後編
家を出ると、お姫様は剣の師匠を頼りました。
剣の師匠は、お姫様の話を聞くと同情をして手元に置くことに決めました。
お姫様は、野党や凶暴な野生の動物の退治などの依頼を受け始めました。
お姫様の剣の腕はすでに剣の師匠より上になっていました。
それからお姫様は剣の師匠とタッグを組むと旅人の護衛などの仕事も増やし始めました。
ですが、ひょんなことから剣の師匠にお姫様が女性だということがばれてしましました。
剣の師匠は女に剣の腕で負けるなんて許せない、と怒り狂いお姫様を押し倒しました。
お姫様は死に物狂いで抵抗をして、どうにか逃げ出すことに成功しました。
お姫様は、師匠から離れることに決めました。
そうして、お姫様は旅人になりました。
勿論、まだまだお姫様は世間知らずでした。
依頼をこなしてもお金をもらえなかったり、
浮浪児を哀れんで騙されたり、
男娼として娼館に売り飛ばされかけたり、
貴族の奥方に気に入られて、うまく断れずに困ったりしました。
それでも数年たつころには、お姫様はすっかり世慣れしていました。
そこには旅慣れた青年の姿があり、だれもお姫様を女性だとは思いませんでした。
お姫様は、一度故郷に帰ってみることに決めました。
お姫様の国ははひどく治安が悪くなっていました。
色々な国を旅していたお姫様もこんなに荒れている国は久しぶりでした。
話を聞くと王様がいなくなったことで、民衆の間に激しいい権力争いが起きたことを知りました。
貴族の人々は大体処刑されたこと、そこにおそらく自分の両親が含まれていたこともわかりました。
見る影もなくなった故郷に対し、自分の生まれた国はもうないのだとお姫様は悟りました。
お姫様は前と同じように旅をしていると、とある裕福な行商の護衛を頼まれました。
お姫様は引き受けました。
無事に国まで送り届けたのですが、その人達に引き続き専属の護衛をしてほしいと依頼されました。
お姫様は幾分迷った後、引き受けました。
その人達はお人よしで、旅の最中お姫様を実の息子のように扱いました。
それはお姫様には随分危なっかしく思え、彼らのことが心配になっかたらです。
行商たちの故郷は治安はとてもよく、人々は優しい所でした。
お姫様は、ここに住んでもいいかなと思いました。
ある日、大きな剣術大会が開かれることが決まりました。
商人は、ぜひ参加するようにとお姫様に言いました。
お姫様は断り切れず、うなずきました。
そこで、お姫様は優勝してしまったのです。
誰しもが、銀の髪を持った青年の活躍に目を奪われました。
そして、お姫様はその国のお妃さまの騎士となったのです。
ですがやがて、お姫様はお妃さまに恋慕の情を向けられることになりました。
王様は怒り、お姫様は国外追放となりました。
それから、お姫様は沢山の国を旅しました。
景色が美しい国も、
犯罪が多い国も、
お姫様に優しい国も、
冷たい国も、
中には定住を勧めてくれる国さえありました。
それでも、お姫様は今に至るまで独りで旅するのをやめなかったそうです。