ルルの守護神
話を聞く間も私の『誘惑』スキルは発動を止めることなく、ゴブリンを呼び寄せ続ける。大切な話をしている最中、石を拾いに行く訳にもいかないので木の一番上の枝まで移動した。
「それから2年間、毎日勉強しました。食事も約束通り与えられましたし鞭で打たれる事もありませんでした。」
「そのローレルって奴は悪人じゃなかったってこと?」
「いえ……ルルにだけ優しかったんです。」
「?」
「他の奴隷の人たちは、毎日鞭で打たれたり食べ物も与えられなかったりしてたみたいで…」
「ルルだけ特別扱いされてたのか…なんでかわかる?」
「多分、私の髪と瞳の色が珍しかったからだと思います。」
「それだけ?」
「思い当たるのはそれ位です…」
「ルルがここに居るって事は、開放されたってこと?」
「違います…五日前…」
ルルは、いつの間にか茜色に変わった空を見上げながら呟くように続けた
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ここに来る五日前の早朝、奴隷村に4人の若者がやって来た 豪華な装備に身を包んだ若者達は、拡声魔法でこう話したそうだ…
「我々は!神に選ばれし『勇者』だ!」
「外道なお前らに裁きをくだしにきた!」
「うふふ、害虫は…大人しく駆除されてください」
それを聞いていた盗賊や奴隷調教人が黙って居るはずもなく、勇者と名乗る者達に切りかかったが、その力の差は歴然…呆気なく全滅。
その光景を見た奴隷達は、みな歓喜の声をあげ喜んだ
だがその喜びもつかの間
『ファイアボール』
勇者の一人が叫んだ瞬間、奴隷村の図上に数千もの炎の塊が現れる
「「「!?」」」
「燃やし尽くせ!」
次の瞬間、炎の塊はそこに居た人間に見境無く落下していった。
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私は ルルの言葉に驚いた…
勇者が奴隷を殺した…そんな事があるのか…でもルルの表情を見ればそれが嘘ではないのがわかる
「じゃ…じゃぁ、他の奴隷達は…」
「はい…皆炎に包まれ焼かれました。小屋の中に居た子供も、女性も…小屋ごと全て………」
「ひどい…」
「あの時、笑ってたんです…」
「え?」
「勇者と名乗った人達は、苦しむ人を見て、笑ってたんです。」
「……」
あまりに酷すぎる話に私は声が出なかった
「奴隷村は小屋も人も全て燃えて無くなりました。でもルルだけは、護られたんです」
「護られた?…それってローレルに!?」
「いいえ…ルルを護ってくれたのは水神サーチュア様でした。」
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窓の外の異様な光景を震えながら見ていたルルの居る小屋にも、炎の塊は襲いかかり、ルルの周りは炎に包まれた
逃げようにも、ドアには外側から鍵が掛けられ、窓の外には勇者と名乗る殺人鬼。
どこにも逃げ場のないルルは、大量の煙を吸い込みその場に倒れこんだ
意識の途絶える直前、ルルの耳に女性の声が聞こえたそうだ
『私の可愛いルルーシュ…』
「だ…れ?」
『…妾は水神サーチュア』
「す…水…神?」
『貴女の守護神とでも言っておきましょう』
「…」
『ルルーシュ…よく聞きなさい。貴女の中に妾は居ります、願えば貴女の力になりましょう』
「……助け…て、死にたく……な…ぃ」
『貴女は必ず妾が守ります』
その直後、ルルは身体から何かが溢れ出る感覚に襲われ、そのまま意識を手放した。
次に目をさましたルルが見た光景は、黒く燃え尽きた奴隷村と、ルルを包み込む水の膜だった。
一章書くのに一年以上掛かりそうな程、ストーリー浮かばない(..)よし!当たって砕けろ精神(使い方違うかw)で思ったまま書こう!




