~ゴブリンの森6~
木のそばへ戻ると先程の少女がキョロキョロしながら震えてた。
私の姿に気づいた少女は、怯えた表情から一転、嬉しそうなキラキラした笑顔に変わると、「お姉さん!」と駆け寄ってきた。
艶やかな水色の髪を、両サイドでお団子にした、推定年齢8才くらいの可愛らしい容姿の少女に「お姉さん」と呼ばれ、少し口元が緩んでしまったが、少女の目元に残った涙を見た瞬間それどころじゃない事を思い出した
「えーと…あの…さっきのは…」
私は、自分がゴブリンを集めたせいで目の前の少女を危険な目に合わせた事について謝罪しようとしたが
「危ない所を助けて頂きありがとうございました!」
「へ?」
「お姉さんが来てくれなかったら、ルルはゴブリンに殺されてました…。」
「いや…それは……」
「ゴブリンの森を一人で歩いてたルルが悪いのに…お姉さんを巻き込んじゃってごめんなさい!」
違う違う!逆だよー!
って言いたいんだが…
私のなかのもう一人の自分が話しかけてくる
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私「勘違いしてるんだし、いいじゃん」
私「いやいや!ダメでしょ!」
私「なんで?この子の眼を見てみなよ」
私「うわ!キラキラしてる…」
私「でしょ?尊敬されてるんだよ」
私「尊敬……感謝……」
私「そうだよ?私が今まで向けられたことのない感情!」
私「……………」
私「本当の事言っちゃうとこの子は私を軽蔑するだろーな」
私「……………」
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「いいよいいよ、たまたま通り掛かっただけだし!」
あぁ……言っちゃった。
私の言葉を聞いた少女は、満面の笑顔
「お姉さんって優しいんですね!」
「…かなぁ?」
「はい!」
無邪気に笑う少女に罪悪感が湧く前に話題を変える事にした。
「あの…ルルちゃんでいいのかな?」
「はい!ルルって呼んでください!」
「あのね…ルル、少しだけ眼を瞑っててくれる?」
「?」
不思議そうに首を傾けながらもルルはゆっくりと眼を閉じた
「いいって言うまで開けちゃダメだからね」
そう言うと私は、『神羅羽』を発動しルルを抱えて木に飛び乗った
ルルを下ろすと黒翼を仕舞い声をかける
「はい!いいよ」
「!?」
「大丈夫?ちょっと怖いかもしれないけど、あのまま下にいたらゴブリンに襲われちゃうし、我慢してね」
「は、はい!」
二人で枝に座り、落ち着いた所で気になった事を聞いてみる
「ルル…なんで一人で森のなかに居たの?」
先程まで笑顔だったルルの顔が悲しげな表情に変わってしまった…余計な事聞いたかな
「ルルは…村に帰りたいんです…。」
「村?」
「はい、ルルが住んでた村です!」
「………」
住んでた…?
「村の名前は、ガイロン西村なんですけど…道がわからなくて…お姉さんは知ってますか?」
「…ごめんね、私も分からないや…」
「そうですか…ゴブリンの森の側にある凄く小さな村だって事しか知らないんです。」
「さっきから気になってたんだけど、住んでたってどうゆうこと?」
「実は………」
11/16第一部書き換えました。