2、就職に失敗して迷走、挙句の果てに怪しいビジネスに引っかかって借金を背負う絶望②
はい、再び戻ってきましたー。
前回の続きですね。
その日はかなり暑い真夏の夕方でした。
自分は暑さを避けつつのどの渇きを潤そうととあるスーパーに入りました。
そしてジュースを売っている自動販売機に向かって一直線に歩みを進めたのです。
すると自分の背後から自分の名前を呼ぶ女の人の声が聞こえたのです。
思わず私が振り返ると、視線の先には自分と同世代と思しき女の人が立っていました。
「…私、○○(自分の本名)君と高校の同じクラスだった○○だけど覚えてる?」
私はとりあえず自分の高校時代の記憶をたどってその人の顔を必死に思い出そうとしました。
(…ひょっとして…!)
私はようやくうっすらとその人の顔を思い出しました。
「…私ここで活動しているの、もし興味を持ったら連絡してください!」
すると私がその人、仮にAさんとしておきましょう、の顔を思い出したのを察知したのか、間髪入れずにそうたたみかけながら、私の目の前に一枚の名刺を差し出しました。
私はその名刺を無視…、するなどということはなく、極めて素直に受け取りました。
「待っています!」
最後にそう言い残すと、Aさんはその場から去っていきました。
これは…、運命の出会い…、なんてことは思いませんでしたが(そりゃそうだ!)、私はその場に立ち尽くしてしばらく名刺を眺めながらぼんやりと考え込みました。
これは怪しい、極めて怪しい…。
そりゃあそうです。
高校の同じクラスだったという以外何の接点もなかった人間が突然名刺を渡して連絡してこいという。
普通に考えれば何か裏があるに決まっています。
しかし当時の私はそんな当たり前のことにさえ考えが及ぶことはありませんでした。
今にして思えば当時の私は自分の置かれた環境に完全に絶望しきっていたのでしょう。
定職もなく未来の光さえさっぱり見えない状態。
今風に言えば、私はこんな世界にはさっさとおさらばして“異世界転生”したかったのでしょう。
何より当時まだ二十代前半の私はこうしたことの裏側を見抜くにはあまりにも世間知らずでした。
私は自販機でジュースを買って中身を飲みました。
そしてそのあと自家用車に乗り込み、自宅へと向かう車内の中でぼんやりとどうするべきかを考えていました。
そして家に帰ると、意を決して携帯(当時はいわゆるガラケーでした)をかけました。
もちろんかけた先は例の名刺の電話番号でした。
次回、今度こそ本格的にヤバイことが起こります。
次こそはしっかりと皆さんの期待に応えます!(笑)