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旅立った


いったいどこにR15があるのだ...

とは思いましたが、微妙な表現があったので取り敢えず付けましたw


気軽に読んで頂けると嬉しいです

崩れ行く世界を前に私は、何も出来なかった。魔王を追い詰めたところまでは良かった。あと一歩、私があれの喉元に聖剣を突きつけ......。

そこからの意識は曖昧だった。

後ろから強い衝撃を受け聖剣を持ったまま倒れこむ。冷たい体温と霞んだ視界、下品な笑い声...。

不快な音色は私の後ろから聞こえ、

前には満足そうなあれの顔があった。そこからの記憶はない。



「....おはようございます」

「.....」

「...おはようございます、主」

「....なに...眠い」

「おはようございます、主」

「あと5分....」

「あら、腕が勝手に」

「.....さむ!」


可愛らしい声で覚醒し、割と力強く布団を引っぺがされた。春先とはいえまだ朝方は寒い、布団を手繰り寄せようと腕を伸ばすが布団は遠い。

寒いと呟やき行き場のない手を胸元へ戻すが、そっとその手を誰かに取られた。


「おはようございます」

「...ん、おはよう」


私の手よりも小さく冷たい白い手の主に挨拶をされた。まだぼんやりとした視界でその手を辿れば、青色が私の手を握っていた。まだ夢の中なのかと目を擦り再度前を見るが、相変わらず青は消えない。足元から広がる青色を目で追い徐々に視線を上げていく。可愛らしい小さな靴にフリルが大量に着いたスカート、胸元に小さなリボンをあしらった首まで肌の見えないそれ。どうやら青色の正体はドレスのようだ。それを身に纏っていたのは小さな少女。

長い金色の髪に赤い瞳、陶器のような肌...まごうことなき美少女がそこにいて、ジッと私を見つめて私の手を取っていた。


「えっ、かわいい」


寝起きのため声は掠れていたが、一気に視界がクリアになった。

片手は握られたままなので反対の手で踏ん張り身体を起こすと、ベットの端に腰掛ける。ぐっと近くなった顔にたじろぐことも、手を離すこともない。動かず美少女はジッとこちらを無表情に見ていた。


「えい」

「ぁ」

「んふぁ!もふっもふっ!」


思い切って軽く手を引いて抱き寄せた。さすがに驚いたのか声を上げたが、抵抗することはない。見た目どうりに華奢な腰に手を回し、首筋に顔を埋めると甘い匂いがした。ロボットかなにかだと思ったのだが、この様子では違うらしい。陶器のひんやりとした戻す温度ではなく、人肌の体温が感じられる。匂いも香水のような作られた匂いではなく、シャンプーや花の香りだった。


「.....ん」


そこで息をするとくすぐったいのか身を捩り顔を赤くする。可愛らしい表情を見ていたいが、まだロボットでないという確証はない。もしかしたらよく出来た人口の肌や匂いなのかもしれない。ロボットなら髪は後付けだろうから、カツラでなければ人間なのだろう。頭を撫でて大人しくさせ、髪に触れ感触を確かめていく。こうすると大人しくなるんだよね〜かわいい。髪をすきつつ撫でてやると、さらさらの髪は絡むことなくスルリと私の手を通した。手触りから地毛であることが分かる。

世の中にはこんな素晴らしい金髪が存在したのか...!

肺いっぱいに香りを享受し、満足したので身体を離す。次はこの柔らかそうな頬っぺた.....人差し指で軽く押せばふにゃりと窪みを作る。

うはっ、肌もちもち!

素晴らしい弾力だった、もち肌とはこの事を言うのだと思う。思わず自らの頬をくっつけ頬擦りしてしまったが、なすがままである。ふむ、柔いし暖かいからロボットではないかな?これでロボットだとしたら、日本の技術はどれだけ成長しているのだ。萌えに重点置きすぎだろう。


「うふぁぁあ....いい匂いもちもち」

「...ちょっと、スカートの中はさすがに怒りますよ」

「ばれたか」

「当たり前です」


あんまりにも動かないので、調子に乗ってスカートの中に手を突っ込んでいた手を出す。そうか、パンツはダメなんだな、パンツは。


「もう、よろしいですか?」

「大満足ですよ!ぐへへ」

「でしたら下に降りてきて下さい

朝ごはんが冷めてしまいます。」

「ご飯あるの?」

「はい」

「ありがと〜!」

「はいはい、分かりましたから

顔は洗ってきてくださいね」

「了解しました」


朝食まで用意してくれたらしい美少女は、スルリと私から離れると出て行ってしまった。ふむ、いつでも抜け出せたのに好きにさせてくれたのね。なんて良い子なんだろう...頼めばあんなことやこんなことさせてくれないかしら。でもなー、パンツはダメだったしダメかな?


