モブ転生 1
ちょっと話作りに行き詰った時にサラッと作ってしまいました…
神鋼のソウルスミスとは違った方向性ですが、人生ちょっと疲れた時に読んで頂けたら少しは気が晴れるかも?
よろしくお願いいたします!
「ククク…恐ろしく早い攻撃…俺でなきゃ見逃しちゃうね…」
何気ない仕草から始まったその行為は目にも止まぬ手刀が一閃しあっけなく幕を閉じた。
地べたに這いつくばった俺はそう呟き、懐から煙草を取り出し火を点けた。
「ふぅ…染みるな…」
その言葉と共に意識は混濁し、即座にホームポイントへと転送された。
すぐに目の前が明るくなった俺は目をパチパチとさせると、一息ついた。
「はぁ…なんやねん。あの攻撃速度は…」
ベッドから起き上がった俺は先程の戦闘を録画を見返した。
相手はトップギルドであり、何度も世界大会で個人入賞を果たした猛者である。
国内トッププレイヤーと言っても過言ではない相手を前に俺は捨て台詞を吐くことしか出来なかった。
大人になってから始めた仮想世界VRMMORPG【Ready Hunter】にドハマりして早2年。
仕事と並行して始めたこのゲームに全てを賭けた、そう言っても過言ではない程に夢中になって、振り返ってみれば中級者の域を出るか出ないか程度の技術しか持たない…この中途半端なプレイヤーから抜け出せないままだ。
このゲームは個人の反射神経がそのまま反映されてしまう仕様になっており、その結果超人染みたプレイヤーがトップを独占するようになってしまった。現実世界の人間仕様がそのままゲームの世界にまで如実に反映したこの歪な世界は俺にとって厳しいと言いようが無かった。
取り立てて何か秀でた才能があるわけじゃない。
それでもこの怪物だらけのこの世界で中堅として生き残っていることを誇るべきか。
才能あるプレイヤーはスターダムの、陽の当たる世界へと旅立ち、俺ら凡人はそれを嫉妬交じりの眼差しで見るだけ。あぁなんてぇ様なんだろうか。
潮時か。
俺は最近何度もそう考えるようになっていた。
もう数年で30歳を迎える年齢に差し掛かっている。
身体も年々きつくなってきた。
昼は仕事で、夜はゲーム。
これを何年も続けて来たがとうとう限界を迎えたんだろう。
遊びとしてゲームを続ければいいじゃない。
そう何度も思った。
だがダメなんだよ。
ここまで熱を持って、入れ込んだモノはこれしかねぇんだよ。
「はぁ…カッコ悪いなぁ」
最初は俺が敬愛する漫画、【2人の狩人】を参考にPK旅団なんて作ったら…クールじゃね? なんて思ってたのがいつの間にか狩られる側へと成り下がり、そして狩られた時に捨て台詞を吐いて消える有名モブに更に成り下がるなんて…まぁ俺の捨て台詞は結構面白いと評判なのだが…
拠点の天井を無意識に見上げた。
そこにはいつもの天井が俺をまた覗いていた。
この時の俺はまだ知らない。
人としての生を終え、次なる世界へと旅立つことになろうなんて。
モブが異世界転生するまで後、1話ッ!!!
【※ここまで読んで頂いた皆様へ大事なお願いがあります※】
ここまで読んで頂きありがとうございます。
拙作ではありますが、少しでも「面白い!」や「続きが気になる!」等々
と心の中に少しでも抱いて頂けましたら
広告下↓の【☆☆☆☆☆】からポイントを入れて応援して下さるととても、それはとても嬉しいです。
ぜひこの拙作のモチベーションを維持して頂くためにも、何卒宜しくお願い致します。