神羅羽の真実
ルルはその後、自分の中の何かを感じ、その力を借りながらここまでやって来たと言う………。
てか、所々気になる単語が有ったな。
なんて考えてたら
ぐるぅぅぅ
「あ///」
私の中の腹減り神がっ!!!
「お姉ちゃん?お腹空いてるの?」
「へへへ///朝から何も食べてなくてさ」
先程の真剣な表情から、年相応の表情に変わったルルは、肩にかかったショルダーバッグから干し肉を2つ取り出して、1つを私に進めてくれた。
「いいの!?」
「はい!お姉ちゃんはルルを守ってくれました!それに、いっぱい話聞いてくれて嬉しかったんです!」
「そっかありがとう///」
自分より下の子供に食べ物を分けて貰うってちょっと恥ずかしい…けど、人間空腹には勝てない!てことで
「いただきます!」
ファンタジーでお決まりの干し肉!
その味は………
「くさい…苦い…けど美味しい!」
噛めば噛むだけ旨味と苦味がいい感じにシミでてくる…はわぁぁ幸せ
「ごちそうさまでした!さてと!コイツら排除しないとね…」
私は立ち上がり心のなかで「神羅羽」と唱え背中に黒翼を出すと、「ちょっと待ってて!」とルルに告げ、飛び立った。
その時、ルルが口を開けたまま固まってたけど、気にしない…
てのは嘘で…気にしてます…嫌われちゃうかも…怖がられるかも…。
本当は、自分の口で説明しようと思ったけど、勇気が出なかった…私がルルの所に戻った時、ルルは逃げるかな……あ!木の上だから逃げはできないかw
石を拾って落として…を三回位続けた所でルルに止められた。
「お姉ちゃん!!!」
「!?」
この背中の黒翼を見てもまだ私を「お姉ちゃん」って呼んでくれるのね…なんていい娘なのかしら
木の上からおいでおいでと手招きされ、私はルルの元へ戻った
一人で不安になったのか?それとも、私が怖くなったけど、逃げられないから下ろしてくれって事なのか?
「どうしたの?」
「あのね…」
あ…やっぱり…嫌われたかな……
「ルルに任せて!」
「へ?」
思ってた解答と余りにも違いすぎて、思わず変な声が出てしまった
「見ててね?」
愛らしい笑顔を見せたルルは、両手を前に差し出す
『水林!』
ルルが唱えた瞬間、ゴブリンの群れ目掛け水の槍が降り注ぎ、あっという間に全滅した
「どうですか?」
ゴブリンが全て消えたのを確認したルルは、私へキラキラした笑顔を向けてくる
「す…凄かった!!!」
目の前で魔法を見れた事の感動に声がでかくなったのは恥ずかしかったが、私の興奮は収まらなかった。
「今の魔法!?凄いね!」
背中に黒翼を生やした悪魔のような私とは違い、私の言葉に照れるルルは、ほんとに天使のようだった。
「えへへ//さっきの魔法は、『水の林』って書いて『水林』って言うんです。あの日からルルの中には、本当にサーチュア様が居るみたいで、水の魔法が使えるようになりました!」
「槍のように見えたのは、林の木って事か……」
「はい!お姉ちゃんの翼も魔法ですよね?すっごくカッコいいです!」
「!!!」
かっこいい?凄くかっこいい!?
まじですかい!?
ヤバイ!今の私絶対にやけてる
「ほんと!?さっきね、悪魔と間違えられてさ…ルルにも怖がられるかなって心配だったんだ」
「え!?」
「え?」
なに?今の「え!?」って!思わず私まで「え?」って言っちゃったじゃん!
「…………」
「…………なに!?なんで沈黙?」
「ごめんなさい…ルルもお姉ちゃんの事、魔族の方なのかなって…思ってました」
ガーーーン!
まじか…やっぱりか…
「あ!でも!ルルは怖くなかったです!お姉ちゃんが魔族でも大丈夫ですから!」
「ちょ!私本当に魔族じゃないから!人間だから!これは『神羅羽』って魔法だから!」
思わず必死に弁解してしまった。
息切れはんぱねぇー
「神羅羽……………」
ルルが真剣な顔して黒翼をマジマジと見てる…なんか恥ずかしいんですけど
「『神羅羽』知ってるの?」
「村に有った絵本の中に出てきたような…」
「絵本かぁ…」
「でも…その絵本では、白かった気がします」
「そうなの!?」
「はい……あ!そうだ!」
「なになに???」
「絵本を読んでる時、ケフィおばあちゃんが言ってました!ぁ……えっと……その」
いいにく事を思い出したようで、ルルはうつむきモジモジしだした
あぁ、なんとなく想像がつくな…実はカルシカちゃんは悪魔神だったとかw
「嫌な話でも気にしないから教えて」
「たしか…『神羅羽』とは、『創世神カルシカ』に愛されし者が与えられる力の1つであり『神羅羽』とは、使用者の心が反映されるものである。」
「『創世神カルシカ』……!?」
それって絶対カルシカちゃんの事だよね?『創世神』って前世で訪問勧誘に来たおばちゃんが言ってたな…七日間で世界を作っためっちゃ凄い神で…六日目に人間を作ったとか…その時は、「なに言ってんの?」とか思って「興味ないですから!」って追い返したけど、その神本人と会話しちゃったし…しかも、転生までしちゃってるし、あのときのおばちゃんには悪い事したかな…。
「使用者の心が反映されるってどうゆうこと?」
「…………本当の話かは、分からないですよ?」
「うん…」
「心に光が宿る者に白翼を、心に闇が宿る者に黒翼を、と言ってました。」
心に闇…か…
うん…心当たりあるな…
そっか…それで黒翼なのか、納得!
「ルル!ありがとう!」
そう言って抱きつくと、ルルは驚きながらも私の頭を……
「って!何故そこでなでなで!?」
「あ、ごめんなさい…余りにもお姉ちゃんが可愛いかったので…」
「う、うぬ…そうか…///」
なんて、じゃれあいながら私たちはその場で世を明かす事にした。




