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決意


パッと見ただけで、奴隷賊の男達は約20人、そんな人数を相手取る事は 戦闘慣れしてない今の私達には難しい。

そして一番厄介なのが『赤鬼のローレル』だ。

実力がどれ程のものかは分からない、二つ名を持つほどの人物だし、この奴隷賊のリーダーでもあるのだから、村の前に集まった男達より強いのは確かだ、戦闘は確実に避けたい。


「ルル!とりあえず今回は逃げる………よ!?」


急いで振り返ったが、そこにルルの姿は無かった。


何故私は今まで気づかなかったんだろ、バリスにヒールをかけてもらった後、ルルの姿を見てない…それどころか、声すら聞いてない。


「ルル!?どこ!?」


嫌な汗が額を流れ落ちる…もしかしたら 一人で村に行ったのかもしれない。そう思い 村の方を確認したが、今にも飛び出しそうな男達とその前に立つ2つの人影だけだった。



私の気持ちに共鳴するかのように、青空には次第に黒い雲が広がりはじめ、最初はポツポツだった雨も、数十秒後には激しく降り始めた。


「なにこれ!?タイミング良すぎでしょ! 見て!サキー!ローレルのバカが慌ててるよ♪」


手をパチパチと叩きながら、のけ反るように笑うバリスに釣られて、ローレル達の居る村の方へ目をやる……な、なにしてんのアレ…。


先程まで仁王立ちでこちらの様子を伺っていたはずのローレルは、隣に立っていた女性に後ろ襟を掴まれながら…手足をバタつかせている…

多分、その場から退散しようとしてるんだと思う、だってローレルの身体が小屋の方を向いてるし…てか、何か駄々こねた子供みたい…アイツ、本当に強いのかな?

今の私には、あんな駄々っ子よりも、ここからでもハッキリ分かるくらいの満面の笑みでローレルを掴まえてる女が凄く怖いんですけど!?


「なにアレ…痴話喧嘩かなんか?」


思わず口から漏れた一言で雨の音に負けてたはず…なのに何故!?なぜあの女、ニヤニヤしながら赤くなってるの!?気のせいだよね?私の一言って関係ないよね?この距離で聞こえる訳ないよね?

あ…目が合った…え!?な!ガッツポーズしてる!?あの人ガッツポーズしてますよ!?


って!そんな事言ってる場合じゃない!ローレルがジタバタしてる間に早くルルを探さないと!


「バリスもルルを探して!」


バリスは笑い過ぎて出た涙を拭い、ピョイっと立ち上がると「あの子って何者?見た目人間なのに……」と何やらブツブツ言いながら枝の根元まで歩くと、リスでも侵入困難な小さな穴の側で止まった。


「ここに入っていった」


「へ!?」


「へ!?じゃなくて!本当にここに入って行ったの!」


小さな穴を指差しながら真剣な表情で訴えるバリス……でも、そんな訳ないじゃん


「はい!?」


「へ!?とか、はい!?って何かムカつく……。まぁ、普通ならそうなるわよね…私も見た時は心臓が飛び出しそうだったわ……。」


何故か一人納得しながら頷くバリスに私が説明を求めると、バリスには理解出来ないが、私には何となく理解できる内容が返ってきた。


「あの子、サキの手を潰した後 泣きじゃくりながら必死に謝ってたわ…まぁあなたはそれどころじゃ無かったみたいだけど…」


はい…すみません。


「そんな落ち込む事ないわよ、手が潰されて平気でいられるのなんて、究極のドMくらいだわ。」


あの、バリスさん?そんな涼しい顔して、よくそんな事言えますね。


「あら?話が逸れたわね…。そうそう、あなたが私に体液を着けたくらいの時にあの子、ドロドロに溶けて穴に入って行ったわ」


体液って!?なんて表現を使うんだ!と突っ込みを入れそうになったけど、そのあとの言葉が衝撃すぎて言葉が出なかった。


「ドロドロに溶けた?」


「んー…ドロドロって言うより、トロトロ?いや…違うわね、粘り気無さそうだったからサラサラのが当てはまるかしら?」


私の欲しい回答とはかなりズレていたが、今までのルルとの旅を思い出せば自ずと理解できた。


自惚れって訳ではないけど、ルルは確実に私に依存している。


まだ一歳にも満たない頃に母親と離れその後、顔を合わせる事もなく、四歳の頃 母親…そして唯一側に居た父親を同時に無くした…村人達は自分の孫のように可愛がってくれたみたいだし、そのまま居れば多分、今のように他人に依存する子にはならなかっただろう。

だけど、六歳の時 ローレル達に監禁された。


六歳で誰にも愛される事もなく、誰かに甘える事も出来ない環境で育てられたのだから、私のような他人に依存するようになっても頷ける。


私に嫌われたくない一心で、私の役に立とうとし、それが出来なかった時は、心底落ち込んでいた、誰の目から見ても分かるように……ね。誰にでも落ち込んでると分かる、あの現象が唯一のルルの甘えだったのかも、と今さら思う。

そして…今回はその現象が今までと違い過ぎる。

ルルは私を傷つけた事で落ち込んでいると思っていたけど、よくよく考えてみれば それだけじゃない。


ルルを追い込んだ原因は、私だ。


バリスが現れる前は、村人やローレルの事を悩んで居たとは言っても、考えこんだり 他の人間同様の落ち込みだったと私は思う。


だけど、バリスが私の右手を握った瞬間から、声のトーンが下がり、握力が上がった…

あれは多分、嫉妬。

ルルはバリスに嫉妬していた。

私の推測ではあるけれど、私を離したくないって思いが私と繋がった手に現れたのだろう。


そして、私は必死に謝るルルを無視した…無視した訳じゃないけど、ルル本人からすれば 『嫌われた』 に繋がった。


バリスの話では、ルルが液体化したのは バリスにヒールを掛けて貰う直前 その時私は、ゴブリンの森から寝食を共にしてきたルルではなく、会って間もないバリスにすがり付き助けを求めてしまった、その私の行動が、ルルの心にとどめをさした。


私、最低だな…。

ルルが私に依存してる事なんて分かってたのに、何でもっと気遣ってあげられなかったんだろう

誰にも愛されず産まれ育った私が、ルルの気持ちを誰よりも分かってるはずなのに……。


黒い雲も この豪雨も 全て ルルの悲しみなんだね 大丈夫、全部私が受け止めてあげる


まだ11月なのに寒い!

こないだ真冬の格好して外出したら

「お前、真冬何着る気?」って

知人に突っ込まれた新汰です。


今話は、本当はもっと長かったはずなんですけど、読み返してたら、只でさえ私の文章って説明臭い文なのに、この三倍くらい説明説明説明!だったから減らしまくりました。


それと、暴走キャラ予定だったはずのサキが 結構ノーマルキャラになりつつ有るような…。早く暴走させなければ!!!


てことで!(どゆこと!?)

また次話まで、さよーならー

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