「はっ!そうじゃないご飯」


美少女のパンツを想像して夢心地になっている場合ではない。リアルにご飯を用意してくれてるのだ、早く顔を洗わなければ。ベットの下に置いてある可愛らしいウサギのスリッパを履いて部屋を出る。その右側に洗面台があるので、髪を整え顔を洗う。蛇口は一つしかなく水しか出なかったため冷たく、肌が切れるのではないかと思った。冬先にお湯が出ないのは考えものだ。というか、どれだけ古い家に住んでいるのだろう。この時代でお湯が出ないなんて

相当田舎なのだろうか。


「あ、でも、同じ水で洗ってるはずだから私ももち肌になるはず...」


ふと気がつき自分の頬を触ってみるがそうはいかない。

やはり生まれついてのものなのか、私の肌は少々硬かった。



下に降りると美少女が既に席についていた。テーブルの奥の右側が彼女の席で手前の左側が私の席だ。

離れてはいるがここからでもベーコンと紅茶の匂いが分かる。急に存在を主張し始めたお腹の虫に、唾液を送り足早にテーブルに向かい座る。


「おまたせ」

「早く食べましょう」

「うん!せーの」

『いただきます』


お皿にはフレンチトーストとベーコンのサンドイッチとサラダ、紅茶が用意されていた。デザートようにか真ん中にはみかんが置いてあり可愛らしい。ふんわりと湯気を立てている紅茶を啜れば、口に甘さが広がっま。どうやら私の好きなアップルティーのようだ。


「私の好みをよくご存知で」

「長いですからね、当然です」


長い?私はこの娘と会ってからそんなにたってないはずだけど...?


不思議に思ったが、食いしん坊虫は待ってはくれない。腹の底から唸り声を響かせて私に抗議してきた。


「おう...」


熱くなった頬に手を当て顔を上げれば美少女がこちらを見てニヤリと笑った。


「お腹、なりましたね」

「...美味しそうで、つい」

「ふふっ」

「あんまり見ないで....」


更に熱くなった顔を誤魔化すようにサンドイッチに手を伸ばす。一口齧れば香ばしい匂いと、サクリとした食感が私を襲った。中はふわふわで柔らかいのに表面だけがサクサクで美味しい。お砂糖を使っていないのか

食べやすく、卵とベーコンの匂いが鼻を抜ける。甘いと途中で飽きちゃうんだよね。


「お味はいかがですか?」

「美味しすぎます」

「.....そうですか」

「私の胃袋を掴む達人だよ」

「それ2回目です」

「う、まじか」


2回目?

私達は今日あったばかりではなかったか。実は私が知らないだけで、古い友人なのだろうか?えーでも、こんな美少女いたら忘れないしな〜。というか明らかに私より年下だし、会ってるとしたら覚えてないわけ


「どうかしましたか?」


かけられた声にはっとして顔を上げる。不思議そうにこちらを見ている金髪の少女。そういえば私、この子の名前も....。


「ユリさん?」

「えっあ、ううん!何でもない」


何でもなくはない、彼女は私のことを知っているが私は知らない。なんで?どうして?どうして彼女は私の好みまで知っているの?


「....本当ですか?」


おそらく顔に出ていたのだろう、少女の瞳が鋭く細められる。

心なしか声だって低くなっていて、私をじっと見つめていた。

今まで有効的だった彼女が、ここにきて訝しむ顔で私をみていた。

それがなんだか堪らなく怖かった。

細められた赤い宝石は、応えない私に対して鋭さを増していく。小さい彼女からは想像ができないほどの重圧を感じ、顔がひきつった。


「朝から変だとは思っていました。いつもより他人行儀でしたし、報告もキスもありませんでしたから」


いつもの習慣なのだろうか、私は何かを報告し彼女にキスをしていたらしい。....キス?


「珍しく寝ぼけているのだと思い、先に下に降りましたが...ご飯の話ばかり。あーんもしてくれません」


不機嫌そうに顔を背け、斜め下を向くその表情は愛らしい。声は低いままだが、鋭さを増していた瞳は長い睫毛に隠れて見えない。怒っているというより、拗ねているようだ。子どもらしい仕草にほっとし、肩の力を抜く。構ってくれないのがどうやら寂しかったようで.....ん?なんだって?あーん?あーんだと!?

