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三問三答ゲーム、開始!


 古来から異性の部屋とは落ち着かないものだと相場が決まっている。たぶんおそらくメイビー。


 なんだろう、なんか良い匂いがするのだ。あと、なんか女の子っぽい。

 筋肉ゴリラの葵の部屋なのだから、もう少し殺伐としてても良いと思うのは俺だけだろうか。というか殺伐とした部屋とは何だ?


「ねぇ、緑」


 俺の思考がおかしな方向へ向かおうとしていたタイミングで、対面に座る葵から声がかかった。


「......なんだ?」


 俺はあくまでも平静を保ち、返事をする。


「さっそく、()よっか」


 え? 何を?


「......そうだな、するか」


 え? 何を?


 あまみやみどりはこんらんしている!!!!


「じゃあ、早速行くよ!! はい、じゃんけんぽい!! はい、あっち向いてホイ!! はい、私の勝ち!!」


 あまみやみどりはこんらんしている!!!!



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



「大丈夫? なんか緑、体調悪い?」

 

「いや、大丈夫だ。冷静に考えてみれば、目の前にいるのがただのアホだと気付けば、何も問題なんてなかったんだ」


「え、今私が罵倒される要素あった? え、酷くない? いくらこの大天使葵ちゃんでも傷つくよ? 泣くよ? 堕天するよ?」


「良かったな。一度堕ちてしまえば、もう堕ちる心配をしなくて済むじゃないか」


「じゃあ一緒に堕ちよっか?」


「こっわ」


 とまあ、慣れない環境(女子部屋)に身を置いていたせいで少し俺の精神に乱れが生じてしまったが、アホの葵のおかげで何とか通常運転で走り出すことができた。この世の全てのアホに感謝である。


「んー、あっち向いてホイが終わっちゃったし、次何して遊ぼっか?」


「......帰るという選択肢は?」


「地に還る覚悟があるのならどうぞ?」


「ハハハ、冗談じゃないか、葵クン」


 人殺しのような目で睨まれてしまえば、俺はもう蛇に睨まれた蛙である。


「よし、一問一答ゲームをしようよ!!」


「一問一答、ゲーム?」


 一問一答。言葉の通り、一つ質問をして一つ答えることだ。これを何回か繰り返すことを意味したりもする。

 まあ説明するまでも無く、これはゲームというより面接である。


「まあ、ただ質問するだけじゃ面白くないからね。お互いに3回質問して3回答える。そして、その答えのどれか一つに嘘の答えを混ぜるの。その嘘の答えを当てることができたら勝ち。できなかったら負け。で、どうかな?」


「......なるほど。それは面白そうだな。要はどれだけ嘘か分かりやすい質問をできるかどうかって訳だな」


 まあ、一問一答ゲーム、と言うよりは、三問三答ゲーム(なお、全部正直に答えるとは言ってないよ?)だな。


「その通り!! あ、1足す1は?とかあなたは女ですか?とか、答えが決まっている質問はダメだからね?」


「了解した」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



 まずは1巡目。先に葵が質問して、俺が回答する。


「んー、そうだな。まあ、まずは無難な質問かな。緑の好きな色は?」


「黒だな。何色にも染まらない。その意気や良し」


「あれ、そこは緑じゃないんだ? これは怪しいな〜」


「......じゃあ葵は、"あお"って文字が入ってるから青色が好きなんだな?」


「う。そう言われると違うかも。名前に入ってるとなんだか逆に嫌いになっちゃう気がするよね」


「まあ、そういうことだな」


 小野妹子だからって妹なわけでもないし、トノサマバッタだって殿様なわけじゃない。物事を名前だけで判断してはいけないのだ。


「あ、ちなみに私の好きな色は緑だよ?」


「......聞いていない」


 

 次は俺が質問する番だ。


「......。いざ自分の番になると、何を聞いたら良いのか分からないな」


「分かる。あ、今のは"分からない"のが"分かる"って意味ね」


 今質問を考えてるところだから、ややこしいことを言わないでくれ。


「......じゃあ、えっと、葵が今まででした一番恥ずかしいことは?」


「え」


「"一番"恥ずかしいことだぞ? 半端なものは許さないからな。あ、言い辛いなら嘘をついても良いと思うぞ」


「ちょ、それずるくない!?」


「何を言うか。ルール設定の時にダメだって言われてないんだから、OKだ」


「むむむ。次の質問、覚えときなよ」


「はっ、吠えるなら、この質問に答えてから吠えるんだな」


「ぬー、一番恥ずかしかったことか〜。あれかな? いや、あれかな? やっぱあれかな? あ、あれかもしれない!!」


「......もう、人生全てが恥ずかしいって言えば正解なんじゃないか?」


「それは失礼じゃないかな!?」


 それから葵が答えを決めるまで、五分かかった。そこまで行くと、もはや羞恥心など無いのではなかろうか。


「よし、決めた!! じゃあ、私が人生で一番恥ずかしかった話するね。えっと、小学校の話なんだけど」


 葵は顔を真っ赤にしながら小さめな声で喋り始めた。こっちまで妙に恥ずかしくなるからやめて欲しい。


「小さい頃ってさ、たまに勘違いして覚えてることってあるでしょ?」


「あー、まああるな。俺は昔アジアがどこかの国の名前だと思っていたな」


「え? 違うの?」


「頼むから、今、一番恥ずかしいエピソードを更新しないでくれよ?」


「まあ、その話は後でするとして。私はね、北のことを上、南のことを下のことだと思っていた訳なのですよ」


「なるほど、葵は地球の中心で生活していた訳だ」


「それである日、北海道から転校生が来て、私はその子に目をキラキラさせて聞いてしまったのです」


「ほう、なんて聞いたんだ?」


「あなたは天使ですか? って」


 ()からの転校生(使い)ってか。




「皆さんは小さい頃にしていた勘違い、何かありますか?」

「私、絆創膏のこと小さい頃カットバンって言ってたんだよね」

「あー、それは勘違いというより商品名の違いだな。使っていた絆創膏の商品名によって呼び方に違いが現れてるんだよ。ちなみに、俺はサビオだったな」

「サビ夫? 誰それ?」



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