ロックオン!!
『お姉ちゃん!聞こえますか?』
「!?」
指輪がかすかに黄色く光ったと思った瞬間、指輪からルルの声が聞こえた。
びっくりしてルルの方へ視線を向けると心配そうに白くて細い首を傾げるルルがいる
『お姉ちゃん?』
「え!?あ!聞こえてるよ!」
『良かった…お姉ちゃんの方は大丈夫ですか?』
「うん…黒翼のお陰で簡単には捕まらない…と思う。とりあえず、近づきすぎず離れすぎず…ね」
『はい!頑張りましょう!』
黄色の光が治まるのを確認した私は、デカゴブリンとの距離を調節する、近すぎると捕まるし、遠すぎると標的がルルに変わってしまうかもしれない、だから私はデカゴブリンの頭上を適度な距離を保ちながらクルクル回る
興奮した様子で私に手を伸ばしながら跳ねるデカゴブリンの少し離れた所でルルが青い光に包まれ魔法を発動するのが見えた
『水針!』
その声を合図に私は空高く舞い上がり、水の矢の射程外へ逃れた。私に気をとられていたデカゴブリンは、反応できず全身に魔法を浴びた
「……ッ!?」
何十本もの矢を浴びたデカゴブリンは、何事も無かったかのように先程と変わらない姿で立っている
唯一違うのは、デカゴブリンの青い視線の先に居たのは私じゃなくルルだった。
確実に標的を私からルルに変えたデカゴブリンは、ニヒルな笑みを浮かべ少しずつルルに近づいていく
先程放った魔法は、ルルの使える魔法のなかで一番の威力を持つはずだった、それなのに魔法がまったく効かなかった事とデカゴブリンの標的が自分に変わった事にルルは驚愕の表情のままその場に立ち尽くしてしまった。
「ルル!!逃げて!!」
今私が地上に降りれば、もしかしたらデカゴブリンの気を引けるかもしれない、でもルルの魔法が効かない以上、それだけじゃ手詰まり。
何か戦う方法が有れば……
「……!?」
そうだ、神羅羽だ!私の思いのままに形を表してくれる悪魔の翼…いける!!
直ぐ様、ルルの眼前に迫ったデカゴブリンをロックオンし私は迷うことなくその名を叫んだ
「刺黒羽!!」
背中の黒翼が大きな音をたて横に広がったと同時に無数の黒い羽がデカゴブリン目掛けて放たれた
異変に気づいたデカゴブリンは、背後に振り返ろうとしたがそのスピードは遅く全身で刺黒羽を浴びた
無数の羽はデカゴブリンの身体に一つも外れることなく、全身隙間なく刺さると
デカゴブリンは悲鳴のような声をあげ暴れ始めたが私はお構い無しに最後の言葉を放つ
「爆砕羽!!」
私の言葉を聞き届けた黒羽は大きな音をたて爆発しデカゴブリンの身体もろとも砕け散った。




