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第4話〜初戦闘〜

俺は、困っていた。どんな服装で戦おうか。フルプレートの鎧を着ると流石に邪魔だし、新選組の羽織は、なんか浮いているし。それだけじゃない。一人で戦うとはいったが、流石に寂しい。戦闘には出なくてもいいけど、見守っていてほしい。

悩んだ末、結局死神装束にすることにした。ただし体調服ではなく、主人公が来ている黒服。楔帷子は、体が痒くなりそうだから、代わりに創造魔法で肉体強化魔法で代わりにした。強度はフルプレート位。それも、頭から足の先まで完全に覆った。創造魔法をいきなり戦闘に使ってしまったが、攻撃魔法でなかったので考えないようにした。

それと騎士団と魔法師団にソアネを通して命令をした。騎士団は戦闘には参加しないものの、凱旋パレードのために戦地まで同行してもらう。魔法師団は、同行はしない代わりに王都の城壁で防御結界を張ること。これで、戦闘に全神経を注ぎ込める。

俺は、ファンタジーで国王が座り貴族たちが周りに立っている、よく見るあの部屋にいた。今は、ソアネがいるからその椅子にソアネが座り、国王は、その少し下に椅子をおいて座っているのだが。

俺の姿に貴族連中は唖然としていた。予想以上に若くて驚いたのか、ソアネが気軽に話しかけていたことに驚いたのかはわからないが俺のことに対して、文句を言う貴族は一人もいなかった。そんなことをしてる場合ではないと彼らも理解できているようだ。

良かった。予想以上にまともな国なようだ。


「ソアネ様。それでは、蛮族共を討伐してまいります。」


ソアネ俺は事前に何を話すかも決めていたので、目線でやり取りをしている。


「我が騎士、沖田総司よ。私はそなたを聖騎士として認めよう。我が信徒たちのため、蛮族に無知を知らしめてやるのだ。そして、奴らを血祭りにあげよ。我らに情けをかけなかった奴らを許してはならん!」


「かしこまりました。」


俺は、そう言うと立ち上がり扉を開けた。俺の死神装束には、ルシス王国の国章が刻まれている。左側に騎士団のシンボルの獅子。右に魔法師団のシンボルのドラゴン。真ん中には、女神が描かれている。

ソアネではないのかと思ったが、何でもソアネの母親のようだ。


王城から城壁までは、騎士団によって花道が作られていた。騎士の後ろには民衆が勝利を祈ってくれている。俺は、自分の名誉と彼らの思いの為にも勝たなくてはらない。

俺の前には、蛮族総勢2000の大部隊。俺は、一人。寂しいと言っていたが、聖戦とするためにも見られるわけにはいかないと思った。おそらく、悲惨な光景になると予想されるからだ。敵の中から騎兵が数人近づいてきた。そのうち中の最も階級が高いと思われる人が俺に声をかけた


「我々は、デネブラエ公国の第2騎士団。私は、騎士団長のアルタイルという。そなたの名は?」


「これはこれは。ご丁寧にどうも。私は、絶対神ソアネ様の近衛騎士、沖田総司と申す。ソアネ様の命により異世界より参った。」


「ソアネ様が降臨したと申されるか。面白いことを言う。そのような戯言は聞かなかったことにしよう。投降せよ。そして開城せよ。我々もこれ以上の戦闘は望まない。」


「蛮族と聞いていたが、良い騎士道を持っているようだ。しかし私も主君を持つ身。投降勧告には従えぬ。軍勢に戻られよ。私は、貴殿らと剣を交えに来たのだ。」


「残念だ…。」


彼らは、戻っていった。なんか調子に乗ってかっこいいこと言ってたな俺。あの人、殺すには勿体ないけど。ソアネは壊滅させろって言ってたし。仕方ない。


彼らは騎馬を先頭に進軍を始めた。やけに背後が騒がしい。不意に振り返ると城壁に騎士団と魔法師団が集結していた。中心には騎士団長と魔法師団長に守られているソアネがいた。ウインクしてきた。何故だろう。ぶん殴ってやりたい。だが、軍勢が近づいているので先にそちらを対処しておこう。


さっきの騎士とは、騎士として対決したい。そのためにも、他の1999人をさっさと片付けなければ。騎馬は全力で俺に向かってくる。俺は、刀を抜き払い、顔の前に構え左手を添えながら呟やき唱えた。


