1 一目惚れ
私は桃山結愛。多ノ坂学園の小等部5学年に通っている。
この学園は小等部から高等部までのエスカレーター式。この学園に転入生は珍しく。担任と一緒に教室へ入室した。
「転校生のクリストフ君、自己紹介をお願いします」
「はい。奏多・クリストフです。国籍はアメリカ。特技はバスケで、趣味もバスケです。父の仕事の都合上、日本へ来ました。高等部卒業後帰国しますが、仲良くしてもらえると嬉しいです」
へえーー、アメリカの……奏多ってことは日本人との八ーフか。私は彼の話し方やあの優しそうな瞳が好きだなぁ。
んっ、好き? ……これが一目惚れってやつ?
そんなことを考えているとクリストフ君と目が合い、微笑まれたのが恥ずかしくて俯いてしまったが、もう一度クリストフ君を見ると、私をずっと見ていた。
「席は……後ろにいる桃山の隣に座ってくれ。桃山、教科書を見せてやってくれ」
「はい、分かりました。
私は桃山結愛です。クリストフ君、今日からよろしくね」
「ありがとう。桃山さん、よろしくね」
仲の良い友達のナツとは、いつも一緒にお昼を食べていたのに断られてしまった。
気付けば放課後になり。先生に呼ばれた私は、奏多君と職員室へ行くと「桃山は帰宅部だからな」という理由で学園案内を押し付けられることに……。
全てを案内したあと、途中まで一緒に帰った。
私の恋は今日この時から始まった。
「おはよう」
「…………」
誰も挨拶を返してくれなかった。私何かしたっけ?
何度考えても分からないし、何かした覚えもない。
昨日は私の隣の席にクリストフ君が座って、一緒に教科書を見て、帰宅部の私が学園の案内を先生に頼まれたくらい……。もしかしてと思い、クラスの女子を見ると私を睨んだり、ヒソヒソしたりしていることに気付き、その中にナツがいてショックだった。
「雪野奈々ちゃんの彼氏と手を繋いだって聞いたんだけど? その彼がクリストフ君で、昨日から付き合ってるって言ってた!人の彼氏に手を出してんじゃないわよ!!」
「手なんて出てないし繋いでもないよ! そんなのただの噂でしょう? 友達の言葉を信じてよ! 噂話を信じないでよ!」
私はナツの心にぶつけるかのように言葉を投げたが、私の言葉は届かなかった。
この日から私はイジメ対象者にされ。奈々ちゃんがみんなに『彼氏に言い寄る最低女』『彼に抱きつこうとした』『別れさせようと企んでる』と嘘を言い回り、靴の中に画鋲を入れられたり、砂を入れられたり。文房具をゴミ箱に捨てられ、ノートには誹謗中傷でいっぱいだった。
誰もいない教室で泣いていると、いつ来たのか分からないが、クリストフ君が私の肩にポンっと手を置き、話を聞いてくれ。自分の汗を拭いたであろうタオルで顔……涙を拭いてくれた優しいクリストフ君。
でも……。
「クリストフ君、なんか汗臭いよ」
「我慢しろって、拭くものがコレしかないんだよ。全くユメは泣き虫なんだな」
翌日の朝。私は女子トイレに連れて行かれ、バケツに入っている水を頭から勢いよくかけられ。ホウキとチリトリで体中を叩かれ。
こんな毎日が2年も続いた。
私の心は限界だった。
また何かされる。殴られると思い目をギュッと閉じ、痛みに備えていたが……痛みではなく、怒鳴り声だ。
「面白かった!」
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