なにやってんだ私、羨ましすぎるわ


「終いにはまるで私を忘れたように振舞ってきます。一体なんの仕打ちでしょうか.....昨日の夜はお気に召しませんでしたか?」

「きの...お気に?!」


ガタリと椅子が音を立てて後ろにズレる。あまりのことに立ち上がり、距離を取ろうと後退する。

い、いったい私は夜に何をしたんだ。お気に召さないって...まさかそんな私はこんな美少女と畏れ多くも!


脳内をかけるピンク色の妄想に、頭がパンクしそうになった。急激に後頭部の体温が上がり、顔が赤くなるのが分かる。知らない間になんて大人な体験を...


「ちょっと鼻血!鼻血出てます」「ふぉあお!?」


鼻から滴る血液を咄嗟に手で押さえるが、床に数滴垂れてしまった。

ううっ、興奮して鼻血出すとか..昭和のエロガキか私は!

慌てて席から立ち上がった美少女は、どこからかティッシュを持ってきてくれた。柔らかいそれで鼻を覆い鼻頭を抑える。一回出るとなかなか止まらないんだよな。下に落ちてしまった血がじんわりと広がっていく。ううっ、シミにならないかな。

しゃがんでもう一枚のティッシュで床をきれいにしていると、上からすまなそうな声が聞こえてきた。


「すいません、冗談が過ぎました。まさか鼻血を出すほど初だったとは予想外です」

「知識はあるもん、経験がないだけ.....え?冗談?」

「はい」

「くんずほぐれつ」

「ありませんよ」

「そんな!私が覚えていないだけで、昨晩というか毎日?乱し乱されな夜を過ごしたと思ったのに!

はっ、まってチューは?朝の熱いベーゼまで嘘だったの!?」

「あ、いえ、頬にはあります」

「口じゃ....うえ」


騒ぎすぎたのか鼻を伝っていた血が

逆流し、口に鉄の味が広がる。ティッシュを変えて再度鼻頭を掴み顔を下げる。確か上げると逆流してくるってテレビで言ってた気がする。

すると半笑いでこちらにティシュを差し出す美少女と視線がぶつかる。


「...残念ですね、相変わらず」

「相変わらずは余計だよ」


その口ぶりから今回が初対面でないことが分かる。どうやらそちらは、嘘ではないらしい。嘘であってくれた方が私にとっては良かったのだが、そう上手くはいかないらしい。


「では改めまして、自己紹介といきましょうか。私の名はアリス

時の支配者...管理人をしています。

これからお世話になりますので、よろしくお願いしますね」


白魚のような指で小さくスカートを摘み一礼する様は、さながら童話の中のお姫様だ。不思議の国の方とは違い、こちらはずいぶんと大人しいが愛らしい事に変わりはない。


「アリスが時の...管理人?なら追いかけるのはウサギ?」

「....今回のあなたは、面白い事を聴きますね。それならウサギはユウ、あなたの役割です」

「わたし?」

「ええ、順を追って説明しますね」


冷めるから食べながらにしようという提案は、有無を言わせないものだった。お腹が空いていたし別に構わないんだけど...。答えの得られない私は出来れば話に集中したかった。

.......アリスの名前を聴いてから凄く胸がざわざわするから。




紅茶をゆったりと飲むその仕草は

洗礼されていて育ちが良いのだと思った。眺めていると切れ長の目と視線がぶつかる。にっこりと綺麗に微笑まれてドキッとしてしまった。

あながちアリスが言っていたことも嘘ではないのかもしれない。ほんの少し上がった体温を誤魔化すように口を開く。


「ねぇ、それで私はここで何をしていたの?」

「せっかちですね....ああ、そんな顔しないで下さい。虐めたく....なんでもありません」


隠しきれないアリスの本音が、ちらっと覗いた気がする。顔に出ていたのか咳払いをされてしまったが、説明は続けてくれるらしい。気分を害されて今日は無し!なんてならなくてよかった。


「あなたのお仕事ですが、ちゃんと真っ当なものですから心配ありませんよ。では、説明しますね」

「はーい」


講師らしい物言いについ手を挙げてしまった。なんとなく小学校の授業を思い出す。そう言えば、小学一年の時は可愛らしい先生が優しく教えてくれたっけ。ロリってより美人系の先生だったけど今は.....


「何か失礼なこと考えてません?」

「滅相もない」

「怪しいですが....まぁいいでしょう、話を進めます。よろしいですか?

