始まりの場所
黒い…ただただ黒い。
音も風もなにもない空間、自分の心音さえも聞こえない
日頃の行いの悪かった私の行き先はやっぱり地獄なのかな…。
なんて呑気に考えてると、何も見えない黒い空間に幼い少女の声が響きわたった
『ごほんっ!よくぞ参った…歓迎するぞ、第三の地球人よ。』
ーあぁどうも…こんにちは?こんばんは?いや…はじめましてかな?ー
って声を出そうとしたけど、出なかった。
ーあれ?喋れない……?ー
『お主はいま、器がない状態なのじゃ…つまり、今は魂だけじゃから言葉は発せぬ』
へ?魂だけ…てことは、ここは地獄の手前?この少女声の持ち主は閻魔大王ってやつ?
ちょっと待って…私の中の閻魔大王のイメージはさぁ、渋い叔父様だったんだけど…なんかがっかりした。
『お主は間違っては居らんぞ?閻魔大王はお主の言葉通り、渋い叔父様じゃ。我の叔父がやっておる。』
へぇー!やっぱり渋い叔父様なんだ!あれ?じゃああんた誰?
『ゴホンッ…我が名はカルシカ・ゴッドスア…全ての地球の番をしておる。簡単に言えば『神』じゃ』
神様ってツルツル頭で白髭のおじいちゃんじゃないの!?
もしかして…少女声の素顔はツルピカ??
『ツルピカとな!?我輩はツルピカでは無い!こんな可愛い我輩をツルピカなどと伝えるとは!第三の地球ではどのような教育をしておるのじゃ!』
「あなたが思う神様の絵をかいてくださーい」なんて言うと、大抵の人はツルピカおじいちゃんに天使のわっか書くと思うなぁ
てかてか!…面白い名前だよね、カモシカちゃんって
『な!失礼な!我輩の名前は、カ!ル!シ!カ!じゃ』
あーあまた怒ったw冗談だよ!カルシカちゃん、短気は損気だよ?
『むー…』
はいはい!拗ねてないで本題、本題!
『おぉ…忘れておった……では、話を戻そうかの?ん?どこまで話したかのぉ』
どこまでもなにも…カルシカちゃんの名前と職業、閻魔大王が渋い叔父様ってことしか……。
『なぬ!まだ何も話して居らんかったか!では、最初から……!おっと、もう時間がそこまで残って居らぬ!じゃから簡単に説明するぞ?』
簡単にって………
まあ、お願いします。
『お主の住んでおった地球は、我等神が作った第三の地球ハースじゃ。そして、これから行って貰う地球は第二の地球メゾリアなのじゃが、ハースで暮らして居ったお主にはちと厳しいかもしれん…んー………そうじゃ! お主には我輩の加護の中の1つ『神羅羽』を授けてやろう!こんな簡単に授けて良い物ではないのじゃが…少しお主が気に入った!! これで少しは楽になるやもしれん!お主が何色なのか楽しみじゃの。。おぉ!もう仕舞いの時じゃ!』
え???嘘!?
もう説明終わり?
『サラバじゃ!』
真っ黒だった空間が一瞬、真っ白に変わったと思った瞬間、私の意識は溶けるように消えてしまった。