第1話 アイドルvs盾
小ネタが多すぎてタグに困る小説を目指してます(???)
「僕と契約して魔法少女になってぶぉほぅぉっおう!!!」
「よくわからんがそのセリフはアウトだ!」
バシィッッッ!!
私の目の前に現れたのは…
みたいな始まりじゃなくって
私のスマホに通知がきたと思ったら
唐突に喋り始めた
機械音声とかじゃなくてよくあるマスコット声
画面に顔文字が着いているけど正直可愛くない
「いきなり何するポン」
「あ、いや、セリフがね?危険だったのよ」
地面にはたきつけられたスマホが流暢に話しかけてくる
いや、気味悪いわ
「ふ、まあいいぜよ」
そう言いながらふわりと浮かび上がる
「キミには魔法少女になる素質があるとみたれりよ…だから殺し合うペン!」
「??????」
なんだこのスマホ
語尾がさっきから騒がしいし、もっかいはたきつけるか?
雑に説明は省くが
『この世界は、魔法がある』
更に大事なところも省くが
『わたしは魔法のない世界から送り込まれた人間だ』
…つまり、魔法少女が魔法が使える女の子なら、そこら辺にいる
なんならここは街だが
あの人も、その人も、魔法を使えるだろう
「その調子だと記念すべき第一話が説明会になるぽん
…だから、ほい、殺し合う魔法少女をよんだリン!」
「ひょわぁぁぁああ!」
突如三階相当の高さから降ってくる女の子
ドレスっぽい見た目は魔法少女っぽいとは言えるが…
「クソスマホ!空から女の子が!」
「転移位置ミスったのぜ!これは勝ち確もふね!」
「いやあの子死ぬよ!?」
「構わん、やれー…じゃなくて、死んでもあとで生き返るから大丈夫ごぱ!」
「その語尾はいよいよキモイ
…じゃない、なら殺し合う必要無くない!?」
「は?ペケの愉悦の為に決まってるデビ、とっとと殺ってこいまむ」
あ!?コイツ最後に
「よくやった、魔法少女」
とか言いながら敵になるタイプのマスコットだ!
だいたいメカメカしいスマホの見た目でマスコットは無理がある!
あと一人称ペケは聞いたことない!
「あら、あらら?」
落ちてきた女の子がフワリと減速して着地する
「…えっと、あなたがフーロさん、ですか?」
着地した女の子は優雅に姿勢を整え私に話しかけてきた
「…えぇ、フーロですけど」
この人とは初対面だし
…何より既に殺気がムンムンと伝わってきている
「じゃぁ…始めましょうか」
シュラン…
耳障りのいい音を立てながら女の子は剣を抜いた
「おいクソスマホ」
「転移の時に頭に埋め込んだぺこ、彼女はメシア、盾使いの魔法少女るら」
盾使い?
「剣抜いてるけど」
ていうかマジで殺し合うんです?
魔法少女って…いや、まぁ私の元いた世界の創作物でもだいたいボコしあってるけどさ?
「武器はサイコロで決めたぬん、ハウスルールわん」
その言葉と共に本来私の腰に提げていた武器として使っていたものが消え
手には…銃に刀身がくっついた武器が握られていた
「今回は結構ランダム要素がおおいでし、がんばるよよ」
そう言い、宙に浮かんでいたスマホは魔法のように消えた
「話は終わりましたか?…では!」
女の子…敵の魔法少女メシアが
私に駆け出してきた
◇
牽制の意味を込めてふわふわしているドレスに向けて引き金を引いた
バンッバンッ
初っ端から魔法少女らしからぬ攻撃から始まった訳だが
その銃弾は彼女のドレスに弾かれる
カンカンっ
臆することなく目の前に踏み込まれ、剣をすくい上げるように振るってきた
何か仕込まれた服?
銃の反動で上にはねていた銃剣を合わせるように振り下ろす
カイィンッ
「面白い武器ですね」
ギリギリと拮抗する中メシアが話しかけてくる
「本来なら化学の武器なんだけどねぇ…」
上である私の剣が押され始めたところで後ろにステップで避ける
彼女はうっすらと光っているように見えるところから何かしらの強化がされているように見える
バフ、だろう
メシアが振りあがった剣を下ろしながら踏み込んでくる
そこを銃撃で応戦
バンッバンッ
一撃目はメシアのその綺麗な顔に
二撃目は銃口が上がり頭上へ
ドレスに似合うお嬢様のような顔に弾が吸い込まれていく
仮に後ろに避けたとしてもたまたまソれている二撃目が頭を撃ち抜くだろう
カンカンっ
それをメシアは剣を持ってない腕で受け切る
…見た目は布の服だが
ドレスのスカート部分同様に何か仕込まれているようだ
弾を受けるのに躊躇いもない
わたしは更にバックステップで距離を取り残弾を確認
しようとして戸惑う
銃の見た目はしている
長銃気味で傘を剣と見立てて振るうように振るいやすく、具合はいい
だが解像度の低い、絵が潰れたゲームのように弾を装填する機構は無く
残弾ゲージのような緑のタンクが補充されていってるのが見える
…魔力、自分のそれが弾となるやつね?
すると簡単に弾かれたのも多少は納得がいく
私の知っている銃だとぶち抜く可能性もあるし
「隙ありですわ!」
そう叫ばれ、目の前に剣を振り上げたメシアがいた
わたしはメシアに向かって
踏み込んで
距離を縮める
そして銃剣に魔力を込めていく
この手の剣なら
きっと刀身が伸びると信じて!