私たちがいるここは、貴方がいた地球とは異なる世界です。向こうをリアルとするならここは夢の中でしょうか。人間の思考や感情が形を成して集まる世界です。特に私たちがいるこの家は特別な場所です。」


「この古い木造住宅が?」


「私もそろそろ大理石にリホームしたいと...って違います!この空間の話ですよ!」


「ここ?」


足でコツコツと床を叩けば、木を叩いた時の音しかしない。向こうとなんら変わった様子はない。


「見た目は向こうそっくりに創ってありますからね。ですが、外は違います」


付いてきてください、アリスは立ち上がると二階へと上がっていった。ちゃっかり朝食を完食しており、お皿は綺麗だった。ううっ、私話が気になって全然進んでないのに....

すっかり冷めてしまった朝食を諦めて、置いてあったコンニャ◯ゼリーだけを口に詰めた。


アリスに続いて階段を上がると、二階には居なかった。代わりに三階への階段があったので、登ってみるとそこにアリスはいた。


「ここです」

「え?でも、行き止まり」


そこには屋上へ通じる扉も無ければ通路もない、完全な行き止まりだった。珍しいといえば階段の真正面に大きな鏡があるくらいだろうか。


「鏡をみてください」

「鏡?.....うわぁあ!?」


アリス鏡に手をかざすと、鏡の中がぐにゃりと歪んで渦が出来上がった。驚いて声をあげれば口元を少しだけ歪めてアリスは手を離した。すると鏡は電気を落としたみたいに黒く塗りつぶされていく。驚いて鏡から目を逸らし隣の金髪に問いかける。


「あ、アリス?」

「見ていてくださいユリ」


そっと指を握り返されて、初めて私はアリスの手を握っていたことに気がついた。たぶん、驚いて私から握ったのだと思う。振りほどかないアリスはとても優しいと思う、ドS寄りだけども。アリスの温かみは不思議と安心する。大丈夫だと伝えられている気がして、私は恐る恐るだが鏡を見た。


「....うわあ」


先ほどまで何の変哲も無かった鏡の向こうには、宇宙が広がっていた。

真っ黒い空間に広がる無数の星々の輝き、図鑑でしか見た事のない惑星の動きに思わず感嘆の声が漏れた。映像では味わえない感動がそこにはあった。お腹から湧き上がる高まり、ゾクゾクとしたものが背中を駆け抜ける不思議な満足感。私は直ぐにそれに魅入られてしまった。


「ユリ、あの星が見えますか?」「どれ?」

「周りを回っている小さな星です。あれが未完成な物語達、ああしてこの家を中心に回っています。あれが成長すると大きくなって、小さな惑星に変わります」


確かに星の中には、形を変えながら大きくなろうとするものがあった。

つい、カエルの成長を思い出して口元を抑える。


「なんで回ってるの?」


「ここが墓の中心だからです。中心というよりも引寄せている、と言った方が正しいかも知れません。なぜ引寄せられるのかは先代が誤魔化したので私にも分かりません。」


「そうなんだ...」


「話を戻しますよ」


アリスが締めるように手を叩くと、鏡の中の星にぐっと近づいた。地球のように青くないそれは、黒く内側に純度の高い赤が覗いている。マグマのようだから、とても熱い星なのかも知れない。


「様々な理由でエンドロールを迎えない物語達は、永遠にそこに留まり同じ時を繰り返しています。」


「一夜明けたらまた昨日ってこと?」


「そうではありません。書き始めから書き終わったページまで日が進むと、自動的に最初に戻るのです。そこから先は綴られていませんから、進もうにも進めないのです」


「それって中の人....登場人物は戻ってるの知ってるの?」


「いいえ、ページが終わると住人の記憶はリセットされます。本当にまた1からやり直すのです」


「記憶を奪うってこと?なんでそんなこと......」


「未来の記憶を過去の人間が所持しているのは、その物語に矛盾を生み出します。ただの村人が占い師に、ジョブチェンジするようなものですからね。それでは誰かが書いた世界は成り立ちません」


「んー?どゆこと?」


アリスの言い回しは難しいうえに、詰め込んでくるので辛い。詰め込み教育時代の教師が、アリスと重なり頭を振ってその想像を飛ばす。アリスはそんな歳じゃないって信じてる。


