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和風ダークファンタジー系乙女ゲームに転生したけど、死亡フラグは全力回避します。  作者: 蒼井 百年
第一章幼少期 ~まずは死亡フラグを撤去します!~
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8話 ~お出迎えの準備~

 月読の日になって、陽向が修行に参加しはじめて判ったことがある。なんと陽向は私より二段階程先の特訓を、終えているらしい。

 桐生さん(師匠)いわく、

「陽向は努力すればするほど力をつけていく。」

 まぁゲームの中でも努力家って、称されてたぐらいだもんね。原作だと、西園寺家での修行の描写は無かったし、今から鍛えていけば、原作よりもかなりの実力を手に入れられるんじゃない?

 そういえば、師匠が陽向の妖力・魔力の特性を調べるとき、陰陽石と魔法石を使ってたんだけど、何でわざわざ石なんか使ったんだろう?自分の手で握れば一発なのに。手汗でも凄かったのかな?……いや、無いか。


 まぁ、そんなこんながあって、私も結構修行に対して張り合いがでてきたし、凄く順調だった。

 妖術も結構使いこなせるようになったし、魔法も使い勝手が良くなった。最近じゃあ小虎さんに、純粋な実力勝負ぐらいなら勝てるようにもなった。まだ、実践経験は小虎さんの方が上だから、総合的はまだ勝てなさそうだけど。


 そして、その時(・・・)は来た。

 私が目覚めて一ヶ月、陽向と出逢って四週間が経った今日は、お兄様が帰ってくる日の前日。

 朝起きて、お母様に「明日は琥珀が帰ってくる日ですもの楽しみだわ。」って言われてから驚いた、一日一日が充実していてあっという間だったからなぁ。


「ねぇ、お母様?お兄様は明日のいつ頃に帰ってきますか?」


「えぇと、そうね確か御昼ぐらいには帰ってくる予定よ?」


「ここから西国はどのくらいの距離ですか?」


「うーん、海を挟んでいますし、超高度大型転移魔法(ハイトラベル)でも使わない限りはかなりの時間距離かしらね。」


 西国は、前世で例えるならヨーロッパの一国みたいな感じ。大陸に属していて、今なお発展し続けている強大な国家。美しく雄大で荘厳な自然と、熱気の溢れる国柄で観光名所も多いんだよね。

 ヒトメグの修学旅行で行く先が西国だったし、ある程度の情報は持ってるから何も情報がないよりは安心かな。備えあれば憂いなし、ってね。


「それだけ離れてたら琥珀お兄様、いつ頃に出発するんでしょうか?」


「琥珀は多くの景色を見たい、って言ってたからハイトラベルは使わないと思うわ。全て船と魔導車での移動になると思うから、もう今頃は西国は出ているんじゃないかしらね。」


 ええぇ!もう出発してるって事は、今から即行で準備しなきゃ間に合わなくないか?!


「お母様!私、お兄様のお出迎えしたいです。今から西国に向かえば間に合いますか?」


「あらぁ、いきなりどうしたの?でもそうねぇ……お父様にも相談してみないと分からないけど、凜がそこまで言うのなら良いと思うわよ?」


 その後お父様にも相談した結果、OKが出た。確かお兄様が盗賊に逢うのは帰省中の魔導車の中の筈だから、船の中であろう今からならまだ間に合う!

 それにハイトラベル程の高度なやつじゃなくても、普通の転移魔法ぐらいだったら私も使えるし。


「凜お嬢様、御召し物は如何なさいますか?」


「陽向君を案内した時の服ってストックってあるかな?あればそれが良いな。」


「御座います。只今準備致しますので、少々お待ちを。」


「有難う、着替えをしたらすぐに出るわ。」


 お父様が仕事の関係で自分は行けないって言って、最低でも五人の侍従は連れていけっていうものだから、小虎さんを含んだ武道派の五人と一緒に行くことになった。やったね百人力。


「凜ちゃん、僕も一緒に行って良い?」


「えぇと、陽向君も行きたいの?」


「うん、ある程度の転移魔法も使えるようになったから、足手まといにはならないと思う。」


「あっ、そういうことじゃないんだけど、慣れない土地とかに行くわけだし体調とか大丈夫かなって。」


 そうそう、陽向の裏設定というか、公式設定集に書いてあったんだけど、陽向は見慣れてない景色を見るのが嫌いなんだよね。確か両親が亡くなった後、慣れない西園寺家の景色をみた事が軽いトラウマになり、それ以来見慣れない景色を見ると発作を起こす、っていう設定だったはず。

 

 なんて事を考えていたとき、陽向が微笑んで此方をみた。


「確かにちょっと不安な事はあるけど、凜ちゃんが一緒に居てくれるなら……大丈夫。」


 ……なにこの子、ヤバい。本当に七歳か?イケメン過ぎると思うんだけど。紅緋色の目を少し細めて微笑むって、これは将来あれだけのイケメンになるのも頷ける。一つ一つの動作が一枚のスチル絵になりそう。


「だから、一緒に行っても良いかな?」


「分かった。じゃあ一緒に行こうか。」


 その後は何回か転移魔法を展開させて、港に着いた。小虎さんいわく、入港するのは三時間後らしい。ちょっと観光していこうかな。


 西国に最も近いこの港は、ヨーロピアンな雰囲気があるんだよね。

 潮風の香りが素敵な初めてみる景色に胸が高まる。別に、前世海に行ったことぐらいはあったけど、中世ヨーロッパの雰囲気の港とか、魔法道具の出店とかが並んでるっていうのは初めてだしね。

 それに、今世で考えると、神譲渡の年までは外出することは滅多に無かったみたいだから、実質今回が初めての外出なんだよね。きっと陽向も初めてだろうし良い機会じゃない?


 少し観光して、港の地形確認と、出来れば盗賊の情報が集められれば良いな。盗賊の情報は言わずもがなだけど、港の地形の確認っていうのは、ちょっと思うところがあるからなんだよね。

 ゲーム内でも、この港に来たことはあるんだけど(それはもう目を瞑っても操作出来るぐらいには)、ゲーム内の縮尺とか、ゲーム内で使えていた裏道とかが通用するか確認したいんだ。私は、実際に見てみて確認したいタイプなんだ。


「じゃあ、港の探索してみない?」


「うん、そうしようか。ショッピングでもする?」


 陽向がそう言うと、小虎さんが荷物を降ろす。


「では、荷物を収納致しますので少々お待ちを。」


「ふふっ、私陽向君と一緒に探索してくるっ。」


 小虎さんには悪いけど、二人で行かせてほしいな。

 きっと、七人でぞろぞろ歩くより子供二人で歩いている方が便利だと思うんだよね。私も陽向も強いし誘拐なんて有り得ないし、私の腕についてるブレスレットに軽く魔法掛かってるから、すぐに小虎さんに情報がいくんだよね。

 きっと、お父様が着けたのかな?……やっぱ、あの人たち(凜の両親)甘いなー。


 よしっ。港の探索に出発!

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