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笑う顔には鬼きたる




奴隷村に戻ったローレルは、焼け野原となった村の有り様に唖然とするばかりだった。


「なぜだ…誰がこんな……」


風で乱れる黒髪を気にもせず、ただ立っていることしか出来ないローレルの呟きは誰に語りかける訳でもなく、乱れる髪のように風に遊ばれるだけだった。


ローレルの取り巻き達の中には、友人の名を叫び さ迷う者、ローレルのように動けずにいるもの、そしてただ無表情にその光景を眺める者もいた。


「ローレル様…あちらをご覧ください」


ローレルの後ろに控えていた女性が一歩進み出ると、ある方向を指差した。


示されたその場所は、かつてローレルの小屋が有った箇所だった…。


「あれは…」


遠目にでも分かる 他とは違う光景にローレルの足取りは軽くなり、口元は無意識に緩む。


「流石…水神サーチュアだな」


黒く焼け焦げた大地に、不自然に残る少し濡れた木製の板…ローレルは軽く辺りを見回し、その場所を確認すると、誰に恥じる事もなく、大声で笑う。


「くく……フハハハハ!!最高の気分だ!フハハハハハハハハ!」


その様子に気がついた者達の脳裏には、「赤鬼」の二文字が過るのだった。



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