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異世界だらだら旅  作者: トマト
23/36

本当の旅立ち

俺はポテイエリアを出て、次の街へと向かっていた。


「マスクさん…その…」


「もういいよ…どうにもならないし…」


メラの問いかけに、暗い声音で答える。


俺達は、ミケとメラの三人組で休憩をしていた。


他の廃棄勇者たちは、俺の非常食として連れ去られていたということにしたら、あっさりと孤児院に預けることができた。

お陰でろくなお別れもできなかったが。


「はぁ、なんでここまで落ち込むんだろう」


自分に問いかける。


美枝が死んだのは、正直自分が死んだときよりもショックだった。


付き合いで言えば、チンピラなんかのほうが遥かに長いのに。


まぁ前世では幼稚園のガキにすら下に見られていたからな。

ああやって好きなことを言い合えるのが楽しかったと感じたのかもしれない。


「なおーん」


ミケが鳴く。


「おい…どうし…」


「にゃにゃにゃーにゃっ!」


ミケが優しげな目をして訴えかけてくる。


「にゃんにゃなぉ〜」


「ミケ…」


「にゃ!」


「何言ってるかわからん」


「…」


ミケがヤクザが睨んだ時のような顔になる。


でも、きっと元気づけてくれたんだよな。


ありがとうミ…ああ!!ちょっ!痛い!!引っ掻かないで!!!痛い痛い!!!


「フーッ!フーッ!」


「ミケさん落ち着いてください!!!」


「落ち着け!!ちょっ!!まじで落ち着け!!!」


一応俺が助けてやったんだがな…

愛犬ならぬ、愛猫に手を噛まれるとはこの事か。


まぁでも今のでちょっと元気が出た。


いつまでもうじうじしてても仕方ないよね!


「ふぅ!!よし!!次の街行くぞ!!」


美枝が死んだショックがなくなるわけではない。


だが、今は空元気でもいいから旅を続けようと思えた。


「あっ、ちゃんと食器片付けてくださいね」


「………もうちょっとだらだらしてくか」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「ところで次の街ってどこなんですか?」


休憩を終えたところで、メラが聞く。


「ああ。そこらへんの商人に()()()んだけど、ここを更に東に行くと情報街とかいうところにつくらしい」


「ジョウホウガイ?」


メラが目をぱちくりする。


「情報が集まる街だからだそうだ。詳細はわからん」


「へぇ~。でもなんでそこへ?」


「どうやらそこは情報だけでなく犯罪者が集まる街らしくてな。入るのに身分証を要求されないらしい」


「………ふぇ?」


メラが間抜けな声を出す。


どうしたんだろう。


「いや!!犯罪者て!!超危険なとこじゃんかよ!!」


メラが怒鳴りだす。



えっ!?何何!!??

口調めっちゃ変わってるんだけど!!



「あっ…失礼いたしました。つい素の口調が…」



あれが素のメラか…


メイドは怒らせないようにしよう…


「オホン。ところで犯罪者と身分証になんの関係が?」


メラが態度を改めて聞く。


「ああそれはな…」


まず情報街…レミビタは、ロドウレ大島国の最東端に位置する、犯罪者が最後に行き着くとされる街だ。


犯罪者をあえて受け入れることで、仕事につかせ、更に通常よりも安い賃金で働かせることで便利な労働力としているのだ。

犯罪者たちは他に行く宛もないので、安月給にも耐える他ない。


国は犯罪者たちの逃げ場を作ってやることで、彼らを労働に縛り付けているというわけだ。


俺が商人から聞けた情報はそれだけだ。


「相変わらずゲスいやり方しますねこの国は」


「まぁ国にとってはいい事ずくめだし、理にかなってるっちゃ理にかなってるがな」


そう言って視線をメラから逸らす。


「俺はそこで身分証…ギルドカードって言うのかな?それを作ろうと思う」


そのほうが旅をするのも色々楽だしな。


「ところでお前はどこまで俺たちについてくるつもりなんだ?」


「?、なんでですか?」


「いや、ミケは俺についてきたいって言ってたから連れてきたけどさ、メラは孤児院に入りたくないってついてきただけだろ?俺達と一緒に居たいわけでもあるまいし…」


ミケがぶんぶん首を振っているが、無視だ無視。

自分で言うのも何だが、無視に関してはこの世界トップクラスだと思う。


「あ〜、そうですね。初めてあった時はさっさと離れたいって思ってましたけど、今はあなた達といるのも楽しいと感じるので。」


「ので?」


「世界の果てまでついていきます」


はぁ…


はぁ?!


えっ!?はっ!?


ああ…うんうん


「お前はとりあえず情報街で降りな」


「えっ!ひどいです!なんと言おうとついていきますからね!」


はぁ…


なんでこいつらは俺にこんなに懐いてるんだ…

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