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10.窮地の人は鼠を噛む?

更新遅れました、すいません!

「ギルさん⁉︎」


 叫んでみたがまさか来るとは思ってなかった三人は驚愕する。

 ギルは大勢の仲間を連れ、霧の中から出てきた。仲間の大半は酒屋で見た顔だ。


「何驚いてんだよ。呼んだのはお前らだろうが」

「いや、呼びましたけどまさかこんなタイミングで来るとは……」

「子どもと一緒に来た狼がここまで先導してくれたからな。それより、敵はあれで良いのか?」


 そう言ってギルは大ネズミに視線を向ける。


「はい。それと、あそこの二人が今回の元凶です」

「分かった…………転移魔法(テレポート)か」


 テレポートを続ける二人組を見てギルは顔を顰めた。

 小さく「厄介だな」と呟き、何事か仲間と言葉を交わす。


「俺たちはとりあえず大ネズミしか対処できないからそっちは任せたぞ」

「あ、ギルさん。もしあったら剣とか借りていいですか?」


 俺も参加したいです、と丁度予備の剣を持っていたギルの仲間から借りる。


「乱戦になりそうやし鉄球は無理やなそりゃあ」

「じゃあ、やってくる」


 剣を担ぎ、大軍で大ネズミと対峙した。


  ※


「あの二人組には私たちで対応します」


 魔法職の人たちが玲音と王兎に名乗り出る。

 

「転移魔法が使える者がいるので全員で協力して捕まえましょう」

「ありがとうございます!」


 テレポートに対抗できる人がいるのはありがたい。が、それでも捕獲は難しいのではないか。

 本来、王兎や玲音が思う通りならばテレポートとテレポートの間にはクールタイムが生じるはずだ。

 しかし、あの二人組にはそれがない。


「普通クールタイムってありますよね?」

「ありますよ」

「なんであの人たちは無いんですかね?」

「えっ?」


 王兎と言葉を交わしていた魔法職の女性が驚いたような声をあげ、二人組を観察する。


「本当じゃないですか⁉︎」

「だからそう言ってるんですよ……」


 なんででしょうね、と首を捻ってみるが特に何も思い浮かばない。

 すると、唯一の転移魔法の使い手が


「ああ、それは”一回”の定義が違うからですよ」


と言ってきた。


「一回の定義?」


 玲音と王兎は疑問符を浮かべる。


「はい。多くの場合、転移魔法一回で一度だけ二点間を転移できます。一度の転移を一回と数えてるんです」

「そのあとにクールタイムがあるんですよね」


 それはゲームでも一緒だったから既知だ。


「ただ、転移魔法一回で何度も連続で転移ができる場合もあるんです。その場合、魔法を発動してから転移をやめるまでを一回とします」

「だから一回の定義……ちなみにあなたは?」

「私は前者ですね」


 だとしたら相当不利だ。

 クールタイムがない相手のテレポートに追いつくのはほぼ不可能。

 何か策でもあるのか。


「どうやって追いつくんですか?」

「そうですね……皆さんで私にバフをかけてもらって転移魔法速度を上げたりクールタイムを短くしたりしようと思います」

「分かりました」


 魔法職の面々が順番にバフをかけていく。

 

「我はバフはかけれないんで風でクールタイム中の移動補佐しますね」

「私も一緒に転移させてもらっていいですか? 当てることさえできたら相手にデバフかけられるかもしれません」

「それはありがたいです!」


 転移魔法使いさんは王兎の肩に手を置き、テレポートを始める。

 それと同時に玲音は詠唱する。


「風よ、巻き起これ、彼の背中を押せ《送風》」


 玲音の起こした風は転移する二人が地上に落ちないよう支えながら移動を補助する。

 二人組は尚もテレポートを繰り返し、追跡から逃れようとしている。

 追いつくのはまだ難しそうだが、玲音のときよりも遥かに速い。


「ギリギリいけるかなっ⁈」


 自分の前に現れては消える二人組を捉えながら王兎は詠唱を始める。


「思いあがる貴方に告ぐ。私は貴方に不幸を与えましょう《神之制裁(テオス•キロシス)》」


 流れるような詠唱と力強い宣言の後、二人組に魔法が直撃し、テレポートの間に一瞬の間を生じさせる。


「これなら追いつけます!」


「よし」と言って王兎は転移魔法使いさんから離れ、地上に落下し、他の魔法職の人の《空気緩衝》で回収された。

 後は全員でバフを強化させる。

 数分後、上空では二人組が捕獲された。

 官憲が集まり、魔法阻害の物質を含んだ手錠のようなものをかける。


「王兎、お疲れ。後はあっちやなぁ」


 玲音の視線の先には大ネズミと戦う彼らの姿があった。

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