OPT.03
4月3日、敷島学園 第11分校 南校舎 2階 R201教室。ここに、歩兵科 1年381組の39人が集まっていた。
「今日はまず、皆さん自己紹介をして、分隊内での役割を決めてもらいます。はい、机を動かして、分隊でまとまってください」
沢山の机がガタガタと音を立てて動かされる。そして、分隊ごとに集まった。
光属する第4分隊は合計10人で構成されており、その内7人が女子だった。
「どうして女の方が多いんだろうな」
1人の男子生徒が愚痴を垂れる。するとそこへ、彩湖先生がやってきた。
「文句を言わないでください。女だろうと、戦場では共に戦う戦士なんですよ。あと、これがこの分隊の名簿です。分隊長は、明智さん、あなたに託しましたよ」
そう言われ、光は驚いた。
「何で!? ……ですか?」
すると、彩湖先生が答える。
「機甲戦や部隊指揮についての充分な知識を持っているから、だそうです。機械化歩兵は戦車と共に行動する事が求められる為、ここでは必要なんですよ」
そう言われ、光は黙ってしまう。一方の彩湖先生は、他の分隊の名簿を配ると、教壇に戻る。そして、口を開いた。
「では皆さん。それぞれ自己紹介と分隊内の役割を決めてもらいます。分隊内には、分隊長、副分隊長、機関銃手、対戦車兵、対戦車補助兵、選抜射手、擲弾兵、小銃兵で編成されています。私達は機械化歩兵なので、更に操縦手、砲手が必要です。それらの分担も決めてくださいね」
そして、第4分隊の面々は自己紹介を始めた。
「分隊長を任された、明智 光です。趣味は……読書です」
「武田 信弘、ゲームが好きです」
「私は、岩瀬 忠実と言います。私も、ゲームをやってます……」
「那須 天狼、趣味は特に無い」
「我は織田 濃藍、華道をやっている」
「あたしの名前は八坂 清定、よろしくね」
「平良 六合華と言います。趣味は虫の観察です」
「俺は剛 義広、登山が趣味だ」
「永尾 六郎、特に言う事は無い」
「えっと、源 千佳。あ、あの、裁縫が趣味です……」
自己紹介が終わった所で、役割分担を決める。
「機関銃は、我に任せてもらえぬか?」
真っ先に手を挙げたのは、濃藍だった。その一人称にツッコミが入る。
「我って……何時代だよ」
「まさか山城の由緒正しき名家の生まれだったりする?」
「たわけ。我の生まれは尾張州 清洲御厨市の生まれ、親はただの呉服屋だ」
そう濃藍は語る。が、数人は笑いを必死に堪えていた。そんな中、もう1人が手を挙げた。
「あたしも、機銃手になりたいんだけど、いいかな?」
「機関銃が2人? 多くね?」
清定の立候補に、義広が反対した。が、信弘は清定を擁護した。
「まあまあ。イクサチラン陸軍の分隊には2人の機関銃手がいたらしいし、僕らは機械化歩兵だ。必要なのは機動力ではなくて火力、だろ?」
信弘が光に同意を求める。唐突に話を振られた光は驚いた。
「え? えーと……そ、そうかもね」
「こんな頼りなくて、歩兵について何も知らない奴が分隊長かよ」
六郎が愚痴を言う。それに、誰も何も言えなかった。