【散れ、千本桜】


俺の刀は、桜の花びらがヒラヒラと木々から落ちるように崩れていった。だが、地面につくことはなく、俺の周りを取り囲むようにうごめいている。俺は、刀の柄を敵に向かって軽く振った。先頭の騎士には当たらない様に想像しながら。花びら達は、敵へと向かうと彼らを取り囲んだ。ただ、彼らは気に求めない。それが仇となる。


【花吹雪】


正規の技にはないが、今、俺が作り出した。敵を取り囲んでいた花びらが吹雪のように的に襲いかかった。次々に騎士が倒れていく。段々と範囲が収縮していく。先程の騎士団長は、それに気づいたのか味方の助けにはいろうとした。だが、花びらが壁のように彼を弾き返した。


数分後…

花びらは、俺のもとへ戻り、刀の姿へと戻った。軍勢がいた場所には、1999人の死体だった肉塊とそれを見つめ泣き崩れている騎士団長がいた。不思議なことに罪悪感はない。俺の背後からは、歓声が聞こえる。

自分達を苦しめてきた敵国の騎士団が成す術なく全壊したしたことに感動しているようだった。俺は、彼らを放っておいて項垂れている騎士団長、アルタイルに向けて言葉をかけた。


「そなた達は、神聖なるルシス王国に手を出した。それが、間違いの始まりだったのだ。お前達は、やり過ぎたのだ。この世界は、勇者達の召喚や他宗教の誕生によってソアネ様への信仰心が欠如している。俺は、世界を統一し、世界の民に誰が信仰の対象であるのかを再認識させる。俺は、手を抜く人間ではないが、君のことは気に入った。私達が歩んでいく覇道についてくる気はないか?どうせ、デネブラエにも侵攻するつもりだ。その際に被害を減らすためにも貴方には、投降していただきたい。」


背後の連中からは、俺の意志とは、反対の意見が俺に向けられている。そんなこと知るか。これから、覇道を進む中で俺を中心とした精鋭部隊の創設が今後の急務となることは明らかである。俺だけでは、戦力不足だ。この際、敵だったことなんて気にしている暇はない。俺は、期待を込めた視線をアルタイルへと向けた。だが、彼の答えは違った。


「ふざけるな!私は、デネブラエ公国、第2騎士団団長のアルタイル。私がお仕えするのは、ルーナ様のみ。私は、騎士の誓いをあの方と結んだのだ。あの方の為、デネブラエの為、尽くすことが私の役目。そなたの覇道などに興味はない。ここで貴様を!…」


彼は、剣を掴み俺に切りかかろうとしたが、その場で動けなくなってしまった。俺の顔を見たのだろう。おそらく、今の俺の顔は、虫けらを見ているような感じになっているのだろう。俺にとって、彼の存在は、とるに足らない。貧弱な部隊を持ち、国に忠誠を誓った愚かな騎士。それだけだった。無論、俺には騎士道もなければ、彼と一騎打ちをしてやるほど優しくもない。


「アルタイル。貴様、なにか勘違いをしているな。俺の先程の言葉は、依頼ではない。命令だ。従わないのなら、殺すまで。それも一方的に。私には、貴様のような騎士道精神も無ければ、国のために力を振るう考えもない。俺は、俺のために動く。それが国のためになる。それこそ、騎士道だ。お前が言っているのは、弱者が自らを肯定するための理想論だ。」


俺は、言い終わると刀を抜き払い、彼の剣の柄と刃の境目に狙いを定め、切り裂いた。その間、一秒。彼が剣を確認したときには、剣の刃は、落ちていた。最早、ただの棒である。俺はそのまま刀を収め、門へと戻っていく。


「な!?」


「私の剣は、貴様のような者を切るためにはない。愛するデネブラエにでも逃げ帰ると良い。奴らに私の存在を教えてやるといい。私と剣を交えたくば、それまでに自分だけの野望を持つことだ。国のためではない。君主のためではない。自分だけの為のものだ。それが決まったならば、相手をしてやろう。ではな。」


俺は、カッコつけてその場を去る。俺も野望なんてだいそれたものないけど。こいつが帰ることで、少しはデネブラエ公国も強化されるだろう。でないと、つまらないからな。俺は、民衆からの、騎士団からの、魔法師団からの、神々からの歓声に出迎えられた。この戦闘は、始まりだったのだ。この国が世界の中心に返り咲くための、俺が鮮血帝へとなるためのはじめの一歩となったのだ。」

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