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3、上京するも相変わらず定職に就けず、ついには病気になって倒れる絶望②

 はい、前回の続きです。



 働かざるを得なくなった私は実に軽い気持ちで、ネットで見つけた日雇い派遣のバイトを始めました。

 まあ、この手の仕事をやった経験のある方なら分かるかもしれませんが、基本人間扱いはされませんでしたね。

 熱が39℃くらいあっても休むことは許されなかったりします。

 しかも時給は安いので本当に底辺の仕事です。



 そんな仕事をしながら日銭を稼ぐような状態が数年ほど続いたある日のことです。

 私はインフルエンザにかかり、寝込んでしまいました。

 熱は数日ほどでひきましたが、身体にある異変が起きました。

 なぜか左腕が全く動かせなくなってしまったのです。

 原因はさっぱり分からないのですが、とにかく病院に行こうと思い、必死に布団からい出て何とか病院にたどり着きました。

 病院に着いて先生に診てもらいました。

 すると先生は特に病名などは告げず、即座にもっと大きな病院に行くよう言いました。

 私は救急車に乗せられ、市民病院へと担ぎ込まれました。

 そこで様々な検査を受け、告げられた病名は“脳梗塞”。

 要は脳の血管が切れており、左腕が動かなくなったのはそれが原因でした。

 ちなみに当時は左腕ほどではないのですが左半身自体が動かしにくく、左足を引きずるような感じで歩いておりました。

 もちろんその場で入院決定です。

 そしてその日の晩は集中治療室に入ることになりました。


 その日の晩私は集中治療室で一夜を過ごすことになりました。

 点滴をされているため自由に動くことはできません。

 あと私は幼いころから持病で鼻炎があるんですけど、普段は市販の点鼻薬を使っておりました。

 ただそのときはあいにく持っておりませんでした。

 なので鼻が完全に詰まって呼吸できなかったんですよね。

 しかも運が悪いことに私が入院したのがたまたま土曜日だったんです。

 その病院には耳鼻科もあったのですが、土日が休みでした。

 当然点鼻薬を取りに家に戻ることなどできませんので、月曜日まで鼻詰まり状態が確定です。

 さらに基本的に集中治療室の病室の扉って常に開けっぱなし状態なのですが、廊下の方から変な声が聞こえてきたんですね。

 おそらくおばあさんの声だったのですが、ここから出してー、とか、○○に会わせてー、などとそれこそ一晩中うめき声を上げておりました。

 今思えばそのおばあさんは認知症だったのではないかと思われるのですが、とにかく当時の私には本当に気味悪く聞こえたものでした。

 ちなみに私は若いときから病気らしい病気はしたことがなく、入院もしたことはありませんでした。

 初めての入院、半身不随、鼻詰まり、否応なしに聞こえる不気味な声…。

 このときの私は本当に気が狂いそうでした。

 死にたいと真面目に思ったほどです。

 それを看護師さんに言ったらもちろん叱られましたが。

 自分の人生を振り返ってもこのときほど苦しいときもなかったかもしれません。

 仕事も夢も失ってまさに人生どん底でした。

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