「魔法使いっぽくなってきたねぇ!!」
はあああ!とメシアをすれ違いざまに切り捨てる
…手応えはない
急いで振り返る
するとメシアの横腹から血が吹き出ていた
「えっ!?」
けっこうガッツリ怪我してて驚きながらも
指をかけた引き金を引くことを止めれない
バンッ
バンッ
バンッ
続けざまに三発
腹部を抑えてよろめくメシアに撃ち込んだ
「信じる力は守る力に、守る力を形に変えて!」
なんか叫び出した
メシアが光り輝き、服が弾けた
服から飛び出したお盆のような物が何枚も現れる
それらはメシアを中心に高速で回転し、ついでに私の弾ははじかれた
ひゅんひゅんと風を切る音がしてメシアに集まる
「元天帝に外敵から皆を守る力を!
光の守護者!盾の魔法少女!メシア!」
ばぁーん、そんな音が聞こえてきそうな感じで光が弾けて
…所々が穴あきのようなドレス姿のメシアが現れた
いわゆる変身だろう
「…唐突すぎない?」
「ピンチをチャンスに…ですわ」
はぁ
くるりと振り返るメシア
あからさまに穴あき部分が多く、肩も出てるしフリフリな装飾が減っている
てか布面積が減った
つまるところ露出度が上がったわけだ
うん、魔法少女らしいね
メシアの右手には剣は変わらずだが
手の甲にくっつくようにお盆のような盾がくっついていた
「……あの、あまり見られると恥ずかしいのですが」
あ、よかったぁ、メシアさん、友達になれるかもぉ…
『なにチンタラしてるぺぽ、フーロも変身するぽふ』
くっ、なにやつ、言葉が頭に直接!!
…マスコットの声が響く
私の服装は布のパーカーだ、今更だけど私服だ
だって今日はお休みの予定だったから
『自分語りはいいもが、変身しなきゃしぬもごよ』
「いきますわ!」
メシアが叫ぶ
地面を蹴ると先程とは段違いの速度で近づいてきた
銃も狙いが定められない
さっきと同じ切り上げと予測して切り伏せるように振り下ろす
出来れば変身したくない!
瞬時に目の前に迫って来ていたメシアはやはり振り上げてきたが
私の剣を見てから超人的な反射神経で目の前で回転する
その軌道はいつの間にか私の脳天目掛けて剣が振り下ろされていた
裏拳の軌道にも近いが振り下ろしは縦で
私の剣も振り下ろしている
その瞬間、頭にセリフが流れ込んできた
『「今宵はじまるは機械の祭り、私の声に続け、マシンドール!」』
…あっ、これ!変身しそう!!
案の定服が弾けた
体のラインが丸見えとなる
幸い…さいわい?全身光り輝いている為に肌色成分はないけれど
どこからともなく現れたドローン達ががメシアに体当たりして
なんと、その剣を止める
私にどこからともなく服がまとわりついてきた
ぱしゅん!という音とともに服が装備されていく
「私の声よ、みんなに届け!魔法アイドル!フーロ!」
ぱしゅん!と私の周りの光が弾けた
「…キラッ」
左手で独特な形を作り顔に持っていく
ついでに片足あげて決めポーズ
…決まった
「ふふ…ふふ…」
あっれぇぇえ!??
私、魔法はつかえないんだけどなぁぁあ
私は照らされていた
無数のドローン達が周りを飛び
スポットライトをつけて
メシアの額には予測光線を当てている
…あ、強そう!わたし!
「いくよ!『光よ敵を照らせ』」
「…っ!『盾よ我が敵を押し潰せ』」
無数のドローン達がメシアを見た…気がする
同時に私の頭上に半透明な光る金タライ?が出現する
『敵を撃ち抜け』
私の右手が突き出されると共にドローン達が射撃を始めた
途端にメシアの周りにいくつも盾が生み出されたが
ドローンの射撃はそれらを撃ち抜き
メシアに届く
メシアに届く度にドンドンと光り輝いていき
金タライが目の前まで迫った時に
メシアのいた所が弾けて
金タライは消滅した
「きゃああああ!!」
◇
「…っていうことがあってさ」
これが夢オチならどれだけ良かったことか
一緒に冒険者をしているパートナーにあらましを話した
「…だから休みの日なのにアイドル衣装で帰ってきたんだ」
「もともとアイドルとして活動していたのかぺほ…なっとくなばす
これからも魔法少女潰し励むのじゃよ」
「…スマホ買い換えようかな」
魔法世界に対応した専用のスマホだから無理なんだけどさ…
飽きるような説明は次回にでも回して
そんな感じで
対戦重視魔法少女の記念すべき第一話で
私ことフーロは勝利を飾れたのでしたとさ
◇
アイドルの魔法少女
フーロ
機械世界出身、説明は次回にでも
現在は冒険者
冒険者としての活動の合間にアイドルとして活動している
魔法適正はあるが魔力はないので魔法は使えない
スマホを介して…と工夫はあるが
マスコットはスマホ(可愛くない)
盾の魔法少女
メシア
第六遊撃隊所属
元天帝
ドレス姿が私服でかつ戦闘服
お盆のような様々なサイズの盾が服の裏全身に仕込まれている
さすがに関節はないけど
趣味はインスタントの紅茶
両親は生きているがもう何年も帰ってない、稼いだお金は送っている
出てないけどマスコットは盾の一つ
(しかし盾が多すぎてどれかは分からない)
実弾なら仕込み盾は貫通するがダイス運により完全ガード、守る時のダイス運は神がかってた
最後はダイス運が致命的失敗だったので魔法少女化の後早くに負けることに
つまりはダイス運さえ良ければ主人公視点なフーロにも勝てる
魔法少女がんばえー
やったぁ、るび振れた!