「つまり自分の書いた話を他人に上書きされるってことですよ。そうなればそれはもう、作者の作品とは呼べなくなりますよね」


「なるほど!」


「そして現在、その上書きは物語の

住民達によって引き起こされています。私達は彼らの脳の記憶を消して

きましたが、どうやら身体の記憶までは奪えなかったようなのです。

繰り返すたびに生じる違和感に、住民達は不信感を覚えるようになりました」


「デジャブとかそいうの?」


「そうです。来たことが無いのに知っている、相手の話の次が分かる...そういった違和感を感じ始めて、住民達は筋書きとは別の行動をとるようになったのです」


「その矛盾ってあると、具体的にはなにが起こるの?」


「あなたの住む地球が割れます」


「突然の破壊!なんで?!」


「言葉で形創られた世界では、感情こそが一番の力を生みます。勇者が気合で聖剣を引き抜いたり、悪の感情でパワーアップしたりと貴方はよくご存知でしょう?」


「うん...まぁ」


「その力は主人公達がだけが持っているからこそ、本の世界は成り立ちます。だって村人に気合で聖剣抜かれたら堪りませんものね」


確かに当たり前すぎて忘れていた。

村人が強いならそもそも、勇者なんていらなくなる。


「でも、今は住人達それぞれに主人公級の感情的パワーが芽生え行動しているってことか」


「そうです、理解してきましたね。

その勇者級の感情パワーを多くの村人が持つことで、本の世界が強くなりリアル世界とのパワーバランスが崩れ始めています。そして、その星はいくつも地球の周りに存在しています。」


「地球に影響って....」


「ありますよ、具体的には二次元の世界がこちらに侵食してくると考えられます」


「三次元に二次元が侵略にくるのか...まって、それって二次元のキャラクターに生で会えるってこと!すばらしぃ!?」


「黙りなさい」


頭部に突然の衝撃。握った手はそのままにもう片方の手で、おでこの辺りをチョップされた。アリスの手は幼いのになかなかの力だった。地味に痛い、痛いけど.....


「私、Mなので痛くありません!」

「そんな告白はいりません!」


"我々の業界ではご褒美です"


「ともかく、二次元が侵食するとなれば、世界のあり方は壊れ修復できない混乱が訪れます。

突然街中で魔法が使える人が続出したとか、身体が魔物になったとか嫌でしょう?そんなの」


「手からエネルギー波が出せるのは、みんなの夢だと思....あ、嘘です!怖いです」


再び横に手を構えたアリスがニッコリと笑ったので、慌てて訂正する。マズイぞ、完全に尻にひかれてる気がする。


「......ですので、それを未然に防ぐために、その世界へ行き物語を終わらせるのがあなたの仕事です」


「あ、私の仕事なの」


「そうです、今までもそうしてきたのですが...どうしてだか記憶が消えてしまったようです。前回のエンディングが相当ショックだったのでしょうね」


切なそうに溜息を吐く様はたいへん絵になって可愛らしいが、記憶が消えるほどの出来事ってなんだ。嫌な予感しかしないが、また消えてしまってはたまらない。怖いが聴いておかなくては!


「な、なにをされたの?」


「はい。なぜだか、気に入られた勇者役のユウさんが魔王を追い詰めるのですが、最後の最後で仲間に裏切られ魔王の手篭めになりました。凄かったんですよ、沢山の触手がユウさんの身体を這い回って....なにがショックだったのでしょう?」


「それだよ!ていうか失敗してるじゃん!」


触手ってなに!トラウマエベルではないか。これでは過去の私が記憶を飛ばすのも無理はない。頑張ったな過去の私よ...。


「いいえ、失敗ではありませんよ。エンディングに決まりはありません、ですから失敗ではないのです」


「badでもtrueでも良いと...?」


「はい」


どこか高揚した顔で色っぽい溜息を吐くアリス。触手以外の情報は言葉にはしないが相当な事をされたらしい、しかもとてもアリス好みの鬼畜なやり方で。


「あ、アリスさん私行かなくても,..」


「駄目です。ユリさんにしかできない仕事ですから、逃がしませんよ?」


「ひぃ!い、痛いっす」


「さあ...早速ですが、行きましょうか?ああ、心配しなくとも鏡に飛び込めば、勝手にその場所まで連れて行ってもらえます。やり方は向こうで説明しますね。実践あるのみです」


「え、いや遠慮しまぁあぁぁぁぁあ」


こうして、私とアリスの精神を削る旅が始まった。


読んでいただきありがとうございます!

説明が長くて申し訳ないです。

分かりやすく、切って切ってしましたが

読み返すとだいぶカオスですよね。


続きを一切書いていないので

次はいつになることやら


それではまた


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