行きたいと思います。