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プロローグ〜神々の悪戯〜

初めましての皆さんも既存の皆さんも、こんにちは。カインと申します。僕の作品は、どれも私が寝ているときに見た夢を題材にしています。いつも同じシリーズのこともあれば、いきなり変わることも多々あります。そのため、投稿が不定期です。すみません…。

私の話はここまで。コメントありましたらお願いします!

誰かが呼んでいる。誰なのか分からない。名前も顔も何もかも。

ただ見えるのは、眩しく光るその存在のシルエットだけ。

でも、何故か安心する。その声を聞くたびに心が安らぐ。

待て…待てよ。待って!俺は、その手を握ろうと手を伸ばした。


そこで目が覚めた。いつも見るこの夢。誰なのだろう。そう考えながら障子を開けた。目の前には、大きな庭園が広がる。いつもと変わらないその光景。空は青く澄み渡っている。俺は、大きく息を吸った。


「あら。今日は早起きでございますね。宗次郎坊っちゃん。」


「坊っちゃんは、やめてくれと言っているだろ。キヨさん。」


俺は、照れながらながら振り返る。俺に声をかけたのは、キヨさん。本名は、近藤清美。この家で働いている女中さんだ。俺の家は、剣道の名家として世間一般で知られる表の顔と、関東一連を束ねる極道としての裏の顔がある。因みに表の家長は、俺の親父。裏の家長は、俺の叔父さん(父さんの弟)。

俺の名前は、沖田総司。幕末の剣士であり、新選組の一番隊隊長であった人物で剣術の天才だった。そんな存在になってほしい。という親父の願いと沖田総司みたいな美青年に育ってほしい。という母の願いからつけられたそう。

でも、キヨさんはもうすぐ20歳になるっていう俺を未だに宗次郎と呼んでくる。宗次郎は、俺が幼少のときに呼ばれていた名前だ。その上、そんな青年を赤子のように甘やかそうとする。キヨさんの年齢は知らないけど、やけに美人なのでついてれてしまうというわけだ。


「あらあら、ごめんなさいね。そろそろ、朝餉の支度ができます。身支度をなさって下さい。本日は…」


「ああ。分かってるよ。成人式だろう?ありがとう。キヨさん。」


俺は、剣道の名門と知られる大学に進学させられている。というより、進学に関して俺の意見が通ったことは一度もない。部活も剣道を強制させられた。遺伝かどうかわからないけど、俺の剣の実力は、自他ともに認める程で、今まで公式戦で負け知らず。もうすぐ日本代表として初めて望む世界大会も待っている。父さんは、日本代表の監督として一緒に行くことになってる。

今でも、剣道界では有名人みたいだ。


無駄に高くて、すごい質のいいスーツを着て、身支度を済ませ、俺は、大広間に向かった。家には、門下生や舎弟、叔父さんの警護担当の幹部の人達も住んでいるので、朝御飯食べるだけでも宴会みたいになる。さっさと食べ終え、登校しようとすると


「総司様。行ってらっしゃいませ。」

と門下生の大号令。

「坊っちゃん。行ってらっしゃいまし。」 

と極道の皆さんの大号令


「あはは…。行ってきます。」


俺は、車庫に向かった。そこには、フェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニ、ロールス・ロイスなど様々。数も多すぎて、どれが誰のなのか、全くわからない。こんなことだから、車庫も勿論地下にある。


「総司様。こちらです。」


俺専属の運転手である山田さんが声をかける。運転手とはいえ、この人もいつもは、数百人を束ねる総長さん。めちゃくちゃ厳つい。そこらへんのチンピラならびびって近づかないだろう。この人も極道界での二つ名が鬼山田。キレたら手がつけれないみたい。こんな人でも家の三次団体うちがどれだけでかいのか思い知らされる。


「ヤマさん。おはよう。みんなは?」


「もう、外で待ってます。総司も、お早く。」


「分かった。じゃあ、行こうか。」


勿論、俺が車を運転させてもらえるわけがない。いつも、護衛車に前後をバイクに左右を警護されながらの通学だ。今日に至っては、成人式に参加するということで警護もいつもより厳重。天皇陛下かよって。

おかげで、俺が乗せられてるキャデラック・ワンというアメリカ大統領が乗る防弾車を含め数十台の団体が形成されてしまった。

俺は、式場につくまで、車内カーテンを締め、現実逃避をしていた。


「総司様。そろそろ到着ですので、ご準備を。」


「ああ。わかった。」


式場にいた人達の注目を集めている。ああ…出たくない。帰りたい。

そんな俺の気持ちをよそにドアが開いた。仕方ない。気持ちを固め、外に出たときだった。


ドキューン!!


なんか胸のあたりがひんやりする。胸のあたりから何かが流れている。意識も遠ざかってくる。胸を触ると俺の手は真っ赤に染まっていた。その手を見たヤマさんは、怒りをあらわにした。ああ、これが鬼山田の所以なんだね。他愛もないことを考えながら、俺は膝から崩れ落ちた。俺を誰かが支えてくれている。ああ、すごい眠い。すごいだるい。誰かが俺の頬を叩いている。でも、その痛みも薄くなってきた。これが死ぬってことなのか?何でこんなとこで、世界大会目前だってのに。この怒り誰にぶつければいいんだ。俺の心が、怒りで染まったとき、いつも聞いていたあの声が聞こえた。いや、俺の視界を光が包んでいく。何が…。


「起きてください。沖田総司さん。」


その声に気づいて目を開けると、そこは、何もない。そう、その言葉の通り、何もなかった。どこが境界線なのかもわからない。そこに、一人の女性が立っていた。


「申し訳ない。単純極まりない質問ですまないが、ここは何処なのだろうか?」


「あら?この状況下でそんなに平然としていられるとは、流石沖田さんですね。あの幕末を生き抜いただけはあります。結核でお亡くなりになったのは、少し笑えましたけど。」


「質問に答えて貰えるか。ここはどこなんだ。」


「ここは、あなたがた、人間が天界と呼ぶ場所。」


「それで、俺と新選組の沖田総司になんの関係がある?俺の先祖でもないのに」


「やはり、覚えてらっしゃらないのですね。なら、記憶を思い出させてあげましょう。ほら。」


彼女が俺の頭に手を乗せると、俺の中に様々な記憶が津波のように襲いかかってきた。でも、なぜだか、懐かしい気持ちもある。でも、俺とは違う。彼は別の人間だ。でも、その記憶の中には、彼がこの場所から俺の家に向かうのが見えた。そして、彼は、俺の母親の腹の中に消えた。俺は…沖田総司なのか?まあ、そんな事どっちでもいい。彼の記憶がないなら俺は俺だ。


「貴女の言いたいことは、分かった。でも、彼はいない。俺は俺だ。」


「なんと!記憶に打ち勝つとは、貴方の剣の才能に彼が惚れ込んだのでしょうね。だから君を乗っ取ろうとしなかった。こんなこと初めて!

貴女は、本当に面白いわ!」


「それで、言いたいことは終わりか?俺のこと怒りは貴女に向ければいいのか?あんなところに銃を持ったやつがいるなんてありえない。こんなことができる貴女だ、理由があるはず。それはなんですか?」


「本当に面白い人。その通り、あなたを殺したのはわ・た・し!」


彼女の感情に怒りをあらわにした俺は、彼女の背後に周り首をロックした。そしてそのまま締め上げ始めた。何か言っているようだが、聞く必要もない。悪戯に俺を巻き込んだのだ。殺されても文句は言えないだろう。彼女が落ちる寸前、別の存在が俺の手を掴んだ。


「そこまで。彼女の横暴。僕が謝る。」







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