第一話
朝、いつも通りに俺は目を覚ました。
「ふあぁっ」
あくびをしながら起き上がり、時計を確認。
よし、まだ余裕がある。
着替えてから自分の部屋を出て階段を下り、洗面所で朝の支度を終わらせてからリビングにいく。
「おはよう」
「あ、お兄ちゃんおはよー」
いつも通りに妹に挨拶をして、いつもの席に座る。
「お兄ちゃん、とうとう今日が入隊試験の日だね」
「ああ、そうだな」
朝の妹との会話は癒やされるなー、なんて思いながら受け答えをする。
「兄ちゃんがんばってくるからな美刀、応援しててくれよ?」
「うん、がんばってきてねお兄ちゃん」
そんな会話をしながら朝食を食べ終える。
そう、今日俺は、夢にまで見た特殊部隊の入隊試験を受けるのだ!
今までの苦労を無駄にしないためにも、必ず受かってやる!!
そう心に誓いながら、俺は荷物をまとめて玄関に向かう。
「白銀剣児どの、いってらっしゃい!」
なぜか敬礼をしながら言ってくる妹に、俺も敬礼する。
「ああ、行ってきます」
妹に別れを告げて、そのまま家を出る。
歩いてバス停に向かうのだ。
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忘れ物をしていないか歩きながらチェックをしていると、道の曲がり角でキョロキョロしている女の子を見つけた。
何やってんだろ、迷ったのかな。
そう思って俺は、その女の子に声をかけてみた。
「あの、すみません大丈夫ですか?もしかして道に迷っているのなら案内しますよ?」
声をかけられ振り返った女の子は白かった。
肌どころか髪まで真っ白だった。そして、とても綺麗な女の子だった。
その女の子は俺の目を見て、その白い唇を開いた。
「話しかけないで下さい。この変態」
………………………………………………は?
今この子なんてった!
「え、えっといまなんて?」
「は?聞こえなかったの?話しかけないでって言ったのよ、この変態」
「誰が変態か!!俺はただ道を教えてあげようと思っただけだよ!!」
「私が道に迷っているなんて決めつけないでください」
「じゃあ、なんでキョロキョロしてたんだよ!」
「うぐっ、そ、それはでね……」
今『うぐっ』て言ったぞ、この子。
「やっぱり迷ってるんじゃないか!この近くなら案内するよ?」
「うぐぐっ、そ、それならバス停まで案内してください、変態」
「だから変態じゃねーよ!俺には白銀剣児って立派な名前があるんだよ!!」
いいかげんにしろ。
「ならケンジ、私を案内しなさい!」
「いきなりタメ口かよ!」
まあいいけどさ。
「バス停だったら俺と目的地が一緒だからいっしょに行こう」
ということで、俺はこの女の子と一緒にバス停まで行くことになった。
「そう言えばキミなんて名前なの?」
「どうしてあなたに私の名前を教えてあげなきゃいけないの?」
「いや一応、俺なのったからさ、俺も名前を教えてもらおうと思ったんだよ。」
せっかく可愛いのに口が悪いなぁ、この子。
「それもそうね、それじゃあケンジ、アナタに私の名前を教えてあげるわ!」
「私の名前は、一凛華よ!!」